死んだらかかる「本当の最小限費用」とお金をかけずに葬儀をする方法 ―葬祭費・埋葬料給付金制度や葬祭扶助についても解説

「相場が分からない」「すごくお金がかかりそう」…。どのくらいの費用がかかるのか分かりづらくなんとなく高額なイメージの葬儀費用。一生のうちに何度も喪主を務める機会があり葬儀費用の内訳にまで精通しているという人はあまりいないでしょう。通夜、葬儀は急な出来事であることも多く、何にどの程度のお金がかかるのか、よく分からないままに慌ただしく決めてしまうということもあるのではないでしょうか。

亡くなった人や地域、参列者の数、遺族の考え方によっても大きく異なってきますが、葬儀費用の平均は約200万円。最近は家族葬など葬儀をシンプルに小さく行う傾向があり、葬儀費用の実際の平均は100万円程度といわれています(※)。それでも100万円は少なくないお金ですね。葬儀費用がない、負担が大きい、どれくらいかかるのか不安というケースもあるでしょう。人が亡くなったら本当に必要なことと最低限かかる費用はいくらなのでしょうか。

※MONEYzine/葬儀費用の全国平均は200万円、首都圏の「家族葬」は100万円以下
https://moneyzine.jp/article/detail/215487 (外部リンク)

今回は、葬儀の費用をいかに抑えることができるか、という観点にたち、様々な葬儀方法や制度をご紹介してまいります。

index 目次
  1. 1. 人の死に際して最低限必要なものとその費用
    1. 1-1. 最低限必要なものリスト
    2. 1-2. 「最低限」の費用とは
  2. 2. 直葬・火葬式
    1. 2-1. 直葬の大まかな流れ
    2. 2-2. 直葬にかかる主な費用
    3. 2-3. 直葬のメリット・デメリット
  3. 3. 市民葬・区民葬
    1. 3-1. 市民葬・区民葬とは
    2. 3-2. 区民葬利用の流れ
    3. 3-3. 祭壇、霊柩車、火葬料金、遺骨収納容器の費用の目安
    4. 3-4. 区民葬の利用例
  4. 4. 葬祭費・埋葬料給付金制度
    1. 4-1. 国民健康保険や職場の健康保険に加入していれば受け取れる給付金
    2. 4-2. 葬祭費給付金支給制度:国民健康保険(後期高齢者医療制度)に加入していた場合
    3. 4-3. 埋葬料給付金制度:職場の健康保険組合や共済組合に加入していた場合
  5. 5. 葬祭扶助
  6. 6. まとめ

1. 人の死に際して最低限必要なものとその費用

本当に「最低限」の必要なことを考えると通夜や葬儀という儀礼は不要、火葬のみを行う直葬という形になるでしょう。人が亡くなってから火葬をして収骨するまでの主な流れは次のようになります。

1-1. 最低限必要なものリスト

死後処置(エンゼルケア)

病院では看護師が、自宅で亡くなった場合は医師の死亡確認の後に葬儀業者が行うのが一般的です。傷などの手当やアルコールで身体を拭く清拭(せいしき)、鼻・口・耳、肛門へ体液が出ないように脱脂綿詰めたりすることで「エンゼルケア」ともいいます。病院であればこれらの死後処置をした後に霊安室に移動して仮安置します。

死後処置は病気の治療ではないので、医療保険は適用されません。かかる費用は病院の場合は無料~5,000円、1万円程度と幅があり、入院していた場合は入院費と併せて請求されます。

死後処置や死後化粧についてはこちらをご参照ください。
「エンゼルメイク(死化粧)をご家族の手で」
https://sobani.net/articles/angelmake

死装束

納棺の前に亡くなった人に着せる衣裳のことを死装束(しにしょうぞく)といいます。死後2時間くらいから死後硬直が始まりますので、その前には病院または自宅等の安置場所で着替えを終えるようにします。死装束は葬儀社に手配を依頼する場合は平均1万円程度かかりますが、故人が気に入っていた着物や服を着せるのでもかまいません。場合には費用はかかりません。

