手元供養とは、故人の遺骨やパウダー状にした遺骨を自宅で保管することです。自宅供養、自宅納骨ともいいます。ミニ骨壺を小さな仏壇や飾り台に置いて手を合わせることもあれば、ペンダントや指輪などのアクセサリーにして身に着けるものなどさまざまな手元供養品があり、新しい供養の形としてひろがっています。火葬時や納骨前に分骨して、遺骨の一部を手元供養にし、一部をお墓、や納骨堂に納めたり、樹木葬や散骨、本山納骨にするなどさまざまなケースが考えられます。最終的に遺骨をお墓に埋蔵する際には「分骨証明書」が必要になります。

1. 手元供養とは

自宅供養ともいいます。火葬場で分骨したり、納骨前に遺骨の一部を分けて、ミニ骨壺や分骨袋などに入れます。そしてミニ仏壇や飾り台においてリビングや寝室で供養したり、遺骨を粉末にしてカプセルタイプのペンダントや指輪にして身に着けることもあります。

お墓に納骨しなければいけないという法律はない

法律や義務という観点からも遺骨は必ずしもお墓などに納めなくてはならないというわけではありません。「家」として承継していく形のお墓や仏壇という形ではなく、生活の中で身近なところに遺骨を安置し供養したいという「新しい供養」として近年注目されています。

少子高齢化で、お墓への価値観が激変

その背景に従来の「家」としてのお墓を継承することが難しくなっているという理由があります。実家や地元から離れていてお墓が遠い、少子化や核家族化によってお墓に関わる人が減り「墓守」の負担が大きくなっている、高齢化・長寿化によりお墓参りやお墓の維持管理がしづらい、お墓を購入するお金を老後の資金などもっと現実の生活に使いたいという人が増えている、といった理由です。また、ふだんは宗教と関わりのない生活をしているのに、お墓や供養については仏教の形式をとるということへの違和感を持つ傾向が強くなっているのも1つの要因となっています。

手元供養を選ぶ主な理由
  • お墓が遠くてお墓参りに行かれない。
  • 足腰が弱ってお墓参りに行かれない。
  • 身近で故人を感じて偲びたい。
  • 長男ではないが自分の親の遺骨の一部を手元に置いて供養をしたい。
  • 海外生活が長い、引越しが多いため墓地を一か所に定めづらい。
  • 経済的な理由からお墓の建立が難しい。
  • 子どもや孫にお墓の維持や管理の負担をかけたくない。

故人を身近に感じながら悲しみを癒やせる

手元供養ではすべての遺骨を手元に置くのではなく、遺骨の一部を身近に置くケースが多いようです。残された遺族は遺骨を近くに置くことによって故人を感じ、身近な人を失った悲しみを少しずつ癒していくことができます。また、遺骨の一部をずっと手元に置いておくのか、それともいずれお墓や納骨堂に納めるのかについても遺族間で相談しておいた方がいいでしょう。

2. 手元供養の段取り

手元供養するだけなら書類や手続きはなし

遺骨を自宅に保管して手元供養するだけであれば文書や手続等はなんら必要ありません。しかし、やはりお墓に納骨したくなった、手元供養する人が亡くなった、など、手元供養していた遺骨を後になってお墓や、納骨堂に納めるというケースはありえます。お墓や納骨堂などに納める場合は、証明書や手続きが必要になりますので、手元供養をする時点で将来的なことを考慮して準備しておいたほうがよいでしょう。

手元供養のその先のこと

では将来的なことを考慮して準備するとはいったいどういうことでしょうか。ポイントは、火葬証明書は使わなくてもきちんと保管しておくこと、分骨するなら分骨証明書をとっておくこと、です。以下のケースが考えられます。

手元供養(全骨)→お墓に埋蔵

すべての遺骨(全骨)を手元供養していて、その後お墓に埋蔵することになった場合は、火葬時に火葬場で発行された「火葬証明書」がまだ手元にあるはずなので、「火葬証明書」をお墓や納骨堂などに提出して遺骨を納めることになります。「火葬証明書」はなくさないようにきちんと保管しておきましょう。

手元供養(分骨)→お墓に埋蔵

火葬場で、あるいは納骨までに分骨して一部を手元供養する場合は後述「3.手元供養のスタイル」のようなパターンが考えられます。しかし、分骨した遺骨を手元供養した後お墓や納骨堂に納めるには、「分骨証明書」が必要になります。分骨証明書は、火葬場でとっておくのが最もスムーズです。将来的に手元供養ではなく他の方法に変更する可能性があれば、火葬時に念のため「分骨証明書」を取っておきましょう。「分骨証明書」は火葬当日にのみ発行するという火葬場も多いため、後から分骨証明書を取得するのは難しいのです。

火葬場で分骨証明書をとっていないが手元供養していたものをあらためてお墓に納骨したい、という場合、市区町村により対応が異なりますので、必ず各自問い合わせをしてください。

