霊園や墓地を選ぶ際のチェック事項は多々ありますが、なかでも忘れがちなのが雨の日を意識した視点です。今回は、晴れているときには気づかない不便や煩わしさをできるだけ感じることのないよう、雨の日を想定したお墓選びのヒントを紹介します。
お墓選びのヒント ―雨の日を考えて選ぶ
晴れているときには気づきにくいポイント
足元が濡れる
雨天時にお墓参りを行った際に真っ先に気になるのは、足元が濡れるという点ではないでしょうか。舗装された道路でさえ、雨の日に歩けば靴が濡れてしまうことが多いなか、霊園や墓地では参道が舗装されていないところもあり、さらに悪い状況が見込まれます。
雨天を考慮して施工された霊園や墓地の参道はさまざまありますが、現状、最善といえるのがインターロッキングという加工を施した参道です。インターロッキングとは、浸透性のあるブロックをレンガのように組み合わせ、目地に砂を用いて仕上げる舗装方法で、格段に水はけがいいのが特長です。また、用いられるブロックのカラーが多様なので、園内の明るい景観づくりにも一役買っています。霊園や墓地のホームページやチラシなどを見ると特色として取り上げられていることも多いので、ぜひチェックしてみてください。
そのほかには通常の道路のようなアスファルト舗装、敷石による仕上げなどが挙げられますが、なかには何も処理が施されず土の地面のままになっているところも見受けられます。大きな水たまりができ、通ることができないほどになる場合もあるので、可能な限り雨天時に見学して確認しておくことをおすすめします。
なかでも注意しておきたいのが芝生墓地の場合です。前述のような処理が施された参道が設置されていることもありますが、特に参道が設けられておらず芝生の上を歩かなくてはならない墓域もみられます。雨天時には、くるぶし程までの丈がある芝が濡れているので、靴だけでなくズボンの裾が濡れ、時として膝くらいまで染みてきてしまうこともあるので、見学などで現地を訪れる際には参道が敷設されているかどうかを見逃さないようにしてください。
手元がふさがる
お墓参りの際は、仏花や供物、お線香や水桶など、持ち歩かなくてはならないものがいろいろありますが、雨天時にはこれに傘が加わることになります。何名かでお参りするのであれば、持ち物の分担が可能ですが、1人や2人となると大変困難です。単独や少人数でお参りする頻度が高くなると予想される場合には、雨の日の対策を優先して検討することをおすすめします。
そのほかにも雨天時のお墓参りには、お線香が湿ってしまって火が着けにくくなったり、濡れているために花立てなどを滑らせて落としてしまったりすることも考えられます。「雨の日にはお墓参りにいかない」というのが根本的な解決策にはなりますが、命日や各自のスケジュールを調整したうえで決定した法要の日程など、変更が難しいのが現実的ではないでしょうか。そのような事情を考慮すると、屋内にある施設を検討してみるのもひとつの方策といえるでしょう。
雨を気にせず利用できるお墓
屋内型墓地
雨天に強いお墓として、まず屋内型墓地が挙げられます。ビル内や寺院の地下などの屋内に外墓と同じように墓石を用いたスタイルでお墓を建てることができます。屋内にあるという点以外は、基本的に外墓と変わりはなく、お墓参りもそれぞれのお墓の前で行うことが可能です。雨や風、直射日光などが避けられることから、外墓に比べると墓石が傷みにくく、メンテナンスも容易である点が特長です。
また、数は比較的多くありませんが、民営霊園や寺院墓地のほか、公営霊園でも藤沢市の大庭台墓園やさいたま市の思い出の里市営霊園など、屋内型墓地の区画を提供しているところがあります。
屋内型のお墓という点では次に挙げる納骨堂も選択肢のひとつになると思いますが、屋内型墓地の場合は、石材を使った一般的なお墓が建てられることから、納骨堂に比べてお墓を持った実感を高く得られるので、人によっては魅力を感じるでしょう。
納骨堂
納骨堂は、遺骨の入った骨壺を安置しておくための屋内施設で、大きく「ロッカー型」「仏壇型」「自動搬送型」などの様式に分けられます。お墓参りの方法は、概ねそれぞれの様式とごとに違いがあります。一般的に、「ロッカー型」では共同の参拝スペースでお参りをします。「仏壇型」では、ずらっと仏壇が並んでいる空間で、個々の仏壇へ向かってお参りをします。「自動搬送型」では個別に仕切られた参拝ブース内に、骨壺が搬送されそこでお参りをします。
納骨堂は、継承者がいなくても利用できたり、事前の契約により安置期間を設定しておいて、その後は永代供養の合祀墓に移してもらったりできるところがほとんどです。また、墓石を購入する必要がないため、価格が抑えられる点や、遺骨の引っ越しをする際も簡単に行える点などがメリットとして挙げられます。
以上、大まかな括りとして「屋内型墓地」と「納骨堂」を紹介しましたが、ひとえに屋内といっても多種多様なスタイルがあります。気になる霊園や墓地がある場合には実際に現地を訪問し、それぞれのメリットを体感したうえで比較検討してみることをおすすめします。