退院手続きと死亡診断書の受け取り

病院で亡くなった場合は退院の手続きや清算をし、「死亡診断書」を受け取ります。この「死亡診断書」は死亡届を役所に出す際に必ず必要な大事な書類です。死亡届を出すと同時に火葬許可を申請して火葬許可証の交付を受けます。「死亡診断書」の発行は実費で5,000円~1万円程度の費用が要りますが、役所での死亡届提出と火葬許可証の交付には費用はかかりません。

死亡届、火葬許可証についてはこちらをご参照ください。
「死亡届」の記入方法と提出方法
https://sobani.net/articles/shibou-todoke
火葬のための手続きと「火葬許可証」
https://sobani.net/articles/kasou-kyokasyou

遺体搬送・搬送車両

火葬は死後24時間しないとできないので、それまで自宅に安置するのか、他の場所に安置するのか決めます。搬送はすでに葬儀業者が決まっていれば葬儀業者へ、決まっていなければ病院紹介の葬儀業者等に搬送だけ依頼します。

自家用車での遺体の搬送には事前の申請や許可は必要ありません。しかし「死亡診断書」または「火葬許可証」の携行が必要です。しかし個人で行おうとすると最も難しいのがこの遺体の搬送の部分でしょう。

遺体は衛生上棺に入れるか、防水シートにくるんでストレッチャーに載せた状態で車に載せます。大人の遺体を棺に入れた場合は乗用車では車内の髙さが足りないので、ミニバンや軽トラ程度の大きさは必要です。またレンタカーは、衛生問題等から遺体の搬送には使用できないことが多くなっています。

遺体の搬送には、死後処置とは別に搬送のための準備が必要になってきます。その際体液の漏れや遺体の損傷に注意して運ばなければならないので、遺体を防水シートで包む、おむつをする、車に防水シートを敷くといった処置が要ります。また遺体は予想以上に重いので、葬儀社ではストレッチャーや担架を使用しますが、このあたりは個人での準備が難しい部分になります。

遺体の処置の難しさや遺体を安定して運ぶこと、搬送の労力や車両の準備を考えると、この遺体搬送は葬儀業者に依頼をした方がスムーズでしょう。遺体の搬送は病院と提携している業者に、葬儀はもともと決めていた葬儀社に依頼することが多くなっています。葬儀社によっては「ご遺体搬送サポートプラン」といった、ミニバン車両、棺、防水シーツ、ドライアイス、葬儀社スタッフのサポートが含まれたプラン(5万円~8万円程度)もあります。

安置場所

遺体は火葬まで火葬場の安置施設や自宅に安置することになります。自宅に棺を載せられるエレベーターがある、棺が通れるまたは置けるスペースがある、など安置できる条件がそろっていれば自宅安置で問題ないでしょう。そうでない場合は安置施設を借りることになりますが、その場合は施設使用料がかかります。

ドライアイス

自宅に自分で遺体を安置するとなると、遺体の冷却と保存が難しい部分になります。遺体の変色や体液の漏れなどを防ぎながら火葬の日まで遺体を保存しなくてはなりません。地域や時期によりますが、すべての窓とカーテンを閉める、冷房を最低温度に設定する、大量のドライアイスを準備し必要であれば交換する、といった作業が必要になります。ドライアイスの量も室内の気温や故人の体重によって異なりますが、1日あたり5000円~1万円程度が目安です。

枕飾り

安置した遺体の枕元には枕飾り(簡易的な祭壇)を設置しますが、必ずしもなければいけないものではありません。仏式の枕飾りは三具足(香炉、燭台、花立)、枕団子・一膳飯・水(自分で準備)、鈴(リン)になります。葬儀業者の直葬プランには三具足が含まれている場合もありますし、入手が難しいものではないので時間があれば自分で用意してもかまいません。個人で購入するとするとネット通販で3千円、5千円台くらいからあります。

火葬場では棺に入っていない遺体の火葬は受け付けていませんので、棺は必須になります。棺はサイズや材質などにより価格が異なります。個人で購入するとするとネット通販で安いもので2万円台からあります。棺と布団3点がセットになった「直葬セット」もあります。

