アメリカでペットが死んだら?~土葬、火葬、墓地、かかる費用

アメリカの67%の世帯は犬や猫などのペットを飼っている。家族同様に思われているペットも多い。そのペットが亡くなった時、一体どのように死骸を処理すればよいのだろうか。連邦制をとるアメリカでは州や地域(市や郡)によって、ペットに関する法律や規則が異なるが、大別して、①敷地内に埋葬、②ペット用の墓地に埋葬、③人間用の墓地に埋葬、④火葬、⑤その他と5つの選択肢がある。また、人間とペットが同じ墓に入りたいという「一家の墓」運動が盛んになり、ペットも家族の一員として人間用の墓地に埋葬される法整備も整い始めている。今回はこのアメリカにおけるペットの葬送についてご紹介しよう。

index 目次
  1. アメリカにおけるペットの葬送方法
  2. 1. 敷地内に埋葬する
  3. 2. ペット用の墓地に埋葬する
  4. 3. 人間用の墓地に埋葬する
  5. 4. 火葬し墓地に埋蔵する
  6. 5. その他の方法

アメリカにおけるペットの葬送方法

2018年イリノイ州で、人間と一緒に3匹の犬が埋葬された、1万年前の古代の墓が発見された。これは犬の墓としては北米最古のものである(※1)。全米ペット製品協会(APPA: American Pet Products Association)が行った2019-2020年の全米ペット保有者へのアンケートによると、アメリカの世帯の67%(約8,500万世帯)が犬や猫等のペットを飼っており、2007-2008年の63%、1997-1998年の56%と比較すると増加している(※2)。最も人気のあるペットは犬で6340万世帯が、次いで猫を4270万世帯がペットとして飼っている(※3)。家族同様に大切にしているペットが死んだら、一体どのように対処すればよいのだろうか。

アメリカではペット死後の処理に関して、州によって、また州内でも地域によって異なる法律や規制が定められている。大部分の州では、ペットの死亡後、24~48時間以内に何らかの処置をしなければいけないと定められている(※4)。大別して、①敷地内での埋葬、②ペット用墓地に埋葬、③人間用墓地に埋葬、④火葬、⑤その他と5つの選択肢がある。

1. 敷地内に埋葬する

たいていの州でさまざまな規制があるものの、基本的には敷地内(自宅の裏庭等)にペットを埋葬できる。例えば以下のように、敷地内に埋葬する際の「深さ」が州によって決められていて、この深さがあれば埋葬可能となっている。

  • アラバマ州やミシシッピ州など全米4州:最低2フィート(約61センチ)
  • ノースカロライナ州やウェストヴァージニア州など全米4州:最低3フィート(約91センチ)
  • インディアナ州とメリーランド州:最低4フィート(約122センチ)
  • ネブラスカ州:最低5フィート(約152センチ)
  • ルイジアナ州:最低6フィート(約183センチ)

また、埋葬する際の深さではなく、時間的制限を設けて埋葬を許可している州もある。例えばペンシルヴァニア州、ユタ州、ヴァージニア州では死後48時間以内であれば敷地内にペットを埋葬できる(※5)。

一方で、自分の敷地内といえども、ペットの埋葬を許可していない州(市)もある。アリゾナ州の大部分の市では、ペットの敷地内埋葬を禁じており、代用として公共のペット墓地が用意されている。アーカンソー州でも敷地内埋葬を認めておらず、死後12時間以内に火葬もしくは処分しなければならない。カリフォルニア州でも敷地内埋葬を認めていないが、地方では遵守されていないことも多いという。ウィスコンシン州はいくつかの郡で許可されていない。ニューヨーク州やロードアイランド州、ヴァーモント州、ワシントン州のように、そもそもペットの敷地内埋葬の規程がないという州もある(※6)。

2. ペット用の墓地に埋葬する

このように敷地内にペットの死骸を埋葬する他に、ペット専用の墓地に埋葬するケースもある。ペット用の墓地に埋葬するためには、地域やペットの体の大きさ、オプションの有無等によってかかる費用が異なる。総額500ドル程度から5,000ドル以上までかかる費用は様々だ。

例えばイングリッシュ・コッカー・スパニエル程度の大きさ(体重13kg~15kg、体長40cm)であれば1,200ドル程度である。オプションとしては、永久管理料が1,100ドル程度、年に2回供花をしてもらうサービスをつければ1,500ドル程度の追加料金となっている(※7)。ペット用の墓地に人間を埋葬することはできないが、ニューヨーク州やニュージャージ州等では、人間の火葬後の遺灰をペットと共にペット用の墓地に埋蔵することはできる(※8)。

3. 人間用の墓地に埋葬する

多くのアメリカの州では、人間の墓地にペット遺骸を埋葬することは法律で禁じられている。しかし、ペットも家族の一員であり、一緒に墓に入れたいという「一家の墓」運動が盛んになっており、法制度も徐々にその方向に進んでいる。

2016年ニューヨーク州は、動物の死骸を火葬後、人間の墓地に埋蔵できることを合法化した(墓地や霊園が選択できるものとし、宗教的制限のある墓地等は除外している)(※9)。ペンシルヴァニア州では墓地を、人間専用区域、ペット専用区域、人間とペット共用区域の3つの区域に分けることを認めている。ヴァージニア州では明確に表示するという条件を付けた上で、ペットと人間の共用区域の設定を認めている。ただし、ペットはヴァージニア州法が定める愛玩用動物でなければならず、さらに必ず棺に入れなければならない(※10)。

