弔問客の迎え方―服装、挨拶、返礼品の準備

弔問とは、訃報を聞いて故人の遺族にお悔やみの言葉を伝えることです。訃報を受けた人は通夜や葬儀に参列する以外にも、故人や遺族の自宅等を訪ねる場合があります。今回は通夜の前や葬儀後に自宅を訪れる遺族側の弔問客の対応方法についてご説明します。茶菓や返礼品など事前に準備してものや服装、挨拶やお悔やみの言葉への返し方など、弔問客の迎え方や対応方法を詳しくご紹介します。

index 目次
  1. 1. 自宅に弔問客が訪れるタイミング
    1. 1-1. 通夜の前の弔問
    2. 1-2. 葬儀後の弔問
  2. 2. 弔問したい旨の連絡を受けたら
    1. 2-1. 日時や場所を決める
    2. 2-2. お悔やみの言葉への返事
    3. 2-3. 弔問を辞退したい場合
  3. 3. 弔問客を迎えるための準備
    1. 3-1. 服装
    2. 3-2. 葬儀後の弔問客を迎えるための準備
  4. 4. 弔問客の対応方法
    1. 4-1. 玄関先で
    2. 4-2. 線香をあげてもらう
    3. 4-3. 見送り方

1. 自宅に弔問客が訪れるタイミング

故人や遺族の自宅を訪問したり、通夜や葬儀に参列したりしてお悔やみを伝えることを「弔問」と言います。遺族の自宅に弔問客が訪れるタイミングは大きく分けて、「通夜の前」と「葬儀の後」の2つがあります。

1-1. 通夜の前の弔問

家族・親族は訃報を受けたらすぐに故人の元へ駆けつけますが、家族・親族ではない人は訃報を受けても通夜の前に弔問しないのが一般的です。しかし、故人と特に親しくしていた人の場合は、通夜の前に弔問に訪れることもあります。病院等から自宅に遺体が帰って来てから、取り急ぎ駆けつけてお別れを伝えるケースです。

それから遺族側が希望して、家族同様に親しくしていた人に弔問してもらうケースもあります。その場合は、訃報を伝える際に「ぜひ顔を見に来てください」とお願いします。もし、都合が折り合わないので通夜・葬儀に参列させていただきます、といったように断られた場合は、無理を言わずに引き下がりましょう。

また、地域によっては近所の人が葬儀の準備や手伝いをする場合もあり、通夜の前に弔問することがあります。

1-2. 葬儀後の弔問

家族葬の場合や、やむを得ぬ事情によって通夜にも葬儀にも参列できなかった場合に、葬儀が終わってから弔問することがあります。一般的には、葬儀の3日以降から四十九日までの期間に訪問するケースが多いです。

弔問する人は、事前に遺族へ連絡を取って、先方の都合を確認しますが、弔問したいと当日になって急に連絡が入ることもあります。いつ弔問を受けてもいいように、「3. 弔問客を迎えるための準備」を参考に、ある程度の準備はしておきましょう。

2. 弔問したい旨の連絡を受けたら

弔問する人は事前に遺族へ連絡して、遺族の都合を確認してから弔問するのが一般的です。通夜の前に訪れる場合は訃報を伝えた際に、葬儀後に訪れる場合は電話などで弔問させていただきたい、と言われることが多いでしょう。

2-1. 日時や場所を決める

弔問は遺族の都合に合わせて決めるのが一般的です。来ていただく場所や、迎えに行く場合は待ち合わせ場所、都合のいい日時をいくつか伝えるようにしましょう。

2-2. お悔やみの言葉への返事

弔問を希望する連絡を受けた際、遺族は「ご愁傷さまです」「お悔やみ申し上げます」など、お悔やみの言葉を言われるでしょう。「ありがとうございます」と返すのは不謹慎と感じる人もいるので、お悔やみの言葉に対しては、以下のような言葉を返しましょう。

  • 恐れ入ります
  • 痛み入ります
  • お心遣いありがとうございます

2-3. 弔問を辞退したい場合

急死で悲しみが大きい場合や、要介護者が自宅にいる場合など、弔問を受けられる状況でなければ弔問はお断りして構いません。弔問を辞退したい場合は、訃報を伝える際や訃報や葬儀について知らせる案内状にあらかじめ弔問のお断りをしておきましょう。曖昧な表現ではなく、以下のように明確にお断りすると相手に伝わりやすいでしょう。

  • 諸般の事情により、弔問などのご厚志につきましてはご辞退申し上げます
  • 故人の遺言により、弔問および香典はお断り申し上げます
  • 香典、供花、供物、弔問はご遠慮いただくようお願い申し上げます

辞退しているにも関わらず、重ねて弔問したい旨の連絡を受けた場合は、上記の言葉に加えて「大変恐縮ではありますが、お気持ちだけ頂戴いたします」と付け加えるといいでしょう。