火葬

火葬費の相場は0~6万円 です。例えば、東京の瑞江斎場では亡くなった人が都民であれば61,000円になります。自治体によって住民であれば火葬費無料という公営の火葬場もあります。

火葬場はほとんどのところで個人での予約が可能です。例えば、金沢市の市営の火葬場では、自分で火葬場に予約をし、火葬許可証・棺・骨壺・棺を搬送する車両の4点が揃えば葬儀業者を通さずに個人で火葬を行うことができます。

しかし、いずれの火葬場においても、火葬許可証があること、ペースメーカー使用は必ず事前に申し出ること、棺に入れる副葬品の確認を受けること、などの使用条件があります。事前に各火葬場にお問い合わせください。

一般的な火葬の流れについてはこちらをご参照ください。
火葬の段取りと法要・儀式
https://sobani.net/articles/kasou-dandori
東京の火葬場についてはこちらもご参照ください。
ここが違うよ東京の葬儀 ―独特といえる東京の葬儀事情
https://sobani.net/articles/tokyo-sougi#sub2

骨壺(収骨容器)

関東と関西で収骨する遺骨の量が異なるので(関東は全拾骨、関西は部分拾骨であることが多い)、関東の骨壺は7寸(2号)、関西は2寸~5寸と大きさが異なります。骨壺は火葬場によって、自分で骨壺を持ち込むのは禁止で火葬場のものを利用するところと、自分で用意して持ち込むところがあります。火葬場のものを利用する場合も、別途骨壺代がかかるところと火葬費に含まれているところがあります。

例えば、戸田葬祭場(民営)では骨壺は火葬場のものを利用しますので、全骨、分骨ともに骨壺の持ち込みはできません。希望の骨壺を持ち込む際は手数料5,000円がかかります。骨壺は素材と大きさにより料金が異なりますが、最も安い「白瀬戸 2号一式」だと税込13,970円となります。

また、臨海斎場(公営)では骨壺は火葬場のものを利用しますが、火葬費に骨壺、桐箱、覆い、風呂敷、骨壺への名入れが含まれています。

無料で骨壺を提供している火葬場や、火葬場内の売店で骨壺を買うことができるところもあります。個人で購入するとすると、ネット通販で安いもので1,000円台からあります。持ち込める骨壺の素材や大きさなどについては火葬場により規定、条件がありますので必ず火葬場に確認するようにしてください。

1-2.「最低限」の費用とは

以上のように死亡から火葬・収骨までの流れを見てみると、最低限、費用を負担して準備が必要なのは、

  • 死亡診断書 (5,000円~1万円)
  • 死後処置(0~1万円)
  • 遺体搬送(4万円~6万円)
  • 棺(2万円~)
  • ドライアイス(必要な場合は1万5千円~)
  • 火葬費(0~6万円)
  • 骨壺(1,000円~)

ということになります。

次に通夜や葬儀を行わず火葬だけを行う直葬(火葬式)について解説いたします。

2. 直葬・火葬式

直葬(ちょくそう・じきそう)または火葬式とは、通夜や葬儀を行わず、火葬のみで亡くなった人を見送ることです。数人の近親者のみが立ちあい、祭壇も読経も精進落としもない(別途費用で依頼することもできますが)最も簡素な形式になりますので、大幅に費用を抑えることができます。直葬・火葬式は故人の遺志が「葬儀不要」だった場合や経済的事情、亡くなった人が高齢で参列者が10名以内の少数、といった理由で利用されています。少し古いデータですが、NHKが2013年に行った調査によると関東では、この時点ですでに5件に1件が直葬であったとのことです。

(参考)葬儀 関東では5件に1件が"直葬"/NHK
https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/800/152205.html (外部リンク)

ただし、まだ馴染みのない人も多いことから、家族や親族などには従来の通夜葬儀とは異なることを説明し、周囲の理解を得ておく方がいいでしょう。

2-1. 直葬の大まかな流れ

葬儀をせずに火葬するのみといっても、遺体の搬送や、安置火葬場の予約など個人で手配するのはなかなかに難しいものです。個人で行う人もいますが、慣れた葬儀業者に依頼した方がスムーズでしょう。

