霊園や墓地を選ぶ際の選択基準や優先順位は、それぞれの家庭環境などによって違ってくると思いますが、「お墓参りに来る人のことを念頭に置いて選ぶ」という視点も大切な要素として挙げられます。今回は、お墓参りに来る人のことを考えたお墓選びについて、ポイントやヒントを紹介します。
お墓選びのヒント ―お墓参りに来る人のことを考えた霊園、墓地選び
どのような人たちがお参りに来るかを想定してみる
新しくお墓を立てる際、故人の志向などを尊重して選ぶ考え方もありますが、今後お墓参りに来てくれる人たちのことを重視するのも、おもてなしの気持ちが伝わる良い選び方だといえます。
お墓参りに訪れる人のなかには、遠方から時間をかけて来てくれる人もいれば、年配で長時間歩くのが困難な人、車いすを利用している人もいるかもしれません。また、現在はまだ元気に動き回れる人たちであっても、年月が経つにつれて出歩くのに苦労を伴うようになってくることが考えられます。
そのような長期的な展望も踏まえながら、お墓参りに来てくれる人たちに不自由をかけることのないよう、立地やサービスなどに気を配って、霊園や墓地、建てる区画などを考えるのが大切です。
公共交通の利便性
お墓参りに向かう際、車を運転できない人は電車やバスなどの公共交通に頼らざるをえません。その点で、近くに駅がなかったり、バス停から遠かったりする霊園や墓地は選択肢から外しておいた方が無難だといえます。
また、駅からそれほど離れていなかったとしても、その駅にたどり着くまでの乗り換えが複雑だったり、運行されている列車の本数が少なかったりする場合も考えられます。遠方から訪れる土地勘のない人のことも考慮して、公共交通の利便性が良く、できるだけ分かりやすい立地の霊園や墓地を選ぶようにしましょう。
送迎サービスの内容
駅から離れていたり、路線バスでは向かうのが困難だったりする霊園や墓地では、最寄りの駅からの送迎サービスを行っているところが数多くあります。
ただし、運用については施設ごとに違っており、毎日定時で運行されているところ、土日祝日やお彼岸、お盆などに限って運行されているところ、事前に予約が必要なところなど、まちまちです。「送迎サービスがある」というだけで安心せずに、お墓参りに来る人たちがどんなタイミングで利用するか、サービスの利用方法に煩わしさはないかなど、現実的な部分に一歩踏み込んでチェックしておいてください。
バリアフリー対応と園内の広さを確認
お墓参りに来る人たちは健脚な人だけとは限りません。なかには車いすを使って移動する人がいることも考えられます。その場合はまず、霊園や墓地がバリアフリーな作りであることが、お墓選びの最低条件となります。
段差部分にスロープが敷設され、バリアフリー化されていたとしても園内の高低差が大きかったり、墓域と駐車場が離れていたりすると移動に大きな労力を費やします。また、敷地そのものが広大な霊園や墓地では、トイレなどのちょっとした移動であっても思いがけない困難が生ずる可能性もあります。さらに、参道の広さが車いすで通るにはギリギリだったりするなど、普段車いすを使っていないと分からない不都合な部分もあるかもしれません。
いずれにせよ、実際に現地に赴いてみることで、多くのことが確認できます。場合によっては、管理事務所で車いすを借りて実際に移動してみてチェックするのもひとつの方法です。
必ず現地で確認を
ほかにも「広大な墓域に同じようなお墓がたくさん並んでいて、目的のお墓が見つけにくい」「駐車場の台数が少なく、混雑する時期に行くとなかなか停められない」など、お墓を建ててみて初めて気づくような問題点も、現地で入念に確認することで見つかる可能性があります。
身近な親せきや友人などに意見を求めるとともに、気になる霊園や墓地がある場合にはタイミングを変えながら何度か見学に赴いて、時間の許す限りしっかりとチェックをして納得のいくお墓選びをするようにしてください。