墓じまいでしなければならない5つのことと費用内訳-離檀料、魂抜きのお布施、工事にかかるお金

墓じまいを検討する人が増えています。実際に筆者が勤務する会社にも、新しく墓石を建立しようとする人よりも、墓じまいの問い合わせやご依頼が増えています。しかし、多くの方にとって、墓じまいは人生で一度あるかないかのできごとであり、分からないことだらけではないでしょうか。「墓じまいは何をすればいいの?」「どのくらいのお金を用意しておけばいいのかわからない」―このような不安をお感じの方のために、この記事では墓じまいでしなければならない5つのこと(新しい埋葬先、墓地の返還や離檀料、改葬許可手続き、墓石の魂抜き、墓じまい工事)と、それぞれにかかる費用内訳について、分かりやすく解説いたします。

index 目次
  1. 1. 墓じまいに必要なこととその費用
    1. 1-1. 墓じまい後に遺骨をどうするか決める
    2. 1-2. 墓地の返還・離檀料
    3. 1-3. 改葬許可申請
    4. 1-4. 寺院による魂抜き
    5. 1-5. 墓じまい工事
  2. 2. 遺骨の次の埋葬先を探す
    1. 2-1. 納骨堂
    2. 2-2. 樹木葬
    3. 2-3. 永代供養墓
    4. 2-4. 別の一般墓
  3. 3. 離檀料
  4. 4. 改葬許可申請手続き
  5. 5. 寺院による魂抜き
  6. 6. 墓じまい工事

1. 墓じまいに必要なこととその費用

「墓じまい」という呼び方から、単に墓石の解体と撤去をすればいいと思っている方が多いです。しかし、お墓の中には大切な遺骨が埋葬されていますので、まず遺骨をしかるべき場所に移さなければなりません。この遺骨を別の場所に移すことを「改葬」と呼びますが、「改葬」のためには役所から許可を得なければなりませんし、次の遺骨の埋葬先も用意しなければなりません。つまり、改葬と墓石の解体撤去をして、はじめて「墓じまいをした」ということになるのです。

それでは、墓じまいでしなければならない5つをご紹介します。

  • 新しい埋葬先  3万円~300万円
  • 墓地の返還(離檀料)  0円または5~20万円
  • 改葬許可  0円または5~15万円
  • 墓石の魂抜き  1~5万円
  • 墓じまい工事  30万円~50万円

これらすべてをする必要があるとは限りません。現在のお墓の状況によって、必要なものと不要なものがあるでしょうし、それによってかかる費用も異なってきます。しかし、たいていの墓じまいの場合、これらをしなければならないことが多いでしょう。それでは大まかな流れを見てみましょう。

1-1. 墓じまい後に遺骨をどうするか決める

現在のお墓の中には遺骨が納められています。墓じまいをするためには、その遺骨の次の納め先を用意しなければなりません。考えられる選択肢として納骨堂、樹木葬、永代供養、別の寺院や霊園に新しいお墓を建てる、改葬ではありませんが散骨などが挙げられます。

1-2. 墓地の返還・離檀料

これまで使用してきた墓地は、きれいに整地化して、管理者に返還しなければなりません。通常、墓地の返還に対して費用が発生することはありません。ただし、お寺の境内に墓地を持っていた場合、墓じまいをすることでお寺との檀家関係を解消しなければならない場合には、「離檀料」が必要なケースもあります。

1-3. 改葬許可申請

改葬とは、遺骨を別の場所に移すことです。改葬をするためにはまず、元のお墓がある市町村役所から許可を得なければなりません。改葬を希望する人は役所が指定する書類を用意して、改葬許可申請をします。自分たちで行うのであれば、費用は数百円程度(戸籍謄本の発行料や役所の手続き手数料など)で済みますが、手続きを行政書士に依頼することもできます。その場合は報酬を支払わなければなりません。

1-4. 寺院による魂抜き

墓石の解体撤去をするために、寺院によって「魂抜き」をしてもらいます。魂抜きには家族も立会い、墓前法要のお布施を納めます。

1-5. 墓じまい工事

上記の1~4をすべて終えてはじめて、石材店による解体撤去工事に取りかかれます。かかる費用は、現地での作業費(解体撤去、墓地の整地化)、石材の運搬処分費などです。墓地の場所や面積、墓石の大きさや数などによって費用は大きく変わってきます。

以上が墓じまいでしなければならない5つのことです。次章では、それぞれ具体的にどのようなことをしなければならないのか、どれくらいの費用がかかるのか、詳しく解説していきます。

2. 遺骨の次の埋葬先を探す

墓じまいとは、改葬と墓石の解体撤去をセットで考える必要があります。墓石と一緒に遺骨まで石材店に引き取ってもらう、というわけにはいかないのです。遺骨の改葬先(=新しい埋蔵先)には、次のようなケースが考えられます。