一般葬との違いとしては、通常の仏式の葬儀は前日に通夜、葬儀・告別式、出棺、火葬、繰り上げ初七日法要、精進落としという流れになりますが、直葬は遺体安置と火葬だけを行います。通夜や葬儀、火葬後の法要は行いません。大まかな流れは以下です。

1.葬儀業者に直葬(火葬式)を依頼・打ち合わせ

死亡診断書に記載された死亡時刻から24時間経過しないと、火葬することはできません。役所に死亡届の提出した後、葬儀業者と段取りや費用を相談し、火葬場の空き状況や遺族の都合によって火葬日を決めます。

2.遺体の搬送・安置

病院など亡くなった場所から、火葬まで遺体を安置する場所に搬送します。安置する場所は自宅か、火葬場に併設されている霊安室などが利用できる場合もあります。

3.遺族は故人と一緒に過ごす

亡くなってから火葬までの日数によりますが、遺族は亡くなった人に付き添って一晩か二晩過ごすことが多くなっています。付き添えない場合は葬儀社の人に付き添いを依頼することもできます(別途付き添い料)。火葬場の安置施設だと遺族が付き添えないことも。

4.火葬当日

遺体を安置している場所で納棺を行い、希望があれば焼香や花入れ、読経などを行うことができます。火葬場へ移動し、火葬と収骨を行います。火葬当日にかかる所要時間は3、4時間が目安になります。

2-2. 直葬にかかる主な費用

直葬の費用の相場は20~30万円。次のようなものが葬儀業者の「直葬プラン」や「火葬式セット」に含まれています。1章でみてきたような最低限必要なものが含まれているか、オプションで追加料金がかかるものがないか確認しましょう。とくに火葬費、遺体搬送車両(搬送距離によって料金が変わることも)、安置施設使用料、ドライアイスについては、数社見積もりを比較し契約の前にしっかり確認をしておきましょう。

また後述の3章、「市民葬・区民葬」は、市内、区内均一料金で「祭壇、霊柩車、火葬、遺骨収納容器(骨壺)」を組み合わせて利用する制度です。併せて検討してみましょう。

直葬に含まれる内容例と費用相場
内訳 相場 備考
火葬 0~6万円 例:東京・瑞江斎場61,000円(都民)。自治体によって住民であれば火葬費無料という公営の火葬場もあります。
遺体搬送車両 2~3万円 亡くなった場所から遺体を安置する場所まで・遺体を安置する場所から火葬場まで搬送。深夜や早朝の場合、加算の場合も。
安置施設使用料 5千円~3万円 自宅以外の葬儀業者の安置施設に遺体を安置する場合。亡くなった日から火葬日まで通常3日間分
ドライアイス(遺体保存用) 5千円~3万円 亡くなった日から火葬日まで通常3日間分
枕飾り一式 1万円~3万円
遺影 5千円~1万円
2万~10万円 大きさ、材質によって費用が大きく変わる。
死装束(仏衣) 1万円
別れ花 3万円
骨壺 8千円
休憩室(控室) 1万円~5万円 火葬の間に遺族が待機する。火葬場と使用する部屋によって異なる。
人件費・手続き代行 3万円~6万円

2-3. 直葬のメリット・デメリット

直葬を選ぶ際の注意点はまず、事前に直葬の内容や流れを説明し、周囲の人の了承を得ておくことです。通夜や葬儀の儀礼を行わないので今までの一般的な葬儀のイメージとは異なります。付き合いのあるお寺や菩提寺があれば通夜、葬儀を行わないことを伝えて納得してもらう必要があります。直葬は基本的にごく少数の近親者のみで行うので、遠い親族や友人、知人には声をかけないケースも多くあります。その場合参列できないことを残念に思う人もいるかもしれません。後日弔問に来ていただくなどの対応が必要になる場合もあります。