埋蔵してある遺骨を取り出し→手元供養

お墓に遺骨を埋蔵して時間が経った後に遺骨を取り出して、手元供養とする、というケースもありえるでしょう。全骨を手元供養とする場合は、とくに書類・手続きは必要ないのですが、後々のことを考慮して、墓地・霊園の管理者に「遺骨引渡証明」など、覚書となる書類を発行しておいてもらうと無難です。

分骨して、一部をそのままお墓に残し、一部を手元供養とする、という場合は、墓地・霊園の管理者に「分骨証明書」を発行してもらっておきましょう。

また、お墓の構造によっては石材店にカロートを開けてもらう手間や費用がかかります。

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3. 手元供養のスタイル

手元供養は遺骨の全てを手元に置く場合と、遺骨の一部を手元に置く場合があります。手元供養だけでなく、従来の納骨方法の組み合わせる方も多くいます。残りの遺骨は通常のお墓に埋蔵して一部を手元供養にするのか、基本的には散骨し一部のみを手元に残すのか・・・など。

手元供養のパターン
  • 火葬場で拾骨した遺骨の全てを手元供養する
  • 従来のお墓、永代供養墓、納骨堂など + 手元供養
  • 本山納骨 + 手元供養
  • 樹木葬や散骨 + 手元供養

4. 注意しておくポイント

本人・家族・親族でよく相談

手元供養する遺骨が全骨なのか一部の遺骨なのか、ごく少量なのか、遺骨やお墓の承継者がいるのかどうかによってその後の手続きが変わってきます。また、新しいスタイルの弔い方なので、どのようなかたちで手元供養するのか、例えば手元供養していた人が亡くなったらその後遺骨をどうするのか、本人や遺族がどのような供養を望むのか、について本人や家族・親族間であらかじめよく相談しておくことが重要です。

火葬証明書

すべての遺骨を手元供養した後にお墓に埋蔵する場合は、「火葬証明書」が必要です。火葬時に取得した「火葬証明書」をきちんと保管しておきましょう。

分骨証明書

一部の遺骨を手元供養した後にお墓に埋蔵したり、納骨堂に収蔵する場合は「分骨証明書」が必要になります。将来的にお墓に納める可能性があれば、火葬時に念のため「分骨証明書」を取っておきましょう。

手元供養していた遺骨が遺骨ペンダントに納めるほど少量であれば、夫の遺骨を妻の棺に入れて一緒に火葬する、といった方法もあります。

5. 粉骨について

手元供養品に遺骨を納めるにあたって、入れる容器が十分大きければ粉骨は必要ないでしょう。しかし、ミニ骨壷やアクセサリー型の手元供養品には粉骨をして入れることもあります。粉骨する必要がある場合、少量であれば遺骨を自分で細かく砕くには、紙に挟んだり袋にいれて硬いもので叩いたり押しつぶしたりするか、乳鉢・乳棒で細かくするという方法があります(隙間に入るのですり鉢とすりこぎはおすすめしません)。遺骨の状態にもよりますが、ほんの少量であれば指でそっと砕くこともできます。

粉骨をする量が多い場合、自分でやるのはなかなかに大変な作業になりますが、粉骨代行サービスというのがあります。このようなサービスを利用すれば、火葬時に混入した不純物の除去や防カビ予防をした上できれいな粉末状にして手元に残すこともできます。遺骨は店舗に持ち込み粉骨に立ち会うこともできますし、郵送で送り、粉骨後送り返してもらうこともできます。

6. 手元供養品の例

形状はミニ骨壺やアクセサリー型のものが人気で、保管場所は、リビングや寝室、仏壇に置くもの、加工して持ち運べるようにしたものなどがあります。価格は1~30万円程度がおおよその相場でしょう。下記のようにさまざまな種類の手元供養品があります。

ミニ骨壺

遺骨の一部、少量を納める小さな骨壺。仏壇や身近なところに安置しておきます。オブジェタイプで中に遺骨を納められるようになっているものもあります。手元供養セット(飾り台と骨壺、写真立て)として販売されているものもあります。

アクセサリー

ペンダントなどアクセサリーの中に少量の遺骨を入れておけるようになっています。メモリアルジュエリーとして手元に置いておくことができます。余ることがないように必要な分だけ分骨しておきましょう。

オブジェ型

お地蔵さん型のオブジェの中のミニ骨壺に遺骨を納められるようになっている「地蔵」や、遺骨をパウダー状にして圧縮したプレートに故人の名前や出生~死亡年月日を刻印した「プレート型」などがあります。

お守り型(ストラップ、キーホルダー、根付)

片手に収まるくらいの大きさの容器に遺骨を入れ携帯できるお守り型(ストラップ、キーホルダー、根付)。持ち歩くことができるので故人といつも一緒にいるようなアイテムです。

フォトフレーム型

写真立てとミニ骨壺が組み合わされていて、リビングや寝室、仏壇などに飾って故人を偲びます。

ダイヤモンド、宝石

遺骨から取り出した炭素から人工ダイヤモンドを作り出し、ペンダントや指輪などに加工し身に着けておくことができます。