介護の日(11月11日)に考える、介護と終活を同時に進めるヒント
11月11日は「介護の日」―介護と終活をセットで考えたい理由
11月11日は「介護の日」です。2008年、厚生労働省が「いい日、いい日」の語呂合わせから制定しました。この日を含む11月4日〜17日は「福祉人材確保重点実施期間」とされ、全国の自治体や介護事業者が、介護への理解を深めるための講演会やイベントを行っています。
介護の日は、介護職員や介護業界に光を当てる日として始まりましたが、私たち一人ひとりにとっても「介護について考える」きっかけとして活用できます。そして、介護について考えることは、実は「終活」について考えることと、驚くほど重なっています。
厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要(2025年10月暫定版)」によると、要介護・要支援認定者数は735.4万人(2025年10月末時点、前年同月比13.8万人増)にのぼり、65歳以上の第1号被保険者に寽する認定率は20.1%です。介護は「いつか自分や家族に関わるかもしれないこと」ではなく、すでに多くの家庭にとって現実の課題になっています。
この記事では、「介護の日」をきっかけに、介護の準備と終活の準備をあわせて見直すための具体的なヒントを紹介します。
介護と終活、「別々」に考えると後手に回ってしまう理由
介護と終活は、一見すると別のテーマのように感じられます。しかし実際には、多くの人が「介護」をきっかけに「終活」を意識し始めています。
株式会社プロストイックが2025年9月に実施した終活に関する意識調査(50〜60代の単身男女1,000名寽象)では、終活を始めたきっかけとして「自分が病気や入院をしたとき」が38.30%で最も多く、次いで「親の病気や介護が発生したとき」が29.10%という結果でした。同社は「親の介護や自身の病気といった出来事に直面すると、『次は自分の番かもしれない』という意識が芽生え、急速に終活への関心が高まる傾向がある」と分析しています。
つまり、多くの人は介護が実際に始まってから、ようやく終活を考え始めています。しかし、介護が始まってからでは、日々のケアで手一杯になり、終活のための時間や心の余裕を確保しにくいのが実情です。
近い構造の問題として、育児と介護が同時期に重なる「ダブルケア」があります。内閣府が総務省「就業構造基本調査」(2012年)のデータをもとに推計したところ、ダブルケアを行う人は全国で25万3千人(男性8万5千人・女性16万8千人)にのぼるとされています(やや古い調査データですが、育児と介護が同時に発生する負担の大きさを示す数字として広く引用されています)。
この「二つのことが同時に発生すると負担が重くなる」という構造は、介護と終活の関係にもそのまま当てはまります。だからこそ、介護が始まる前、あるいは始まった直後の負担がまだ大きくないタイミングで、介護の準備と終活の準備を"まとめて"見直しておくことが、後々の負担を軽くすることにつながります。
【図解】介護の準備と終活の準備、同時にチェックできるリスト
介護の準備と終活の準備には、実は重なる項目が少なくありません。下の図は、代表的な「やること」を、介護の準備・終活の準備それぞれの観点で整理したものです。
特に「本人の希望の確認」「家族間での話し合いの場づくり」「任意後見制度・財産管理の検討」の3つは、介護と終活のどちらの準備にも直結する項目です。この3つから手をつけると、一度の話し合い・一度の手続きで、両方の準備を同時に進めやすくなります。
今日からできる、介護と終活を一緒に進める5つのヒント
1. ケアポネジャー・地域包括支援センターへの相談と合わせて、終活の話も一度に
要介護認定の申請や介護サービスの相談でケアポネジャー・地域包括支援センターに連絡を取る機会があれば、そのタイミングで「今後、本人の意思をどう確認していくか」「エンディングノートのような形で希望を書き残してもらうのはどうか」といった終活的な話題も一緒に相談してみましょう。介護の専門職は、高齢者本人の意思確認の進め方についても知見を持っていることが多く、家族だけで切り出すより話が進みやすい場合があります。