4. 火葬し墓地に埋蔵する

ペットが亡くなった時、最も安価な葬送の方法は集合火葬であり、小型動物であれば30ドル程度から行える(※11)。しかし、家族の一員として大切なペットに対して、個別火葬を選ぶ人も多い。火葬後にペットの遺灰を受け取れるからである。また、ペットの死骸を火葬し、その遺灰を人間の棺に入れることは大部分の州や地域で法的には可能であり、最終的には葬儀屋の判断となる。

火葬費用は平均で約150ドル(犬、猫共通)~超大型犬で700ドル程度となっており、ペットの種類や大きさによって費用が変わる(※12)。ただし、火葬の場合、火葬費用そのものは安価に抑えられても、以下のような追加料金が必要になることが多い。

  • 送迎費用:距離や曜日により95ドル~275ドル程度。
  • 墓地:300ドル~780ドル程度。
  • 墓石:20ドル~300ドル以上。
  • 記念碑:1000ドル程度~。
アメリカ最古のペット墓地 ハーツデール・ペット墓地(Hartsdale Pet Cemetery) (ニューヨーク州)

1896年に誕生し、現在も運営されている世界最古のペット墓地である。2013年には、アメリカ合衆国連邦政府が保全するに値するとみなした地区、史跡、建築物、建造物、その他の物件の公式のリストであるアメリカ合衆国国家歴史登録財に、唯一のペット墓地として指定された。世界15か国以上が加盟する非営利団体の国際墓地火葬協会(International Association of Pet Cemeteries and Crematories)から認定されたニューヨーク州最初で唯一のペット墓地である。ハーツデール・ペット墓地には8万以上の動物が眠っており、犬猫だけではなく、馬、鳥、霊長類、ライオンなどの墓となっている。ハーツデール・ペット墓地の埋葬料は2,400ドル程度からで、さまざまなオプションもある。

5. その他の方法

ペットの死骸をフリーズドライする人もいる。ペットの大きさによって、数か月から1年ほどの時間がかかる。費用は、シーズーのような小型犬や猫であれば850ドル程度、ゴールデン・レトリバーやジャーマンシェパードのような大型犬であれば4,000ドル程度になる(※13)。

日本では、人間とペットの共葬を禁止している法律はなく、霊園や墓地の規約で禁止されていなければ共葬できる(※14)。現状において、人間とペットの共葬という点では、アメリカの方が厳しく規制されていると言える。しかし、「一家の墓」運動が盛んになり、いくつかの州では人間用の墓地にペットも埋葬できる法律が制定されている。ペットの飼育率の上昇等を考慮すると、今後、アメリカでこの動きは他の州にも広がっていくと思われる。

※1 Natasha Frost, “Early Americans Buried Their Dogs Like Family” August 22, 2018(外部リンク)
Gemma Tarlach, “Is This Egyptian Site the World’s Oldest Pet Cemetery?” March 4, 2021(外部リンク)

※2 Stanley Brandes, “The Meaning of American Pet Cemetery Gravestones,”[pdf](外部リンク)
“Facts + Statistics: Pet Ownership and Insurance,” Insurance Information Institute,(外部リンク)

※3 “Facts + Statistics: Pet Ownership and Insurance,” Insurance Information Institute,(外部リンク)

※4 “Is It Legal To Bury Pets In The Backyard? State By State Laws,” Farewell Pet(外部リンク)

※5 “Pet Burial Laws By State,” EMERGENCY VETS USA(外部リンク)

※6 “Pet Burial Laws By State,” EMERGENCY VETS USA(外部リンク)

※7 “Pricey Farewell for Furry Friends,” Daily News, January 4, 2007(外部リンク)
Brad Milne, "How Much Does it Cost to Cremate a Dog?" December 4, 2017(外部リンク)

※8 “Is It Legal To Bury Pets In The Backyard? State By State Laws,” Farewell Pet(外部リンク)
"Can You Be Buried With Your Pet?" ElderLawAnswers, June 3rd, 2021(外部リンク)

※9 Sonya Vatomsky, “The Movement to Bury Pets Alongside People,” The Atlantic October 11, 2017(外部リンク)
"Can You Be Buried With Your Pet?" ElderLawAnswers, June 3rd, 2021(外部リンク)

※10 "Can You Be Buried With Your Pet?" ElderLawAnswers, June 3rd, 2021(外部リンク)

※11 “Understanding Pet Cremation Costs,” Perfect memorials(外部リンク)

※12 “Pricey Farewell for Furry Friends,” Daily News, January 4, 2007(外部リンク)
Brad Milne, "How Much Does it Cost to Cremate a Dog?" December 4, 2017(外部リンク)
Eric / Cremation, "The Cost of Pet Cremation: How Much is Too Much?" Urns Online February 29, 2020(外部リンク)

※13 “Pricey Farewell for Furry Friends,” Daily News, January 4, 2007(外部リンク)
Brad Milne, "How Much Does it Cost to Cremate a Dog?" December 4, 2017(外部リンク)

※14 「お墓にペットと一緒に入るのはだめ?同じお墓に入るには」お墓さがし 2021/04/15(外部リンク)

Text by:杉田米行
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