分骨とは1人の故人の遺骨を複数に分けて扱うことで、複数のお墓に納める、一部を手元供養する、一部を散骨する、一部を本山供養するなどといった様々なケースがあります。分骨のタイミングとしては、火葬場で火葬の日に分骨する以外にも、自宅で保管中の納骨までの間に、やはり分骨して複数の箇所に納めることになった、といったケースが考えられます。また、すでに納骨して墓地などに埋蔵されている骨壺を取り出して分骨する場合もありえます。
ちなみに、複数の方のご遺骨が1つの墓に納骨されているとして、そのうち一部の方の遺骨だけ取り出して他に移す、というケースは分骨ではありません。たとえば親の骨壺と子の骨壺が納められている墓があり、子の骨壺だけ取り出して他の墓に移す、など。これは一部を「改葬」するというケースで、分骨とはいいません。
1. なぜ分骨をするの?
分骨とは、1人の故人の遺骨を複数に分けて扱うことです。 分骨が必要となる状況には、下記のようにさまざまな理由があります。
- 実家の墓が遠い場合などに、一部を近くのお墓にも納める。
- 兄弟姉妹など親族で遺骨を分ける。
- 一部を本山納骨(各宗派の本山に合祀する)する(西日本ではもともとこの形式が多い)。
- 実家のお墓と夫婦のお墓に分ける。
- 遺骨の一部を手元に置いて自宅など身近で供養する。
など。
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2. 分骨のタイミングとケース別の手続き
分骨の手続きはそのタイミングや仕方によって必要な手順が異なります。
2-1. 分骨の関連書類
まず分骨に関連する各種書類の説明をしておきましょう。実際に手続きに必要な書類は、2-2、2-3で説明しますが、タイミングや分骨後の供養方法によって違います。
(例)必要書類のケースは様々
1か所に納骨→火葬許可証
2か所に納骨(分骨)→火葬許可証+分骨証明書
3か所に納骨(分骨)→火葬許可証+分骨証明書2通
2-1-1. 火葬許可証
火葬許可証は、役所に死亡診断書や死亡届を提出すると引き換えに発行されるか、または死亡届と同時に火葬許可申請書を提出すると発行されます。この「火葬許可証」を火葬場に提出し、火葬が済むと火葬した日時と火葬執行済みの署名がされ、印が押され返却されます。この書類は「いつ誰を火葬した遺骨なのか」ということを明らかにするもので、納骨(法律的には「焼骨の埋蔵」という)する際に必要になる大切なものです。納骨をする場所が一か所であれば火葬後の署名・押印済みの火葬許可証が一通あれば納骨できます。
火葬許可証の再発行について
火葬許可証を紛失した場合、再発行の対応や手続き方法は自治体によって異なりますのでかならず発行元の自治体に確認が必要です。火葬場で「火葬証明書」を受け取り、役所で「火葬許可証」の再発行を申請するケースが多いようです。例えば下記のような手続きになっています。
大阪市総合コールセンターの例
- 死亡届の届出人、または亡くなった方の直系親族または祭祀承継者が申請します。
- 火葬許可証の発行から5年未満の場合は死亡届を届け出た役所で、火葬許可証発行後、5年以上経過している場合は、火葬した斎場で「火葬証明書」を取得した後、死亡届を届け出た役所で申請します。
- 火葬許可証の再発行には、申請者の本人確認資料と認印、火葬証明書(死亡後5年以上経過している場合)、亡くなった人との関係がわかる資料(死亡届の届出人以外が申請する場合)が必要となります。
参照
栃木県大田原市の例
また、栃木県大田原市では「死体火葬許可証」は紛失しても再発行できない書類となっており、紛失した場合は「火葬執行証明申請書」を提出して発行される「火葬執行に関する証明書」という書類で代用するという対応になっています。
参照
大阪府茨木市の例
埋火葬許可証を紛失した場合。「火葬証明書」を実際に火葬した火葬場のある市区町村で発行してもらう。発行された火葬証明書を、死亡届を提出した市区町村に持参し、当該死亡届の届出人が申請し「埋火葬許可証」の再発行をしてもらう。墓地によっては、火葬証明書の提出のみで納骨ができる場合もある。
参照
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2-1-2. 分骨証明書
