知らずに墓を買うべからず―「指定石材店制度」とは

民営霊園や寺院墓地にお墓を建てる際、決められた石材店からしか墓石を購入することができない「指定石材店制度」というものがあります。「相見積もりがとれない」などの制約があるほか、一度担当石材店が決まってしまうと変更が効かないこともあり、事前の知識がないと思わぬトラブルに発展してしまうケースもあるので注意が必要です。今回はこの「指定石材店制度」について、霊園見学前に知っておきたい基本情報を紹介します。

index 目次
  1. 1. 指定石材店制度とは
  2. 2. 指定石材店制度の背景
    1. 2-1. 民営霊園の場合
    2. 2-2. 寺院墓地の場合
  3. 3. 指定石材店制度の注意点
    1. 3-1. 自身で石材店を選ぶことができない
    2. 3-2. 「墓石」を重視する場合は先に石材店からアプローチする
    3. 3-3. 相見積もりがとれない
    4. 3-4. 石材店の変更ができない
    5. 3-5. デザインや石材の種類に制約があることも多い

1 指定石材店制度とは

指定石材店制度とは、一般的に、お墓を建てる際に墓石を購入するにあたって、霊園や寺院が指定した石材店以外では購入できない取り決めのことを言います。

この制度は、民営霊園や寺院墓地に限ったものとなっており、自治体が運営している公営霊園では、基本的に自由に石材店を選んで規定の範囲内のお墓を建てることができます。

民営霊園、寺院墓地、公営霊園、とは運営主体・経営主体の違いによる分類ですが詳しくはこちらをご参照ください。

2 指定石材店制度の背景

では、この指定石材店制度が用いられている背景にはどのような事情があるのでしょうか。民営霊園の場合と寺院墓地の場合で少々異なってくるので、それぞれ触れてみたいと思います。

2-1 民営霊園の場合

まず、「墓地の経営主体は、自治体または宗教法人などの公益法人でなくてはならない」という決まりがあります。ですので民営霊園は一見民間業者が経営しているようでありながら、そのほとんどは経営者はあくまでも宗教法人というのが実態で、「運営」を民間業者に委託しているという意味で「民営霊園」と呼ばれています。

霊園を立ち上げる場合には巨額の費用がかかるため、宗教法人などの公益法人だけでは賄いきれないことが多く、開発段階から民間業者へ資金援助を乞うことが一般的です。ここで、手を貸す業者のメインとなるのが石材店です。石材店は開発資金の協力と引き換えに、墓地が提供できた際には自社から墓石を購入してもらえるような取り決めを霊園の経営者と結び、後から開発時に協力した資金を回収できるようにしておきます。このような仕組みが、民営霊園で指定石材店制度が一般化している背景にあります。ちなみに、指定石材店の数は1社の場合もあれば10社以上の場合もあるなど、霊園によってまちまちです。

2-2 寺院墓地の場合

寺院墓地の場合は、上記のような理由もありますが、立地が住職やその家族も暮らしている寺院の境内にあることが多いことから、「面識のない業者を敷地内に立ち入らせることに抵抗がある」といった理由が大きいといわれています。ただし、これも管理者である住職の考え方次第なので、なかには指定石材店制度をとらない寺院墓地も存在しています。

3 指定石材店制度の注意点

指定石材店制度についてある程度の知識がないと、思いがけないトラブルに見舞われる可能性があります。事前に注意しておくべき点にはどのようなものがあるでしょうか。主だったものを紹介します。

3-1 自身で石材店を選ぶことができない

指定石材店制度のもとでは、指定石材店以外の業者から墓石の購入ができないだけでなく、指定石材店が複数あったとしてもそのなかから自由に業者を選ぶことができないということもあります。

空きが残っていて利用者を募集している民営霊園では、園内に指定石材店の担当者が詰めている部屋やプレハブ小屋があるのが一般的です。見学者が訪れた際には、そこから当番になっている業者が出てきて応対しますが、このときに挨拶を交わした業者が基本的にそのまま最後まで担当することになります。墓石を購入する石材店は、お墓の購入を決定する時点ではなく、見学に到着した時点で決まってしまうという仕組みです。

