火葬の日の基本的な流れは、葬儀(告別式)→出棺→火葬→式場や自宅に戻って還骨法要や初七日法要、精進落としとなります。出棺後、火葬場へは霊柩車やお供車、マイクロバスなどで移動します。火葬場では、火葬許可証や参列者をもてなす茶菓やお酒などが必要ですが、葬儀社が書類の管理や準備をしてくれる場合も多いので確認しておきましょう。火葬場では納めの式(最後のお別れ)、火葬、骨揚げ(収骨)を行います。火葬後は式場や自宅に戻り、遺骨迎えや初七日法要、精進落としを行います。神式の場合は、火葬祭、帰家祭(きかさい)、直会(なおらい)という流れになります。
火葬の段取りと法要・儀式
1. 火葬場に行くまで
基本的な流れとして、「葬儀(告別式)→出棺→火葬→式場や自宅に戻って還骨法要や初七日法要、精進落とし」となります。ここではまず仏式の場合においての、火葬場への移動、火葬場へ持っていくもの、火葬場での納めの式や骨揚げの作法、分骨をご説明し、最後に神式、キリスト教式の火葬場での流れについてもご紹介します。
1-1. 出棺・火葬場へ行く人
葬儀、告別式後に最後のお別れが済むと「出棺」となり火葬場へ移動します。棺は近親者や友人など男性6人程度で運びますので、あらかじめ手伝ってくれる人に声をかけておきましょう。喪主は位牌を持って先頭を歩き、喪主の次の人(遺族代表)が遺影を持って棺の前を歩きます。
火葬場までの車やバスの手配が要るので、火葬場に行く人の人数を前もって確認しておきましょう。火葬場へ行くのは親族が中心になりますので、それ以外に友人など同行する人がいる場合は遺族から声をかけます。火葬場で分骨する場合は、事前の打ち合わせか火葬場に出発する前までに葬儀社に申し出ます。
1-2. 火葬場への移動
霊柩車:先頭の霊柩車には棺と運転手、葬儀社の人が乗ります。喪主が乗る場合も。
お供車:助手席に遺族代表が遺影を持って乗ります。後部座席奥に僧侶、手前に喪主が位牌を持って乗ります。
三番目の車:遺族、近親者、友人・知人などが乗ります。
マイクロバスの場合は運転手の後ろに喪主、その隣に遺族代表が乗ります。
1-3. 火葬場へ持っていくもの
火葬許可証、骨壺、骨箱
死亡診断書と死亡届を役所に提出すると、火葬許可証が発行されます。多くの場合、葬儀社が代行してくれます。火葬許可証と骨箱、骨壺は葬儀社が用意してくれることがほとんどですが、できれば念のために確認しましょう。
火葬場の控室で参列者をもてなす茶菓やお酒など
火葬場の売店で購入するか、あらかじめ購入したものを持参します。
心づけ
公営の火葬場では心づけは禁止されていますし、多くの民間の火葬場でも廃止されていますが、地域によっては霊柩車の運転手や火葬場の係員に心づけを渡す習慣が残っています。もし渡す場合は、3,000円程度を小型の不祝儀袋か白い封筒に入れます。
2. 火葬場での流れ 仏式の場合
2-1. 火葬場での流れ
1. 火葬場に到着
喪主は係員に火葬許可証を渡します。
2. 納めの式(最後のお別れ)
棺が火葬炉の前に安置され、棺の前の台に位牌と遺影を置き、僧侶が同行しているときは読経を上げてもらいます。遺族や同行者全員が順番に焼香し最後のお別れをします。
3. 火葬
棺が炉に納められ点火されます。全員で合掌して見送ります。
4. 控室で待機
1~2時間ほどの待機時間があります。僧侶には上座に座ってもらい喪主がもてなします。茶菓や飲み物、簡単な食事などをしながら個人の思い出を語り合います。
5. 骨揚げ(収骨)
地域差がかなりありますが、以下に一般的な流れを示します。
喪主から順番に二人一組で台の左右に立ちます。
遺骨に向かって合掌し、骨箸という竹と木の箸で一片の骨を二人で挟み骨壺に入れます。
箸を隣の人に渡して合掌します。
足から頭の順番に骨を拾って骨壺に納めていきます。(拾う順番は地方によって異なります。)
足の骨、腕の骨、腰骨、背骨、肋骨、歯、頭骨と拾い上げ、最後に故人と最も近しい人二人がのど仏の骨を拾い納めます。
すべての骨を拾って骨壺に納めるのは東日本で多く見られる風習です。西日本では小さい骨壺に一部の骨を拾って納めることが多くなっています。骨揚げに続いて、初七日法要を行う場合もあります。 なお後述2-3.のように、分骨することがわかっている場合は、あらかじめ火葬場に伝えておき、「分骨証明書」を発行してもらいましょう。
6. 遺骨迎え