火葬場であらかじめ分骨した遺骨を複数の墓地などに納骨する際、あるいはすでに墓地や納骨堂などに納骨されている遺骨の一部をとりだし、2か所以上の場所に納骨する際には「分骨証明書」が必要になります。「分骨証明書」には故人の名前や性別、死亡年月日などが記載されています。
火葬後に火葬場で遺骨を分ける場合には、火葬場で分骨証明書を発行してもらいます。火葬前に葬儀社にあらかじめ伝えておくとスムーズです。
一度どこかに納骨したものを取り出して分骨する場合には、墓地の管理者(管理事務所や寺院)で分骨証明書を発行してもらいます。
分骨証明書は分骨すること自体に必要なものではなく、分けた遺骨を埋蔵、納骨する際に必要な書類なので、分骨した遺骨を手元供養するときには必要ありません。
2-2. タイミング別の必要書類と手続き
分骨をするタイミング、分骨後の供養方法によって、必要な書類や手続きが違います。タイミングとして考えられるのは3パターンあります。
2-2-1. 火葬場で
分骨して納骨することが、火葬の時点でわかっている場合は、葬儀社または火葬場にその旨伝えると最もスムーズです。例えば2か所の墓地に納骨するなら、火葬許可証一通と分骨証明書一通、骨壺2つが必要です。
手元供養など、一部を自宅など身近なところに保管するために分骨する場合は、手元供養の分については必要な書類はとくにありません。しかし、しばらく手元供養をした後に納骨するのであればやはり火葬許可証か分骨証明書のいずれかは必要になりますので、分骨した分だけ火葬の際に受け取っておいた方がいいでしょう。
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2-2-2. 自宅で、納骨前に
はじめは一か所に遺骨を納める予定で火葬を済ませたが、遺骨を自宅に安置しているうちに複数のお墓に分骨することになった、というような場合。自治体や火葬場によって対応が異なります。
火葬許可証に加えて、別途分骨証明書が必要になります。その場合は火葬場(火葬場の管理運営者が自治体の場合は役所)で分骨証明書を発行してもらうことになります。
ただし、自治体や火葬場によっては「分骨証明書」は火葬場の火葬担当者が遺骨を分骨した場合にのみ発行する、というところもあります。自宅で遺族が自分で分骨し、分骨証明書だけ発行することはできないということです。その場合は火葬場に連絡し予約した上で、「火葬許可証」と分骨前の状態の遺骨、分骨用の骨壺を持っていき、分骨を火葬場で行ってもらう必要があります。
参照
大阪府茨木市ホームページ「火葬証明書・分骨証明書・改葬許可証について」 (外部リンク)
埼玉県さいたま市浦和斎場ホームページ「分骨の際はご注意ください」 (外部リンク)
2-2-3. すでに納骨済みのものを、取り出して
すでに墓などに納骨しているものを、取り出して分骨するというケースもあります。この場合は、遺骨をお墓から取り出す際に読経や、石材店にカロート(納骨棺)を開けてもらう必要があり時間や手間、費用がかかる場合もあります。
もし、分骨を望む人が「遺骨の所有者=墓地の使用権者」でない場合は墓地の使用権者に分骨する旨の了承を得ます。それから、現在の墓地の管理者に「分骨証明書」を発行してもらいます。分骨した遺骨を他のお墓や納骨堂に納める場合は、現在の墓地から、分骨先の「墓地納骨堂使用証明書」や「受入証明書」を求められる場合もあります。
カロートを開けて骨壺を取り出す際には僧侶に読経してもらい、骨壺の中から一部の遺骨を取り出します。取り出した分の遺骨を別の場所に納骨するには、その納骨先の管理者に「分骨証明書」提出して新しい墓地や納骨堂に納めます。
納骨棺に納められている骨壺の中の一つの骨壺すべてを移動させる場合は、改葬といいます。また、墓地や宗派にもよります、すべての遺骨を取り出してお墓を移動する場合は、閉眼供養や開眼供養をすることがあります。
遺骨を取り出す際に石材店に納骨棺を開けてもらったり、僧侶に読経をしてもらったり、閉眼供養や開眼供養が必要な場合は、墓地の種類によりますが、3万円~10万円程度かかることがあります。また、「分骨証明書」や分骨先の「墓地納骨堂使用証明書」の発行手数料500円~3,000円程度かかります。
