民営霊園とは2―小規模都市型民営霊園の特徴とメリット・デメリット

霊園や墓地は運営形態によって、大きく「公営霊園」「民営霊園」「寺院墓地」の3種類に分けられます。なかでも「民営霊園」は、立地や規模などから「大規模郊外型」と「小規模都市型」に大別してとらえると、それぞれの特色がつかみやすく、お墓を購入する際の参考になります。今回は、小規模都市型の民営霊園に着目して、「民営霊園」全般の特徴とともに、知っておきたい情報や利用する際のメリット、デメリットを紹介します。

その他の運営形態の霊園についてはこちらの記事もご参考ください。

index 目次
  1. 民間の企業や団体が管理、運営する民営霊園
  2. 民営霊園のメリット、デメリット
  3. 小規模都市型民営霊園の特徴

民間の企業や団体が管理、運営する民営霊園

霊園や墓地は、一般的に運営主体によって「公営霊園」「民営霊園」「寺院墓地」の3タイプに分類して扱われています。そのなかの「民営霊園」は、民間の企業や団体が管理、運営を行っている霊園のことを指します。ちなみに「公営霊園」の運営主体は自治体であり、「寺院墓地」の運営主体は寺院などの宗教法人です。

民営霊園のメリット、デメリット

民営霊園全般のメリット

「民営霊園」は、公営霊園や寺院墓地と比較すると、さまざまな面で自由度が高いという特徴があります。おもなメリットとして、次のようなものが挙げられます。

宗教の制限がない

「民営霊園」のほとんどは宗旨・宗派不問となっており、利用する際の宗教的な制約がありません。また、基本的に生前に購入することも、多くの場合可能となっています。

先着順で好きな区画が利用可能

公営霊園では、基本的に1年ごとに募集期間が定められていますが、「民営霊園」では、区画に空きがあれば先着順で申し込むことができます。区画の位置などによって細かく料金設定がされていますが、支払いが可能であれば、好きなタイミングで好きな場所にお墓を持てるので、すぐにお墓を建てたい場合に向いているといえます。また、ペットとともに眠れる区画を設けたり、樹木葬の区画を新設したりするなど、利用者の需要を察知して素早い対応をみせるのも「民営霊園」の特色のひとつです。

墓石のデザインが比較的自由

高さなどの制限はありますが、「民営霊園」では、墓石デザインの自由度が高い点も特色のひとつとなっています。故人に縁のある楽器などをモチーフにした墓石のほか、最近ではクリスタルガラスを用いた透明なお墓など、材質そのものにこだわったお墓も見受けられます。

民営霊園全般のデメリット

施工石材店が指定される

公営霊園の場合は、自分の好きな石材店に依頼してお墓を建てることができますが、「民営霊園」では、霊園側から石材店を指定されることが一般的です。このとき指定される石材店ですが、1業者だけの場合もあれば、複数から選べる場合もあります。

比較的費用が高め

公営霊園や寺院墓地と比較すると、「民営霊園」はサービスが充実しているところが多く、その分永代使用料や管理費も高くなっている傾向がうかがえます。なかでも、角地であったり、日当たりや眺望のよい区画だったりする場合は、永代使用料が高めに設定されていることが一般的です。

小規模都市型民営霊園の特徴

「民営霊園」は、立地や規模によって、郊外に立地する丘陵などを使って造成した広大な「大規模郊外型」と呼べるものと、都市部に多くみられる敷地面積がそれほど広くない「小規模都市型」と呼べるものにタイプ分けして考えることができます。ここでは、「小規模都市型」の民営霊園のメリットやデメリットについて紹介します。

小規模都市型民営霊園のメリット

公共交通機関を使ったアクセスが良い

鉄道やバスなどの公共交通機関が発達している都市部に立地する小規模都市型民営霊園は、駅やバス停から徒歩で向かえるところがほとんどで、自家用車を持たない人がお墓参りなどに訪れる際にとても便利だといえます。都市部の住宅地に住んでいる人にとっては、郊外の大規模な霊園に比べて短時間で移動できる点が魅力のひとつとなるでしょう。

園内の移動距離が少なく済む

入口から霊園全体が見渡せるような広さであることも珍しくない小規模都市型民営霊園は、お墓参りなどの際に園内で移動する距離も少なく済みます。また、全域が平坦だったり、バリアフリーな作りになっていたりするところも多く、歩くのが困難な人にとって比較的お参りしやすい環境のところが多いのも特色です。

アットホームな雰囲気

小規模都市型民営霊園では、建てられているお墓の数も比較的少ないため、訪れる人の数も限られます。そのため、管理事務所のスタッフと顔を合わせてコミュニケーションをとる密度も濃く、距離感の近い付き合いを行っているところが多くみられます。なかには、霊園の利用者同士の親睦を図るために旅行会や落語会などのイベントを行っているところもあり、「お墓の近所づきあい」が盛んな点を特色として打ち出しているところもあります。

小規模都市型民営霊園全般のデメリット

区画が少ない

小規模都市型民営霊園は、郊外の霊園に比べると敷地全体の面積が広くないこともあり、提供されている区画の数も少ない傾向にあります。購入を迷っているうちに埋まってしまわないよう、検討している区画がある場合は注意してください。

車の利用が不便なところもある

特に都心部などにある小規模な民営霊園では、駐車場が設けられていなかったり、あっても台数が少なめであったりするところが珍しくありません。近隣に時間貸しのパーキングが存在するところもありますが、必ず空きがあるとは限らないので、車で訪れる際には不便を感じる場合もあるでしょう。

こんな人にオススメ

小規模都市型の「民営霊園」は「公営霊園」や「寺院墓地」と比べると、次のような人や家族に向いている霊園だといえます。

  • 電車やバスなど公共交通機関によるアクセスが良い場所にお墓を建てたい
  • 歩くのが困難な人がお参りに来ることを想定したお墓にしたい
  • 霊園スタッフやほかの利用者とのコミュニケーションを重視する
  • 自宅からなるべく近くにお墓が欲しい
  • 自家用車でのお参りをあまり想定していない

また、「民営霊園」は、全般的に次のような人や家族に向いているといえます。

  • 霊園内で自分の好みの場所にお墓を建てたい
  • 墓石のデザインを個性的なものにしたい
  • 家族と一緒にペットも埋葬してほしい
  • お墓の購入を急いでいる

今回は規模と立地によって「小規模都市型民営霊園」として枠組みを行ってみてきましたが、そのなかでも霊園それぞれに違った個性があり、独特の魅力を備えているものです。Webやパンフレットなどから得た情報で興味を持った霊園があるようであれは、管理事務所に連絡を入れて一度見学に行ってみてはいかがでしょうか。現地の空気を肌で感じると、お墓を建てた後のイメージもより具体的になるかもしれません。

Text by:松田 朝九
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