2-1. 納骨堂

納骨堂は屋内のスペースに遺骨を収蔵します。ロッカー型、仏壇型、自動搬送型などさまざまな形状があります。納骨堂はお寺によって管理されていることが多く、お参りのしやしさや手厚い供養など、その安心感から最近特に人気を集めています。現代社会では、世代を超えてお墓や遺骨を継承することには大きな不安がありますが、お寺の納骨堂では、万が一お参りする人がいなくなったらそのまま永代供養をしてもらえるというメリットがあります。

かかる費用は、納骨堂の形状や預ける遺骨の数、供養の期間などによってさまざまですが、安いところで30万円前後、高いところだと100万円を超えるところもあります。別途、年間の管理費がかかります。夫婦向け、家族向けなどさまざまな納骨堂があるので、自分たちの希望に合った場所を選びましょう。

2-2. 樹木葬

樹木葬とは、草花や樹木を墓標としたお墓のことです。近年では公営霊園でも樹木葬を取り入れるところが増え始め、大きな注目を集めています。自然に囲まれた場所でお参りができることや墓石を建立するほどに費用がかからないこと、将来的に墓じまいをしなければならない場合にも、手間や費用がかからないことなどがその人気の理由です。

もともとは、自然の里山全体を墓地とみなした、いわゆる「里山型」の方式を樹木葬と呼んでいましたが、最近では都市型霊園に設けられた「霊園型」の樹木葬が主流です。家族や夫婦、個人ごとに区画が割り当てられるものやシンボルツリーを共有して個別のカロートに納骨するもの、最初から他の人と一緒に合祀されるものなど、さまざまな形があります。また、樹木葬と呼ぶものの、カロートの蓋として石でできたプレートやモニュメントが用いられます。かかる費用は、その形状やスタイルによってさまざまですが、安いところだと30万円、高いところだと100万円前後が相場でしょう。

2-3. 永代供養墓

永代供養とは、お墓を管理する霊園や寺院などが存続する限り、その管理者が当事者に代わって供養と遺骨の管理を行うことです。永代供養墓の中でも「集合墓」や「合祀墓」は、複数の方の遺骨をひとまとめに埋葬供養するためのお墓です。費用は5万円から20万円が相場でしょう。一定期間は一体ずつ骨壺を安置して後に合祀されるところや、遺骨を預けてすぐにほかの遺骨とともに合祀されるところなど、その方法もお寺や霊園によって異なります。

2-4. 別の一般墓

遠隔地にお墓があるためになかなかお参りに行けず、維持や管理が大変な場合などに一度墓じまいして、新たな墓地にお墓を建立する人もいます。

新しい墓石を建てる場合は、最近ではコンパクトな墓石や洋風のおしゃれな墓石、33年などの契約期間を設けて、その後の墓じまいや永代供養も初期費用に含まれている期限付き墓石の販売も行われているので、自分たちの好みやライフスタイルに合ったお墓を選べます。ただし、墓地の永代使用料や墓石の建立に費用がかかり、平均相場は150万円から200万円程度と言われています。

また、いまある墓石を新しい墓地に移すこともできます。新しく墓石を建てるには高額な費用がかかってしまいますが、いまある墓石を利用することで費用を軽減できます。注意しなければならないのは、いまの墓石が新しい墓地に納まるかどうかです。墓石は石塔と外柵の組み合わせでできています。石塔は設置できたとしても、外柵は新しい墓地の寸法にあったものを新たに作らなければならないケースが多いため、それなりの費用がかかります。現場工事なので、見積もりが必要になりますが、新しい墓地の永代使用料や墓じまい工事費用、石材の運搬費、新しい墓地の工事費用、それに伴い新調する外柵などの石材費などを考えると、100万円から150万円程度かかるかもしれません。

その他、遺骨を埋葬するわけではないので「改葬」ではありませんが、墓じまい後に遺骨を散骨される方もいます。費用の目安は5~30万円程度です。

3. 離檀料

墓じまいした墓地は、管理者に返還しなければなりません。通常、墓地の返還に対して費用は発生しませんが、もしも檀家としてお寺の境内墓地を使用していた場合、さらには墓じまいをすることでお寺の檀家をやめることになった時には、これまでお世話になったお礼としてお布施を包むことがあります。これを「離檀料」といいます。

しかし、寺院側から必ず離檀料を請求されるというものではありません。もし請求されたとしても、法的に支払う必要があるものではありません。(ただし、墓地の利用について契約書に「墓地の使用をやめる場合は離壇料を払う」といった記述があれば支払い義務が生じます。)