また、一般葬では多くの場合葬儀のための式場を借りるので、遺体は亡くなった場所から式場に搬送して安置します。しかし、直葬の場合は火葬まで遺体を安置しておく場所を考えなければなりません。自宅に安置するか、葬儀社や火葬場の霊安室を借りて安置することになります。安置された遺体に遺族が付き添えるところと付き添えないところがあります。

通夜や葬儀という儀式は、故人のために行われると同時に遺された人が大切な人が亡くなったことを受け入れていくプロセスでもあります。通夜や葬儀をするのかしないのか、火葬だけでいいのか、誰がどのように亡くなった人を見送るのか、生前に本人の希望を聞いて相談しておいてもいいでしょう。

直葬は準備するものも少なく、かかる時間も短く、労力的にも遺族の負担は少ないというメリットがあります。費用も大幅に抑えられます。本人や家族が通夜や葬儀といった儀式にこだわらない、本人が高齢で参列者が少ない、それまで医療や介護にお金がかかり葬儀にかける費用がない、といったケースに向いています。

3. 市民葬・区民葬

3-1. 市民葬・区民葬とは

市民葬・区民葬とは、自治体と市民葬・区民葬儀取扱店が提携し比較的安い費用でできる簡素な葬儀のことです。とくに首都圏の自治体で取り入れられている制度ですが、これは戦後、庶民の生活が厳しい時代に東京の葬祭業協同組合が東京都に働きかけて始めた「都民葬」を由来とするからです。

ここでは、亡くなった人か喪主が東京23区に住んでいる場合に利用できる「区民葬」を例に説明いたします。

区民葬の大まかな流れは、

↓区民葬儀取扱店と契約、
↓納棺
↓祭壇設営
↓通夜
↓告別式
↓出棺
↓祭壇撤収
↓火葬

となります。区民葬の利用には「区民葬儀券」が必要です。死亡届提出の際に役所の窓口で交付してもらえます。この区民葬儀券は、祭壇、霊柩車、火葬料金、遺骨収納容器(骨壺)の4項目のうち、必要なものを選び組み合わせて利用するしくみになっています。

区民葬儀取扱店で同一料金が設定されているので、気づいたらあれこれ追加になっていてあとで高額な費用を請求されるといった心配はありません。ただし、斎場で葬儀を行う場合は、式場利用料等の追加の費用がかかります。またドライアイス、遺影写真、会葬礼状、返礼品、生花、御供物、斎場使用料等は含まれていないので、追加料金を確認しておきましょう。

注意点としては、追加の費用を含めると区民葬・市民葬は必ずしも「最安値」とはいえない点です。一般の葬儀業社の通夜を行わない一日葬や、必要なものだけを含んだシンプル葬儀プランや家族葬、通夜告別式をしない直葬プラン(3.直葬・火葬式参照)など、かかる費用を抑えた他の方法と比較してみるといいでしょう。

3-2. 区民葬利用の流れ

それぞれの区によって、区民葬儀券を利用できる区民葬儀取扱店が指定されています。例えば世田谷区内であれば18店、新宿区内であれば14店あります。また、葬儀式場や火葬場も利用できる場所が決まっています。区民葬儀券は死亡届提出の際に必ず交付してもらうようにしましょう。葬儀を行った後には発行されないので注意が必要です。

1.葬儀の内容を決める
以下を検討します。
  • 葬儀を行うか、火葬だけにするのか
  • 葬儀を行うなら、自宅で行うか斎場・葬儀式場で行うか
    (斎場・葬儀式場などで葬儀を行う場合は、式場利用料等の追加の費用がかかります。)
  • 区民葬儀でない他のプランの価格も比較検討
2.葬儀業者に見積もりを出してもらって葬儀業者を決める
葬儀の依頼と「区民葬儀券を利用する」旨を伝える

区民葬儀はそれぞれの区で取扱店が指定されています。

3.死亡届の提出と区民葬儀券の受け取り

役所に死亡届提出し、火葬許可証と区民葬儀券を受け取ります。

4.祭壇などを選ぶ

祭壇、霊柩車、火葬料金、遺骨収納容器を選び、それ以外の式場利用料、お花代など追加で必要なものについても葬儀業者と葬儀内容を確認します。使用する券に必要事項を記入して葬儀業者に提出します。