2-3. 様々ある供養方法のケースと必要書類・手続き
次に供養方法や状況別のケース例をあげながら、必要書類や手続きを説明します。
2-3-1. 火葬場で遺骨を分骨し、複数のお墓や納骨堂などに遺骨を納める
葬儀社に遺骨を複数の場所に納骨する意向を伝えます。葬儀社に分骨用の収骨容器(骨壺)や袋を用意してもらうか、自分で用意しておき、火葬場に持ち込みましょう。持ち込みができない、または持ち込み料がかかる火葬場もあるようですので確認しましょう。
骨揚げの際に火葬場スタッフが遺骨をより分けてくれるので、それぞれの骨壺に遺骨を入れます。複数の箇所に遺骨を納める場合には「火葬証明書」に加えて「分骨証明書」が必要です。
(例)
2か所に納骨→火葬許可証+分骨証明書
3か所に納骨→火葬許可証+分骨証明書2通
後日、それぞれのお墓や納骨堂などに納骨します。
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2-3-2. 手元供養や自宅保管
火葬後や納骨前であれば、遺骨の一部またはすべてを自宅や身近に「手元供養」として置く場合には、手元供養分のためとしては特に証明書や手続きは必要ありません。火葬場での分骨でも、自宅での分骨作業でも同じです。たとえばきょうだい複数で、分骨してそれぞれが手元に置いておく、というような場合にもとくに手続きは必要ありません。しばらく手元供養をした後に納骨するのであれば、納骨の際に「火葬許可証」や「分骨証明書」が必要になります。
遺骨を粉状にしたい場合、少量であれば自分でもできますが、量が多い場合は後述にあるような、粉骨・砕骨サービス事業者を利用するとよいでしょう。
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2-3-3. 墓地に納骨されている遺骨を取り出して、分骨し一部を別の墓地にも埋蔵する
すでに納骨されている遺骨を取り出す場合は、分骨せずすべてを移動させる場合を「改葬」、遺骨の一部を移動させる場合を「分骨」と言います。
まず、遺骨が納められている墓地の管理運営者に「分骨証明書」を発行してもらいます。次に、石材店の作業が必要な場合は、墓石を動かして納骨棺を開けてもらい、遺骨をより分けます。墓地によっては、この墓石を動かすときに閉眼供養(お墓に宿っている魂を抜き取るために僧侶に読経をしてもらうこと)や、骨壺を元に戻した後に開眼供養(お墓に宿っている魂を戻す)をすることもあります。
分骨した遺骨を別の場所に納める場合には、墓地の管理運営者に「分骨証明書」を提出し、分骨先のお墓や納骨堂などに納骨します。分骨にかかる費用は、事務手数料のみのところもあれば、閉眼供養、石材店の作業費、遺骨取り出し、開眼供養など、3万円~10万円程度かかることもあります。
お墓によっては一度納骨してしまうと分骨できないケースがあります。合葬墓で納骨時から他の遺骨と一緒に火葬されている場合、共同墓や納骨堂で一定期間を過ぎてすでに合葬されている場合、樹木型の墓地に火葬されている場合などは、遺骨を分けることが難しいためあとから分骨することはできません。
2-3-4. 墓地に埋蔵されている遺骨を取り出して、一部を手元供養する
基本的な流れは、上記の「墓地に埋葬されている遺骨を取り出して、分骨し一部を別の墓地にも埋蔵する」と同じです。すでに納骨されている遺骨を取り出して一部を分骨し自分の手元で供養します。墓地の管理者が発行する「分骨証明書」等は必要ありません。
2-3-5. 墓地に埋蔵されている遺骨を取り出して、すべてを手元供養する
法的に遺骨を埋蔵しなければならないというわけではないので、自宅にすべての遺骨を安置することはできます。すべてを手元供養することを「全骨安置」や「自宅納骨」といいますが、遺骨の量が多い場合や、カビが生えてしまうことの懸念から、粉骨、パウダー状にして3分の1~2分の1程度の量にしてから手元供養をするケースが多くなっています。墓地に取り出したい遺骨だけが埋蔵されている場合は、遺骨を取り出したらお墓は不要になりますので「墓じまい」をすることになります。
2-3-6. 手元供養していた遺骨を、墓地などに納骨する場合どうするか?