離檀料はあくまでも檀家を離れる時に納める「お布施」です。これまでの感謝を込めて、またこれまでお世話になったお寺が今後も長く続いていくことを願って包むべきものです。ですから本来金額が設定されるべきものではなにのですが、中には離檀料を設定しているお寺もあるようです。お寺側が一方的に請求してきて、トラブルに発展する事例も耳にしますが、筆者の知るところでは離檀料は不要というお寺も少なくありません。

お布施ですから、金額は任意で構いません。5万円から20万円くらいが相場ではないかと言われています。考え方はさまざまで、「これまでの法要へのお布施の金額を目安にする」「毎年支払うべき墓地の年間管理用を向こう何年分として計算する」といった理由で金額を決めている人が多いようです。また、墓じまいはするけれど、同じお寺の納骨堂や永代供養墓に改葬する場合には、お寺との関係そのものが解消されるわけではないので、離檀料は不要です。

4. 改葬許可申請手続き

遺骨を他の場所に移すためには、改葬元の役所から改葬許可を得なければなりません。改装許可申請の手続きは、以下のようにそれほど複雑なものではないので自分たちでも可能でしょう。(もし行政書士に改葬手続きの代行を依頼する場合は、報酬が必要になります。その際の相場は5万円から15万円程度です。)

  • 元のお墓がある市区町村役所の「改葬許可申請書」に必要事項を記入する。
  • 元の墓地・霊園管理者から「納骨(埋蔵)証明書」を発行してもらう。
  • 改葬先の墓地・霊園管理者から「受入証明書」を発行してもらう(「墓地使用許可証」など、遺骨を受け入れることが分かる書類であればよい)。
  • 上記の「改葬許可申請書」「納骨証明書」「受入証明書」を元のお墓がある市区町村役所に提出する。受理されると「改葬許可証」が発行される。
  • 「改葬許可証」を改葬先の墓地・霊園管理者に提出する。

改葬の流れと手順についてはこちらもご参照ください。

5. 寺院による魂抜き

新しい遺骨の埋葬先の準備が整って、元のお墓がある市区町村役所から「改装許可証」をもらったら、いよいよ実際に、改葬と墓石の撤去を行います。

まずは僧侶に墓前法要を執り行ってもらい、「墓石の魂」を抜いてもらいます。いわゆる「魂抜き」「性根抜き」「閉眼供養」と呼ばれるものです。魂抜きにかかる時間は10分~30分程度です。この法要にはお布施が要りますが、金額の目安は3万円~5万円程度です。もしお布施の金額を決めきれないという方は、事前にお寺に相談してもよいでしょう。

6. 墓じまい工事

石材店による墓じまい工事の相場は、10万円や15万円程度(墓地面積1㎡あたり)と言われています。たとえば墓地の横幅が2mで奥行が2mの場合は、墓地の面積は2×2=4㎡です。すると墓じまい工事の相場は40万円~60万円ということになります。

しかし実際には、墓地の面積や撤去しなければならない石材の量(石塔以外にも霊標、玉垣、外柵、灯篭などを含む)、墓地の環境(重機が入るか、斜面にあるのか平面にあるのか、それだけ作業がしやすいか)など、さまざまな要因によって費用が決まってきます。金額の目安はあくまで目安です。必ず現地に石材店と同行して見積もりをしてもらうようにしましょう。

墓じまいの工事において、石材店が行う工事の内訳は主に次の5つです。

  • 現地での解体撤去の作業費用
  • 石材や残土の運搬費用
  • 石材や残土の処分費用
  • 墓域の整地化の費用
  • 重機にかかる費用やその他の諸経費

これらの項目をひとつずつ説明してくれる業者もあれば、「まとめて◯◯万円」と提示する業者もあります。いずれにせよ、ひとつの業者で決めるのではなく、複数の業者から相見積もりをとるのが賢い方法といえるでしょう。ただし、霊園によっては石材業者が指定されているケースも少なくありませんので、事前に確認しておきましょう。

墓じまいにおいて大事なことは、実は「お墓」ではなく「遺骨」です。大切なご先祖様の遺骨をどのように丁寧に取り扱うか。まずは新たな埋蔵先を決めて、そこから改葬や墓石の解体に向けて動き出しましょう。ライフスタイルに合った新しい遺骨の埋葬先へのお参りや供養の方法は、あなたの生活を豊かにしてくれるでしょう。そして、これまでお世話になったお墓を無縁化させることなく、あなたの手で墓じまいすることは今生きる人としての責任を果たす、立派な行いだと私は思います。墓じまいは多くの場合、一生に一度の大変な取り組みだと思いますが、わからないことや困ったことがあれば専門家に相談しながら、ひとつひとつ丁寧に進めていきましょう。

Text by:玉川将人
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