5.葬儀(通夜・告別式・出棺・火葬)
6.支払い

区民葬儀取扱店に葬儀の費用の支払いをします。

3-3. 祭壇、霊柩車、火葬料金、遺骨収納容器の費用の目安

祭壇、霊柩車、火葬、遺骨収納容器(骨壺)は、大きさや材質、サービス内容のランクによって料金が異なります。料金ランクごとに内容や規格、付属品などが決められているので同一ランクであれば区民葬儀取扱店による違いはないと考えていいでしょう。それぞれの料金の目安は次の通りです。この4つ以外の料金は区民葬儀取扱店により異なります。

  • 祭壇 91,000円~295,800円(税抜、祭壇・棺の規格による)
  • 霊柩車・運送 14,160円~(税抜、走行距離・車種による)
  • 火葬(非課税、民営火葬場の利用限定) 53,100円(大人)、29,000円(満6歳以下)
  • 遺骨収納容器 9,800円または10,900円(大人用)、2,300円(小人用)(税抜)

3-4. 区民葬の利用例

区民葬は、例えば次のように祭壇、霊柩車、火葬料金、遺骨収納容器(骨壺)を組み合わせて利用します。

例1:自宅で葬儀+民営火葬場(都内7か所の火葬場のいずれか)を利用
  • 祭壇(B券白布3段飾)とプリント棺 124,000 円
  • 遺骨収納容器(2号)10,900 円
  • 普通霊柩車(10 ㎞)14,160 円
  • 民営火葬場利用 53,100 円
以上合計 202,160円

例1の場合、区民葬儀券を利用した費用の合計「202,160 円(税別)+その他の費用」が葬儀費用の合計になります。その他にかかる費用としては、ドライアイス、遺影写真、会葬礼状、返礼品、生花、御供物、葬儀式場使用料、僧侶へのお布施などがありえます。

より費用を抑えたい場合は、祭壇を利用せず棺のみとします。すると次のようになります。

例2:自宅で葬儀+民営火葬場(都内7か所の火葬場のいずれか)を利用
  • 祭壇を利用せずプリント棺のみ 40,000 円(※祭壇なし棺のみの場合、別途要人件費)
  • 遺骨収納容器(2号)10,900 円
  • 普通霊柩車(10 ㎞)14,160 円
  • 民営火葬場利用 53,100 円
以上合計 118,160円(+別途人件費)

例2の場合、どの葬儀社でも「別途要人件費」がかかってくるのがポイントです。この人件費とは、通信費や棺を納棺場所まで運搬する料金、作業費等になります。火葬までの日数や時期・時間帯、葬儀業者によって異なります。見積もりをとり必ず確認しておきましょう。

※もし港区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区住民で、公営火葬場である臨海斎場を利用するとすると、火葬費はさらに抑えることができ火葬費40,000円になり、合計105,060円(+別途人件費)になります。

また、この例2の場合も、上記費用に加えてさらに「その他の費用」が必要になります。その他にかかる費用は、ドライアイス、遺影写真、会葬礼状、返礼品、生花、御供物、葬儀式場使用料、僧侶へのお布施などです。

区民葬のデメリットは、斎場や火葬場を自由に選ぶことができない、指定された中から選ぶか初めから指定される、祭壇や骨壺が簡素なものになりがち、区民葬儀券の利用以外に追加料金がかかるので思った以上にお金がかかる場合がある、といった点です。

区民葬のメリットは、リーズナブルに葬儀を行うことができることが多い、葬儀社は自治体に指定されているので安心感があること、祭壇、霊柩車、火葬、遺骨収納容器(骨壺)の料金について葬儀社による違いがなく、指定葬儀社で統一されているため不当に高額な請求をされるといったことがなく、適正な料金で利用できるという点です。