3. 弔問客を迎えるための準備

通夜の前に弔問客が訪れる場合の遺族の服装や、葬儀後に弔問客を迎えるための準備について確認しましょう。

3-1. 服装

通夜の前の弔問や葬儀後の弔問では、喪主も親族も弔問客も平服が一般的です。黒や紺、グレー、白等の地味な色合いのスーツやワンピース、ジャケット、シャツ等を着用しましょう。メイクは控えめに、派手なアクセサリーは身に着けないようにしましょう。

3-2. 葬儀後の弔問客を迎えるための準備

葬儀後に訪れる弔問客を迎えるために、どのような準備をしておけばいいのでしょうか。

玄関と仏間の掃除

弔問客を通す玄関と仏間を掃除しておきます。とくに葬儀後から四十九日までの期間は、いつ弔問客が訪れてもいいように清潔に整えておきましょう。

お茶・お菓子の用意

弔問客をもてなすためのお茶とお菓子を用意しておきましょう。日持ちする個包装のものがおすすめです。子供が来る場合がありそうであれば、子供用にジュースや麦茶等も用意しておくといいでしょう。

返礼品の用意

本来、香典のお返しは四十九日法要が済んでから行うものです。しかし、最近は前もって準備しておき、即日お礼を返す「当日返し」を行うケースが増えています。親族が遠方に住んでいる場合や渡しそびれがないようにするためです。

お供え物や香典を持参する弔問客に当日返しをする場合は、帰り際にお礼の品を渡せるように用意しておきましょう。多めに用意しておくと、弔問客が予定より多く訪れても慌てなくて済みます。返礼品は後日郵送しても問題ありませんが、葬儀の後は行わなければならない手続きが何かと多いものです。その場で渡せた方が、手配の漏れも少ないでしょう。

返礼品はお菓子や食品、消耗品など、手元に残らないものがいいでしょう。一般的に返礼品はいただいた香典の3分の1~半額程度が目安と言われていますが、当日お返しをする場合は、2,000~3,000円程度の品を返すのが一般的です。もし、いただいた香典があまりにも高額だった場合は、弔問当日の返礼品に加えて、後日改めてお礼の品を郵送するようにしましょう。

4. 弔問客の対応方法

つづいて自宅に訪れる弔問客の対応方法をご紹介します。故人がお世話になったこと、わざわざ自宅まで足を運んでくれたことに対して、感謝の気持ちを込めて対応しましょう。

4-1. 玄関先で

弔問してくれた人を玄関で迎えます。以下のように、感謝の気持ちをこめて挨拶をしましょう。

  • 本日はお忙しい中、誠にありがとうございます。故人に代わり、お礼申し上げます。
  • 本日はご多用のところおいでいただき、ありがとうございます。
  • 本日はお暑い中、足を運んでくださりありがとうございます。

弔問客は自分から玄関に上がらないのがマナーです。遺族から「ぜひお線香をあげてやってください」などと言葉をかけ、自宅へ上がるように促しましょう

遺族を気遣い、玄関先でお悔やみを述べてから帰られる弔問客もいます。断られた場合は無理に引き止めないようにしましょう。

4-2. 線香をあげてもらう

弔問客が自宅に上がったら仏間に案内し、線香をあげてもらいます。故人との思い出話をすることが供養になります。ただし、亡くなった死因や経緯は聞かれない限り、詳しく話すことは避けましょう。

香典や供物をいただいたら

弔問客の中には香典や供物を持参する人もいます。祭壇や仏壇に供えられる場合と、遺族へ渡される場合があります。遺族へ香典等を渡された場合は、「お心遣い恐れ入ります。仏壇へ供えさせていだきます。」とお礼を伝え、遺族が祭壇や仏壇に品を供えましょう。いただいた品を供える際は、仏壇側ではなく供える人側から見て正面になるように置くのが正しいマナーです。

(通夜の前に弔問した場合)故人と対面する

通夜の前の弔問の場合は、「お顔を見てやってください」などと遺族から促して、故人と対面してもらいます。遺族が棺の扉を開けたり白布を外したりするようにしましょう。また、弔問客がお線香をあげてすぐに帰る場合は無理に引き止めないようにしましょう。

(葬儀の後に弔問した場合)お茶とお菓子を出す

葬儀後に訪れた人には弔問お茶と簡単なお菓子を出してもてなします。わざわざ足を運んでくださった人へ感謝の気持ちを表すためにも、丁寧な対応を心がけましょう。

4-3. 見送り方

弔問客が帰る際は玄関まで見送り、故人がお世話になったことへのお礼と、忙しい中わざわざ訪ねてくれたことへのお礼を伝えましょう。香典や供物をいただき、当日返しする場合はこの時点で返礼品を渡しましょう。

弔問客を見送る際の挨拶の例は以下の通りです。

  • 本日はお忙しい中、弔問に訪れていただきありがとうございました。故人に代わり、お礼申し上げます。
  • 生前は○○(故人の名前)が大変お世話になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。
  • ご丁寧なお悔やみ、誠にありがとうございました。
  • 弔問していただいて故人もきっと喜んでいます。
Text by:Licca
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