お墓の購入を慎重に進めるのであれば、この時点ではまだ業者に氏名や連絡先などの個人情報を知らせないことで業者の決定を回避することができます。また、霊園の雰囲気を知りたい程度で訪れたのであれば、お墓を建てる意思があると感づかせないようにお墓参りを装うのもひとつの方策です。

もし、チラシをみて気に入って赴くのであれば、見学時に必ずそのチラシを持参するようにしましょう。これは一般の消費者にはあまり知られていないことですが、霊園のチラシは経営主体である宗教法人などの費用ではなく、基本的に当地で墓石を販売する指定石材店の費用負担によって発行されています。このチラシには2種類あり、ひとつはすべての指定石材店が費用を出し合って発行しているタイプ、もうひとつは指定石材店のなかの1店が単独で費用負担をして発行しているタイプとなっています。特に後者のチラシを持参したお客さんの場合は、指定石材店内のしきたりによってチラシを発行した石材店の担当となるので、「チラシでみた墓石と違うもの買わされた」などのミスマッチを防ぐことができます。また、前者のチラシを持参したお客さんの場合は、チラシを持参していない場合と同様に、当番となっている業者が販売を担当することとなります。

3-2 「墓石」を重視する場合は先に石材店からアプローチする

また、事前に購入を希望する意中の石材店が、検討している霊園の指定石材店のなかにある場合は、霊園を訪問する前にその石材店と連絡を取って現地の案内を乞うことで、その石材店を担当とすることができます。その際、希望に沿った別の霊園を紹介してもらえる可能性もあるので、デザインなどで気に入っている石材店がある場合には、この方法がベターだといえるでしょう。

3-3 相見積もりがとれない

上記のように、指定石材店が1店に限定される都合上、競合他社から見積もりをとることができません。これにより、価格面での競争ができないばかりか、提示される価格の妥当性が分かりにくかったり、強気な価格が提示されたりすることもあるので注意が必要です。

事前に墓石価格の相場などをある程度頭に入れておき、対等な立場で交渉ができるようにしておきたいものです。霊園によっては、ホームページに指定石材店のリストを掲載しているところがありますので、1つ1つの石材店に電話などで問い合わせてみるのも手です。ちなみに、公営霊園の場合は指定石材店制度がないため、利用者が自由に石材店を選ぶことが可能で、相見積もりがとれないといったこともありません。

3-4 石材店の変更ができない

担当者の態度が気に入らないような場合には、墓石を購入する業者を変えたくなるものですが、これも指定石材店制度の制約によって原則的に変更することができません。

どうしてもその霊園にお墓を建てたいのであれば、その業者から我慢して購入せざるを得ないのが現状です。もしそれが嫌なのであれば、正当な理由がない限りお墓を建てる霊園自体を変えるしか方法はないでしょう。

少しでも不安を感じた場合は、すぐに管理事務所に相談してください。トラブルを避けられる可能性もあります。また、なかには永代使用料の納付前であれば石材店の変更が可能な霊園もあるので、訪問前に管理事務所に問い合わせておくと安心でしょう。

3-5 デザインや石材の種類に制約があることも多い

お墓の大きさやデザインについて、ほとんどの霊園では一般墓所や芝生墓所などの墓域ごとに一定の規制があり、その範囲内で検討することになります。ただし、規定の範囲内だからといってどの石材店でも自分の思い通りのお墓を作ってもらえるとは限らず、なかには用意された数パターンのなかからしか選べないケースもみられます。

理想とする墓石の意匠がはっきりしている場合や、個性的なデザインのお墓が建てたい場合には、墓石デザインの自由度を売りにしている霊園を探すか、公営霊園も含めて検討した方が良いかもしれません。

このように、ほとんどの民営霊園や寺院墓地では指定石材店制度をとっており、一般的なものの購入時とは違った特別なルールやしきたりが存在します。事前にしっかりと情報を収集し、気持ちよくお墓が建てられるようにしておきたいものです。

Text by:松田 朝九
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