骨壺は係員が白木の箱に入れて白布で包んでくれるので、喪主が両手で抱えて持ちます。この箱に「火葬許可証」(役所から発行された火葬許可証を火葬場に提出すると、火葬を行った日時が記入、署名と押印され返却されます。)を入れてあることが多いでしょう。この火葬許可証は納骨の際に必要になりますので大切に保管しましょう。遺族は遺影と位牌を持ち帰ります。
2-2. 還骨法要と初七日法要・精進落し
還骨法要(かんこつほうよう)
還骨法要とは、骨になって帰ってきた故人を自宅で迎えることです。火葬後に自宅に戻ったら葬儀社に後飾り(あとかざり)壇(遺骨、白木位牌、遺影を四十九日の忌明けまで安置する)を設置してもらいます。遺族は後飾り壇の前に集まり、僧侶が読経したあとに喪主から順番に焼香します。現在は自宅に戻って配偶者や子どもだけなどごく少数で行うことが多くなっています。
初七日法要・精進落とし
初七日法要は故人が亡くなった日から数えて7日目に行うのが正式ですが、現在は告別式に続いて初七日法要を行ったり、火葬後に還骨法要と併せて行うことが多くなりました(付七日忌法要、つけなのかほうよう、繰り上げ法要など)。精進落とし(しょうじんおとし)は本来四十九日の忌明けに行うものですが、現在は火葬の間や、還骨法要と初七日忌法要が終わった後にそのまま行うことが多くなっています。仕出し弁当や寿司、懐石料理などをいただきながら故人を偲びます。 以下のような流れのパターンがあります。
告別式→初七日法要→火葬(その間に精進落とし)→骨揚げ→帰宅→還骨法要
告別式→火葬→骨揚げ→帰宅→還骨法要→初七日法要→精進落とし
告別式→火葬→骨揚げ→初七日法要→精進落とし→帰宅→還骨法要
2-3. 分骨について
分骨する場合はあらかじめ葬儀社を通じて火葬場に申し伝えておきましょう。拾骨時に一部の遺骨をより分け分骨用の骨壷におさめます。分骨用の骨壺は葬儀社に用意してもらうことができますし、「終活」が注目されるようになった昨今では、故人が事前に自ら気に入りのものを手配しておくということも最近はあるようです。
分骨して後々お墓や納骨堂などに納骨する際には必ず「分骨証明書」が必要になります。火葬の日までに分骨をするかどうか決まっている場合には、火葬場の管理者に、分骨する分だけの「分骨証明書」を発行してもらうのがスムーズです。一時的には手元供養を考えているとしても、あとで納骨するという場合時には必要になるのでこの時点で受け取っておくとよいでしょう。「分骨証明書」には故人の名前や性別、死亡年月日などが記されています。
3. 神道式の場合
神道式の場合の出棺後の流れは、火葬祭→帰家祭(きかさい)→直会(なおらい)となります。
「火葬祭」
火葬祭は、火葬場で炉に棺を納めることで、仏式の「納めの式」にあたります。棺を炉の前に安置し、供花(きょうか)、神饌(しんせん=供物)、銘旗(めいき=故人の名前を記す旗)、遺影などを飾ります。斎主が祭詞奏上したあとに、一同拝礼し、玉串奉奠(たまぐしほうてん)をします。骨揚げの方法は仏式と同様です。その後、正式には後祓いや帰家祭が続きますが省略されることが多くなっています。
「修祓(しゅばつ)の儀」(「後祓い」あとばらい)
出棺のあと、葬場に残った親族等は、祭壇を片付けて家の内外を掃除し、一同手水(ちょうず)で身を清め、葬場祭に携わらなかった神官にお清めをしてもらいます。これを「修祓(しゅばつ)の儀」または「後祓い」(あとばらい)といいます。そして簡単な祭壇(後飾り)をつくり、遺影・花・榊と神饌を供えて、遺骨を迎えられるようにしておきます。
「帰家祭」(きかさい)
火葬場へ行った遺族と遺骨が自宅へ戻り、塩・手水で祓い清めて家に入り、後飾りに霊璽(れいじ)や遺骨、遺影を飾りお祓いや献饌(けんせん)を行います。祝詞の奏上、拝礼、玉串奉奠等を行います。
「直会」(なおらい)
仏式でいう精進落としにあたります。斎主やお手伝いの人々に食事やお酒をふるまいます。
4. キリスト教式の場合
カトリック
出棺の際は、最後の対面、くぎ打ちの儀式、出棺の祈り、聖書朗読や聖歌斉唱、喪主の挨拶が行われます。喪主または遺族代表は遺影と十字架を持ち、棺の後ろから教会または斎場を出ます。火葬場では神父が同行しないときは聖書の朗読や聖歌合唱、神父が火葬場に同行しているときは祈祷や献香、聖歌の合唱などを行います。骨揚げの方法は仏式と同様です。
プロテスタント
出棺の流れは上記のカトリックと同様です。火葬場に着いたら火葬炉の前に棺を安置し、小机に十字架と生花を飾ります。全員で聖歌斉唱、牧師が同行している場合は聖書朗読、祈祷、聖歌斉唱、祈祷をして最後のお別れをします。骨揚げの方法は仏式と同様です。