葬儀費用の予算はいくらなのか、葬儀をどこで行うのか、棺や霊柩車はどんなものがいいのか、火葬場の希望があるか。故人の遺志や遺族の希望をはっきりした上で、区民葬を利用するのか、区の指定業者以外を利用するのか、総合的に検討してみるといいでしょう。

参考:東京都葬祭業協同組合/区民葬儀とは
http://www.tosokyo.or.jp/kumin.html (外部リンク)

4. 葬祭費・埋葬料給付金制度

4-1. 国民健康保険や職場の健康保険に加入していれば受け取れる給付金

「葬祭費給付金支給制度」とは、国民健康保険(後期高齢者医療制度)の保険加入者が亡くなり葬儀を行ったとき、葬儀を行った人(喪主)が申請することにより葬祭費が支給される制度です。

「埋葬料給付金制度」とは、亡くなった人が社会保険や共済組合に加入している場合、加入する保険組合から葬儀を行った人(喪主)に対して埋葬料を補助する制度です。どちらもいったん葬儀費用を支払った後に申請をした上で支給されるお金になります。

国民健康保険や社会保険は、保険に加入している人が亡くなってから14日以内に保険の脱退手続きをする必要があるので、葬儀を行った人(喪主)は脱退手続きと同時に給付金の申請を行いましょう。

4-2. 葬祭費給付金支給制度:国民健康保険(後期高齢者医療制度)に加入していた場合

国民健康保険に加入している人が亡くなったとき、葬儀を行った人(喪主)に対して費用が支給されます。

葬祭費の給付額は市区町村によって異なり、1万円〜7万円ほどです。例えば東京都23区の場合、支給額は一律1人あたり7万円、横浜市や川崎市は1人あたり5万円になります。申請から1か月〜2か月程度で申請した金融機関の口座に振り込まれます。申請期間は葬儀を行った日の翌日から2年間で、申請や問い合わせ先は市や区役所の保健年金課になります。

申請に必要なものは、亡くなった人の国民健康保険証、葬儀の領収書(喪主のフルネームが記載されている)、申請者(喪主)の印鑑、口座振替依頼書(喪主名義)などです。必要書類や申請方法は市区町村によって異なりますので、詳しくは市や区役所の保健年金課にお問い合わせください。

4-3. 埋葬料給付金制度:職場の健康保険組合や共済組合に加入していた場合

社会保険(職場の健康保険組合や共済組合)に加入している人が亡くなった時、加入する保険組合から葬儀を行った人(喪主)に対して埋葬料が補助されます。

葬儀を行った人(喪主)が亡くなった人の配偶者や亡くなった人と同一世帯者の場合には、一律5万円の埋葬料が支給されます。葬儀を行った人(喪主)が別世帯の家族や親族である場合には、埋葬にかかった実費が最大5万円まで支給されます。この埋葬にかかった実費とは、祭壇、霊柩車、火葬、僧侶への謝礼、供物代のことで、通夜や葬儀での飲食費は含みません。

申請に必要なものは、健康保険組合によって異なりますが、亡くなった人の健康保険証、死亡したことを証明する書類(死亡診断書・火葬許可証の写し)、葬儀の領収書、申請者(喪主)の印鑑、健康保険埋葬料支給申請書などになります。亡くなった日から2年以内に申請を行う必要があります。必要書類や申請方法は健康保険組合によって異なりますので、まずは勤務先にお問い合わせください。

5. 葬祭扶助

葬祭扶助とは、生活に困窮し葬儀費用が払えない人のために、国が葬儀に関わる必要最低限の内容を行ってくれるという制度です。生活保護受給者が亡くなった場合か、生活保護受給者が喪主になる場合に受けられるもので、生活保護法第18条で定められています。

葬祭扶助の申請は必ず葬儀前に行わなければならず、葬儀にかかる費用は国から葬儀社に直接費用が支払われるのが一般的です。この葬祭扶助制度を適用した葬儀の呼び方は、葬儀業者によって「生活保護葬」や「福祉葬」、「民生葬」などそれぞれ異なっています。

