身内に不幸があったときに、年賀状での新年の挨拶を遠慮することを周りへ伝えるのが喪中はがきです。喪中はがきを出す側は、誰が亡くなったら喪中はがきを出すのか、喪中はがきを出す時期、喪中はがきを送る相手の基準、年末に不幸があった場合など予期せぬケースでの対処法はどうしたらいいでしょうか。また、喪中はがきを受け取った側は、返事は要るのか、喪中はがきで故人の死を知ったらどう対応したらいいでしょうか。喪中はがきのマナーついてご紹介します。
喪中はがき徹底解説<出すときと受け取ったときのマナー編>
1. 喪中はがきとは
「喪中」は家族や近しい親族に不幸があったときに喪に服する期間なので、身を慎んで公の席やお祝い事(結婚式や授賞式など)への出席や新年のお祝いを控えます。そのため死後一年以内に迎える新年の挨拶は慎むので、年賀状も出さないことになります。喪中はがきは「年賀欠礼状」とも呼ばれ、例年年賀状のやり取りをしている方などへ事前に「喪中であるため年賀状を送らない」ことを儀礼的に伝える書面です。
2. 喪中はがきの出し方
誰が亡くなったら喪中はがきを出すのか、喪中はがきを出す時期や送る相手の基準、年末に不幸があった場合の対処法を確認しておきましょう。
喪中はがきの書き方についてはこちらの記事も参考にしてください。
喪中はがき徹底解説<はがきの選び方、買い方、書き方編>
2-1. 喪中はがきを出す時期
喪中はがきは喪中により年賀の挨拶を遠慮することを事前に周りへ知らせるための書面です。ですから相手が年賀はがきを準備する前に喪中はがきを送るのが理想的で、11月中旬~12月初旬には投函して相手が受け取れるようにするといいでしょう。余裕をもって準備することが大切です。
2-2. 喪中とする親族の範囲
喪中はがきは1年以内に2親等以内の親族が亡くなった場合に送るのが一般的です。自分から見て2親等以内の関係にあたるのは、以下の続柄です。
0親等:配偶者
1親等:両親・義両親・子・子の配偶者
2親等:祖父母・義祖父母・兄弟姉妹・義兄弟姉妹・孫・兄弟姉妹の配偶者・義兄弟姉妹の配偶者
ただし、2親等の方が亡くなった場合は「喪中」を1年ではなく3~6か月と考えるのが一般的です。親族には年賀状を送らないなどの配慮は必要ですが、年賀状のやりとりを通常どおり行うケースもあります。また3親等以上でも、故人とつながりが深かった・同居していたという理由から喪中はがきを出すケースもあります。地域や家庭、同居しているかどうかによっても喪中はがきを出す範囲は異なるため、喪中はがきを出すかどうか迷う場合は周囲の方や親族に相談してみましょう。
2-3. 喪中はがきを送る相手の範囲
喪中はがきは次のような人に送ります。
毎年、年賀状のやり取りをしている人
喪中はがきは年賀欠礼を伝えるための書面です。毎年、年賀状のやり取りをしている人に送ります。ただし、仕事関係先で故人と面識のない方には、公私を分けて考えて通常通り年賀状を出すケースも多いです。これは相手に気を使わせないための配慮でもあります。
喪中はがきは、喪中の人が新年の挨拶ができないことを伝える手紙なので、喪中の人が年賀状を受け取ることはまったく問題ありません。最近は、毎年年賀状のやり取りをしているような親しい相手には、「年賀状は励みになりますのでお気遣いなくお送りいただけますと幸いです」などと、自分は喪中だが例年通り年賀状を送ってもらえるように伝えることもあります。
故人と親しくしていた人、故人が年賀状のやり取りをしていた人
とくに喪主を務めた場合は、生前、故人と親しくしていた人や故人が年賀状のやり取りをしていた人にも喪中はがきを出しましょう。葬儀に参列してくれた人にも喪中はがきを出します。参列したことへの感謝の気持ちを書き添えると、より丁寧な印象を与えるでしょう。
親族間はどうする?
親族であれば毎年、年賀状のやり取りをしているケースも多いでしょう。しかし不幸があったことはお互いに知っているので、喪中はがきを出すか悩むかもしれません。喪中はがきを親族間で送り合うことは問題ありません。喪中はがきは新年の挨拶を控えることを伝える手紙だからです。ただし、知っていることをわざわざ知らせるのは失礼だと感じる人や、喪中はがきが往復するだけなので送り合う必要はないと考える人もいます。親族間では喪中はがきを出さない人も増えています。親族に喪中はがきを出すか迷う場合は、故人と関係が近い親族に相談するといいでしょう。
2-4. 年末に不幸があった場合・喪中に年賀はがきが届いた場合
年末に不幸があった場合、急いで喪中はがきを出しても届くのは相手が年賀状を送った後になる可能性があります。喪中はがきは出さずに松の内(一般的に1月7日)が明けてから「寒中見舞い」を送るといいでしょう。松の内とは正月の門松を飾る期間のことで、年賀状を出しても良いとされる期間です。1月8日から立春(節分・2月4日ごろ)までは相手の健康を気遣う寒中見舞いを送ります。年末に不幸があった場合は、寒中見舞いに年末に不幸があり年賀状を出せなかったことを書き添えるといいでしょう。喪中はがきを送っていない相手から年賀はがきが届いた場合も、同じように寒中見舞いはがきを出します。
2-5. 送る相手も喪中の場合
送る相手が喪中の場合でも、喪中はがきを送って構いません。喪中の人へ喪中はがきを出すことが気になる場合は、喪中はがきにお悔やみの言葉を一言書き添えたり、松の内が明けてから寒中見舞いを出したりするといいでしょう。
3. 喪中はがきを受け取ったら
喪中はがきを受け取った時のマナーについて確認しておきましょう。
3-1. 喪中はがきを受け取ったら
喪中はがきは年賀欠礼の挨拶なので、受け取ったら相手に年賀状を出すことは控えます。喪中はがきに対してそのまま返信をしなくても失礼にはあたりません。もし相手に近況などを報告したい場合は、1月7日(松の内)が明けてから寒中見舞いを送りましょう。
3-2. お世話になった方の死を喪中はがきで知った場合
お世話になった方の死を喪中はがきで知った場合は、「喪中見舞い」を送るといいでしょう。お悔やみの気持ちを伝える手紙やはがきを送ったり、香典やお花、お供え物などを送ったりします。寒中見舞いは1月8日から立春までの期間に送ると決まっていますが、喪中見舞いは送る時期が決まっていません。遺族の悲しみに寄り添い、お悔やみの気持ちを表すためにも、喪中はがきを受け取ったらすぐに喪中見舞いを送るといいでしょう。
3-3. 自分が年賀状を投函した後に喪中はがきが届いた場合
喪中はがきは、近親者が亡くなった人が、自分が新年の挨拶ができないことを伝える手紙です。年賀状は相手が新年の挨拶をするものなので、喪中の人が年賀状を受け取ってもまったく問題ありません。喪中であることを知らなかったのであれば、年賀状を出してしまっても仕方がありません。しかしもし、悲しみに暮れている中で年賀状を受け取ると、不快な気持ちにさせてしまう可能性はあります。年賀状を投函後に喪中はがきが届いた場合は、「○○様ご逝去のこと存じ上げなかったとはいえ、新年のご挨拶を申し上げ、たいへん失礼いたしました。」など、お詫びの連絡を入れておきましょう。