お盆の風習は地域ごとに異なるのをご存知でしょうか。今回は広島県のお盆について説明します。広島はお盆になると、お墓に色あざやかな灯籠を飾る風習があります。全国でも珍しい、広島の盆灯籠についてチェックしてみましょう。
広島のお盆 お墓にあざやかな盆灯籠を飾る風習
1. 広島のお盆の時期
広島のお盆の時期は、8月13日から8月15日(16日までとする場合もある)の期間です。またこの時期のお墓参りとしては、原爆が投下された、8月6日にお墓参りをする人が多いのも広島の特徴でしょう。平和記念公園では8月6日に「とうろう流し」が行われます。
2. 盆灯籠(ぼんとうろう)
広島ではお盆の時期に、お墓に盆灯籠(ぼんとうろう)を飾る風習があります。盆灯ろう、盆燈籠と表記されることもあります。
広島のお盆のお墓
盆灯籠を飾るのは広島県西部(安芸地方)でよく見られる風習です。お盆になるとお墓にキラキラと飾りが付いたカラフルな盆灯籠を飾ります。親族がそれぞれ盆灯籠を立てるため、広島のお墓はお盆の期間中、大変色あざやかです。
盆灯籠の由来
盆灯籠はとくに安芸地方(広島県の西部)で多くみられる風習です。盆灯籠のくわしい由来は明らかになっていませんが、浄土真宗本願寺派の安芸門徒(あきもんど)の信者が広めた風習といわれています。盆灯籠には、ご先祖様や故人を供養するための「卒塔婆」の役割も果たしているといわれています。
現在は宗派に関係なく、お盆の時期に盆灯籠を飾ることを認めている寺院が多いです。お盆の時期になると、広島のお墓のあちらこちらで鮮やかな盆灯籠が飾られます。
盆灯籠の形
盆灯籠は各面に三角形の色紙が貼り付けられた、逆六角錐型の灯籠です。形状から朝顔燈籠とも呼ばれ、六角形の各頂点には金や赤などの装飾が付いています。色紙は一面だけ下部が貼りついておらず、ひらひらしています。雨水がたまるのを防ぎ、風が通り抜ける仕組みです。
以前はお墓参りの際に灯籠の内部にろうそくを立てていましたが、近年は火災の恐れから火を灯すことは行われなくなりました。
盆灯籠の種類
盆灯籠には「カラフルな灯籠」と「白い灯籠」の2種類あります。白い灯籠は初盆用の灯籠です。初盆以外のお墓には、赤・青・黄などの色紙が貼られたカラフルな灯籠を飾ります。
盆灯籠の価格とサイズ
盆灯籠は1個600~1,000円ほどです。お盆の前になると、県内のコンビニエンスストアやスーパー、ホームセンター、花屋などで販売されます。通常のサイズは約140cmほどですが、半分の大きさほどのミニサイズな灯籠も販売されています。
香川県でも
お墓に盆灯籠を飾るというのは、香川県中部でも行われている風習です(香川県の盆灯籠は、広島県の盆灯籠とは違う形状をしています)。しかし全国でも広島県西部と香川県中部の2地域だけにある風習であり、非常に地域性の濃い風習と言えるでしょう。