葬祭扶助は、生活保護受給者が亡くなった場合か、生活保護受給者が喪主になる場合に受けられます。ただし、次のような注意点があります。

  • 亡くなった人が生活保護受給者であっても、喪主に収入や資産がある場合は支給されません。
  • 亡くなった人は生活保護を受けていないが、喪主が生活保護を受けている場合。亡くなった人が遺したお金が葬祭費に満たない場合、残りの部分について葬祭扶助が支給されます。
  • 亡くなった人が生活保護を受けていて、親族がいない、または親族が別居していて葬儀を行う意志がなく、遺族以外の人(家主など)が葬儀の手配を行う場合。亡くなった人が遺したお金が葬祭費に満たない場合、残りの部分について葬祭扶助が支給されます。

葬祭扶助が受けられるかどうかや支給額は自治体によって異なりますが、葬祭扶助の目安は20万6,000円です。

上記の条件に当てはまる場合は、次のような手順で葬祭扶助を受ける手続きをします。

1.福祉事務所などへ連絡

生活保護受給者の人が亡くなったら、民生委員やケースワーカー、役所の福祉係等に連絡します。死亡診断書など、死亡が確認できる書類を用意しておきましょう。

2.葬祭扶助の申請・確認

葬祭扶助制度の申請は、葬儀の前に行う必要があります。管轄の福祉事務所に葬祭扶助の申請をし、葬祭扶助の申請を認められたら葬儀社に「葬祭扶助制度を利用して葬儀を行いたい」と依頼をします。

3.葬儀

葬祭扶助を受けて行うのは通夜・葬儀がなく火葬のみを行う直葬・火葬式になります。直葬については上記「3.直葬・火葬式」をご参照ください。

4.葬儀費用の支払い

福祉事務所から葬儀社に直接葬儀費用が支払われます。

6. まとめ

できるだけかかる費用を抑えて亡くなった人を見送りたい、と思ったらまず通夜・葬儀をするのか、火葬のみにするのか、を考えます。通夜が不要なら「一日葬」といった名前のプランを、通夜・葬儀をするなら「家族葬」「シンプル葬儀プラン」や市民葬・区民葬を比較、検討してみましょう。通夜・葬儀をする必要がない、葬儀にかけるお金がない場合は火葬のみの「直葬」「火葬式」を選びます。葬儀後、葬儀を行った人(喪主)は手続きを行い、故人が加入していた保険組合から葬祭費や埋葬料の支給を受けるようにしましょう。

葬儀・火葬後の納骨やお墓にかかる費用をできるだけ抑える方法には、納骨堂、本山納骨、樹木葬、手元供養、散骨などがあります。
くわしくはこちらをご参照ください。

「お墓選び入門:お墓の分類(2) 供養や埋葬のスタイルによる分類」
https://sobani.net/articles/ohaka-bunrui-2
東京都葬祭業協同組合
http://www.tosokyo.or.jp/ (外部リンク)
Text by:AISA
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ZAYUは、自宅に納骨するという、新しい供養スタイル。

納骨の場所を自宅にすることで、故人をいつも身近に感じながら、日常の中で毎日手厚くご供養できます。

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自宅でお参りできるZAYUのミニ骨壷なら、お墓参りに行けないときも、毎日手厚いご供養ができます。

日本の風土と伝統工芸のあたたかみと、独自の3層構造による機能性を兼ね備えた美しいデザインのZAYUで、安らぎを暮らしの中に。

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  • 思い切って手放したい
  • 場所をとるのをどうにかしたい
  • お墓や納骨堂、意外と高いな・・・
  • 部屋に置いておくには、
    骨壺の見栄えがちょっと・・・
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こんな方は・・・

  • ご遺骨・骨壺を自宅で安置・保管しているが、納骨をどうすべきか悩んでいる...
  • お墓を建てるほどの費用はかけられないかも...
  • 自宅で安置・保管するには、場所を取りすぎるのが悩み...
  • 手元にずっと置いておきたいが、来客時に目につくのが、ちょっと困る...
  • 骨壺や骨袋のデザインがあまり好きではない...
  • 思い切って手放したいと思うが、いい方法が見つからない...