霊園や墓地を運営形態でみると、大きく「公営霊園」「民営霊園」「寺院墓地」の3タイプに分けることができます。今回は、そのなかの「寺院墓地」を取り上げ、概要や利用する際のメリット、デメリットなどを紹介します。
その他の運営形態の霊園についてはこちらの記事もご参考ください。
霊園や墓地を運営形態でみると、大きく「公営霊園」「民営霊園」「寺院墓地」の3タイプに分けることができます。今回は、そのなかの「寺院墓地」を取り上げ、概要や利用する際のメリット、デメリットなどを紹介します。
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「寺院墓地」は、寺院が所有し、運営や管理もその寺院が行っている墓地のことを指します。公営霊園や民営霊園との違いは、所有者または運営者にあります。まず、公営霊園の場合ですが、運営を民間に委託しているところもありますが、基本的に所有者、運営者ともに主体は自治体です。続いて民営霊園の場合ですが、所有者については寺院などの宗教法人や社団法人であることが多いですが、運営や管理は民間企業が行っています。
利用者側に求められる公営霊園や民営霊園との大きな違いとして、基本的に宗教の制約があるという点が挙げられます。「寺院墓地」はそもそも、その寺院の檀家のために提供されているものであるため、「寺院墓地」にお墓を建てる際には、まず檀家になる必要があります。なかには墓地の一角を檀家にならなくても使用できる宗旨不問の区画として提供している寺院もみられますが、ほとんどの場合、もともとその寺院の檀家でない場合は入檀して、その宗教、宗派の信徒となることが求められます。また、檀家になるということは文字どおり、家と寺院とのつながりを持つということになるので、布施などの経済支援をはじめとする寺院との付き合いが代々にわたって続いていくということも念頭に置いておく必要があります。
「寺院墓地」にお墓を建てる際ですが、公営霊園や民営霊園と同様に、土地の所有権の移動は行わず、対価と引き換えにお墓を建てる土地の使用権を得るやり取りを行うのが基本となります。
「寺院墓地」では、割り当てられた区画に応じて家ごとに墓石を建てる外墓の様式が多くみられますが、なかには不特定多数の遺骨を1カ所にまとめて埋葬する合祀墓や、屋内の納骨堂などを備えたところも見受けられます。
公営霊園や民営霊園は、基本的に墓地の提供と管理のみを行っており、法要などはオプションのサービスとなっている場合がほとんどです。一方、「寺院墓地」では、法要を執り行う寺院そのものが管理や運営を行っているため、檀家となってお墓を持てば、一切の供養を任せることができます。また、法要のタイミングが近づくと声をかけてもらえたり、細かなしきたりなどの疑問や不安があれば、いつでも相談に乗ってもらえたりするといった安心感が得られる点もメリットとして挙げられます。
墓地の提供者と利用者という関係の公営霊園や民営霊園とは違い、寺院と檀家は非常に強い結びつきの関係です。その分、供養も手厚く行われ、法要などの際は優先的に扱ってもらうことができます。このような僧侶との距離感の近さもひとつのメリットといえるでしょう。
また、歴史の授業で習うような名刹、古刹にお墓が持てることもあります。特に本山などの大寺院では、その境内にある施設を使用した格式の高さが感じられる法要を執り行ってもらうことも可能です。
寺院は宗教施設であることから、静かで落ち着きのある環境にあることがほとんどです。寺院の境内や近隣に立地する「寺院墓地」のお墓では、厳粛な空気に包まれた静謐な環境で安らかに眠ることができるでしょう。
ほかにも、古くから近隣の住民と歴史をともに歩み、地域に根差してきたことによる地元との連帯感も、「寺院墓地」特有のメリットだといえます。
公営霊園や民営霊園では、伝統的な和型の墓石以外にも洋型の墓石がみられるほか、一定の範囲内であれば自由なデザインの墓石が建てられるところも数多くありますが、「寺院墓地」でみられるお墓は和型の墓石のみであることがほとんどです。また、公営霊園や民営霊園では比較的多くみられる芝生墓所も「寺院墓地」では、ほとんどみかけることはありません。
寺院墓地にお墓を持つ際には、檀家となるために発生する費用とお墓を建てるための費用がかかります。檀家となるために発生する費用は「寺院墓地」ならではのもので、檀家になるための入檀料や、寺院を維持していくために納める護持会費などがあります。一方、お墓を建てるための費用は公営霊園や民営霊園と同様で、墓所の永代使用料や墓石代などとなっています。これらの金額ははっきりと示されることが多いですが、上記以外に必要となる法要の際などのお布施などについては、渡す側の気持ち次第となっていることがほとんどです。また、寺院の改修する際などに寄付金を乞われることもあります。このように費用面で不明瞭な部分があるため、最初のうちは戸惑うことがあるかもしれません。
さらに、将来、別の場所にお墓を移すなどの事情によって檀家を抜けるケースが出てくるかもしれませんが、その際に離檀料を求められることもあります。この離檀料の金額も基本的には納める側の気持ち次第であることが一般的ですが、なかには折り合いがつかず、トラブルに発展してしまうケースもあります。檀家を抜けることが見込まれる場合には、早めに寺院へ相談を持ち掛けて、穏便に事を進められるように心がけておくとよいでしょう。
寺院は、基本的に墓地の提供を主目的としていないため、積極的に墓域を拡張していることはほとんどありません。また、「寺院墓地」は古くから代々使われていることから、ふんだんに空き区画があるということもまれです。そのため、自分が希望する場所に、希望する大きさのお墓を建てることは難しいといえるでしょう。
管理を行っている寺院によっては、「寺院墓地」の運営よりも布教活動に重きを置くなどといった事情によって、利用者が求めるような対応をしてもらえないことも考えられます。事前の面談などで住職の人柄をしっかりと確認し、将来的にうまく付き合っていけるか、しっかりと判断することが重要です。
「寺院墓地」は「公営霊園」や「民営霊園」と比べると、次のような人や家族に向いているお墓のスタイルだといえます。
「寺院墓地」にお墓を建てるということは、多くの場合、ある宗教に帰依し、後世に受け継いでいく行為となります。継承者がいる場合にはその点をよく話し合ってから、寺院への相談を持ち掛けるようにしましょう。継承者がいない場合は、代々墓守が必要となる一般墓ではなく、永代供養を行ってもらえる合祀墓や納骨堂などを利用する方法が主要な選択肢となります。検討している「寺院墓地」にそのようなタイプのお墓があれば、そちらを利用し、もしないようであれば、公営霊園や民営霊園も含めたなかから継承者がいなくても使用できるお墓を探し、検討するとよいでしょう。
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