2. エンディングノートに「介護に関する希望」も書いておく
エンディングノートというと、葬儀やお墓についての希望を書くものというイメージが強いかもしれませんが、「介護が必要になったとき、自宅で過ごしたいか施設を希望するか」「延命治療についてどう考えるか」といった介護に関する希望も書いておくことができます。書き方の詳しい手順は「早すぎることはなし―エンディングノートのすすめ」で解説しています。
3. 要介護認定の申請・契約整理のタイミングで、財産管理も見直す
要介護認定の申請や介護サービスの契約など、何かしらの手続きが発生するタイミングは、預貯金の管理方法や各種契約(携帯電話・サブスクリプションサブスクリプションサービスなど)の整理を見直す良い機会でもあります。判断能力が低下した場合に備える「任意後見制度」についても、このタイミングで検討しておくと安心です。詳しくは「元気なうちに知っておきたい「任意後見制度」のしくみと手続き」をご覧ください。
4. 「介護の日」をきっかけに家族会議を設定する
「終活の話をしよう」と切り出すのは気が引けても、「介護の日だし、もしものときの話を少ししておきたい」という切り出し方なら話しやすいという方もいます。以下のような声かけの例を参考にしてみてください。
- 「今日は介護の日なんだって。もし将来、介護が必要になったらどうしたえ」少し聞いておきたいな」
- 「ニュースで介護の日のことをやってて、うちはどうするか気になって。今度、時間があるときに少し話せたら」
- 「地域包括支援センターに相談に行こうと思うんだけど、その前に希望を聞かせてもらえる?」
一度にすべてを決めようとせず、「まずは希望を聞く」「次に書面に残す」というように、段階を分けて進めるのも負担を減らすコツです。
5. 将来の供養方法もこのタイミングで話しておく
介護や終活の話し合いの延長として、「将来、お墓はどうするか」「手元供養や自宅納骨のような選択肢もある」ということも、あわせて話しておくと、いざというときの判断がしやすくなります。供養方法にはさまざまな選択肢があります。比較は「供養方法比較」、手元供養についての基礎知識は「手元供養とは」で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. まだ親は元気で、介護は始まっていません。それでも終活の話をしてよいのでしょうか?
A. 介護が始まる前の、本人も家族も落ち着いて肢話せるタイミングこそ、終活の話をするのに向いています。「介護の日」のような話題性のあるきっかけを使うと、唐突にならずに切り出しやすくなります。親への切り出し方の工夫については「敬老の日に考える、親の「終活」との向き合い方」もあわせてご覧ください。
Q. 遠方に住んでいて、親の介護にあまり関われません。どうすればよいですか?
A. 遠方に住んでいる場合でも、電話やビデオ通話で希望を聞き、地域包括支援センターなど現地の相談窓口の連絡先を把握しておくだけでも、いざというときの備えになります。一人暮らしの高齢者が抱えやすいリスクについては「老後の一人暮らしのリスクと対策」で解説しています。
Q. 自分自身が将来、要介護になったときのことも考えておくべきですか?
A. はい。介護と終活は、親世代だけでなく自分自身にも関わるテーマです。年齢に関わらず、本人の希望を書き残しておくことは、家族の負担を減らすことにつながります。
まとめ
介護と終活は、別々の準備のように見えて、実は「本人の希望の確認」「家族での話し合い」「財産管理の検討」など、重なる部分が少なくありません。11月11日の「介護の日」は、この二つをまとめて見直すきっかけとして活用できます。すべてを一度に決めようとせず、できるところから少しずつ、家族と一緒に話を進めてみてください。
将来の供養方法も、早めに話し合っておきませんか
介護や終活の話し合いの延長として、将来の供養方法についても選択肢を知っておくと安心です。自宅で手元供養ができるミニ骨壺「ZAYU」もあわせてご覧ください。
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