しばらく手元供養をした後に手元にあった遺骨をお墓や納骨堂に納骨するのであれば、納骨の際に「火葬許可証」あるいは「分骨証明書」が必要になります。手元供養をした後に遺骨をどうするかを考えた上で、必要な書類はあらかじめもらって保管しておいた方がいいでしょう。
2-3-7. 散骨の場合は?
散骨は遺骨がそのままの状態ではできず、粉骨してパウダー状にしたものが前提になります。粉骨した遺骨を個人で散骨するには手続きや許可は必要ありません。ただし散骨場所(海、川、山など)については自治体や所有者によってルールやマナーが異なりますので、散骨する場所の自治体の条例等を確認しましょう。
3. 分骨に関連するサービス
粉骨・砕骨のサービス
戸田葬祭場(東京・板橋)のように、粉骨室を設けて遺骨をパウダー状にする粉骨を行っている火葬場もあります。その他、遺骨から異物を取り除いて粉末にしてくれる粉骨・粉砕会社があります。郵送や宅配での対応や、遺骨を持ち込む立会粉骨などの方法があり、粉骨だけなら1万円程度が相場です。粉骨した後の手元供養や散骨、樹木葬などとセットになっているプランなどもあります。
4. 分骨の際の入れ物(骨壺)や遺骨の加工
粉骨、砕骨サービスを利用すると不純物を取り除き、パウダー状にしてもらえるのでコンパクトな容器に入れて自宅に置いたり、アクセサリーにして身に着けて故人を偲ぶことができます。現在ではお墓を持たない人も増えているため、一部の遺骨を手元供養し、大部分の遺骨は合葬墓(共同墓)、散骨、普段はなかなかお参りに行かれない代々の墓に納めるといったケースも増えています。また仏壇がない家も増えているため、より手元に置いておきやすい下記のようなもので供養することが多くなっています。
ミニ骨壺
遺骨の一部、少量を納める小さな骨壺。仏壇や身近なところに安置しておきます。陶器、金属製や木製、ガラス製などがあります。手元供養セット(飾り台と骨壺、写真立て)やミニ仏壇セットとして販売されているものもあります。
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アクセサリー(ペンダント、リング、ブレスレット、ブローチ)
ペンダント、リング、ブレスレット、ブローチなどのアクセサリーの中に少量の遺骨や遺灰を入れておけるようになっています。メモリアルジュエリーとして手元に置いておくことができます。余ることがないように必要な分だけ分骨しておきましょう。
オブジェ型
お地蔵さん型のオブジェの中のミニ骨壺に遺骨を納められるようになっている「地蔵」や、遺骨をパウダー状にして圧縮したプレートに故人の名前や出生~死亡年月日を刻印した「プレート型」などがあります。
お守り型(ストラップ、キーホルダー、根付)
片手に収まるくらいの大きさの容器に遺骨を入れ携帯できるお守り型(ストラップ、キーホルダー、根付)。持ち歩くことができるので故人といつも一緒にいるような気持ちになれるアイテムです。
フォトフレーム(フォトスタンド)型
写真立てとミニ骨壺が組み合わされていて、リビングや寝室、仏壇などに飾って故人を偲びます。
ダイヤモンド、宝石
遺骨から取り出した炭素から人工ダイヤモンドを作り出し、ペンダントや指輪などに加工し身に着けておくことができます。
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