Facebook、Twitter、LINE、Gメールなどの各種コミュニケーションツールやSNSは、便利で私たちの生活にもすっかり浸透しています。しかし利用者が亡くなった場合は、個人情報が含まれるそれらアカウントを放置してもいいのでしょうか?今回は故人のネットアカウントの取り扱い方法について説明します。サービスによっては手続きをすれば、故人のアカウントを思い出として安全に残すこともできます。
亡くなった方のSNSやインターネットアカウントはどうするべきか?保存方法や削除方法について
1. 死後、SNSなどネットサービスのアカウントはどうなるか?
インターネットを介して人間関係を構築できるサービスをSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)といいます。Facebook、Twitter、Instagram、Lineなどが有名です。
SNSのアカウント保有者が亡くなった場合、故人のアカウントはどうなるのでしょうか。
放置される
SNSのアカウントは故人が亡くなっても勝手に削除されることはありません。何も手続きしない限り、故人のSNSアカウントは完全に放置されることになります。つまり、亡くなったあともネット上には、個人情報や書き込みが残り続けることになります。
公開した情報が悪用される
SNSによっては実名や学歴、居住地、出身地などを公開している方もいます。公開されたアカウント情報から他人になりすましたSNSアカウントを作り、犯罪に利用するトラブルも起きています。一般人になりすまし、本物に近いアカウントを作成することで、有料サイトやワンクリック詐欺、フィッシング詐欺への誘導に悪用するのです。放置された故人のアカウントは悪用に気づきにくく、被害が拡大する恐れがあります。
アカウントが乗っ取られる
他社のサービスから流出した情報で不正にログインし、SNSアカウントを乗っ取る被害が多発しています。乗っ取られたアカウントから本人になりすまし、SNS上の友達に個人情報を聞き出そうとしたり、虚偽の情報を拡散したりするなど悪用するのです。故人の放置されたアカウントは、IDやパスワード変更することがないので、乗っ取り被害に遭いやすくなります。また、乗っ取りに気づきにくく、被害が拡大する可能性もあります。
2. 故人のネットサービスアカウントについてとれる対策
基本的にSNSアカウントは、登録したユーザー本人のみがアクセスを許されています。しかし亡くなった場合、前述のように放置するとトラブルが起きる可能性もあります。故人アカウントについての対処方法はサービスにより異なりますが、「削除」か「思い出としてアカウントを残す」方法が一般的です。故人のアカウントについてどのような対応ができるのか、サービスごとにチェックしてみましょう。
2-1. Facebook
Facebookの故人のアカウントは「削除」または、故人のアカウントを思い出として残すことができる「追悼アカウントへの移行」ができます。またFacebookでは「生前に本人の意思設定」を行うこともできます。死後のアカウントの扱いについて、故人の意思が優先されます。
削除
故人のアカウントを削除する場合は「亡くなった方のアカウントに関する特別リクエスト」からリクエストすることができます。アカウントの所有者が亡くなったことを証明する死亡診断書などの書類と、委任を受けていることを証明する委任状などの書類が必要です。
→ 亡くなった方のアカウントに関する特別リクエスト(外部リンク)
追悼アカウントへの移行
「追悼アカウント」とは、亡くなった方のアカウントを思い出としてシェアする方法です。追悼アカウントになると、他の利用者からのログインを防ぐことができるため、亡くなった方のプライバシーを保護することもできます。
「追悼アカウントのリクエスト」から追悼アカウントへの移行申請をすることができます。リクエストの際には、亡くなった方の死亡記事や死亡診断書のスキャンなど、死亡を証明できる書類が必要です。
→ 追悼アカウントのリクエスト(外部リンク)
生前の本人の意思設定
Facebookでは生前に自分の死後のアカウントについて意思設定をすることができます。Facebook上の設定画面から、死後に自分のアカウントを「削除」するか「追悼アカウントに移行」するかを選ぶことができるのです。
自分のアカウントを追悼アカウントに移行する場合は、アカウントの管理人も指定できます。管理人を選定しない場合は、追悼アカウントに移行後は誰もログインできなくなります。 生前の本人の意思設定は、「亡くなられたことをFacebookが認識した時点」で自動的に執行されます。つまり、亡くなった方の家族や親しい友人がFacebookへアカウント保有者が死亡した事実を伝える必要があります。
2-2. Twitter
Twitterは権限のある遺産管理人または故人の家族であれば、削除依頼をすることができます。「プライバシーポリシーについてのお問い合わせ」から、故人のアカウントの削除をリクエストしましょう。
→ プライバシーポリシーについてのお問い合わせ(外部リンク)
削除のリクエストを送信すると、故人の情報・削除依頼した方の身分証明書のコピー・故人の身分証明書のコピー・死亡証明書のコピーなどの提出を求める旨のメールが届きます。
2-3. Instagram
故人の近親者であれば、Facebookと同じようにInstagramも「削除」または「追悼アカウントへの移行」ができます。
削除
故人の近親者であることが証明できる方のみ、アカウントの削除依頼をすることができます。「亡くなった方のInstagramアカウントの削除要請」からリクエストを送りましょう。申請には、死亡診断書、故人の出生証明書、代理人に依頼する場合はその委任状が必要です。
→ 亡くなった方のInstagramアカウントの削除要請(外部リンク)
追悼アカウントへの移行
「追悼アカウント」は故人の過去が改変されることを防ぎ、友達や家族が思い出としてシェアできるサービスです。追悼アカウントに移行すると、故人の投稿はシェアしていた人のみ閲覧が可能になり、Instagramの公開スペース上に表示されなくなります。また、誰であっても追悼アカウントにはログインできなくなるので、アカウントが凍結されると同時に、亡くなった方のプライバシーを保護することができます。
追悼アカウントへの移行は、亡くなった方の近親者であれば「亡くなった方のInstagramアカウントを追悼アカウントにするための報告」から申請可能です。申請の際には、死亡記事やニュース記事へのリンクなど、死亡したことを証明する書類が必要になります。
→ 亡くなった方のInstagramアカウントを追悼アカウントにするための報告(外部リンク)
2-4. LINE
LINEアカウントは相続することや他の人に引き継ぐことはできません。 故人のアカウントは「お問い合わせフォーム」から削除依頼することができます。
→ お問い合わせフォーム(外部リンク)
2-5. Google アカウント
フリーメールなどが使えるGoogleアカウントを使って、様々なインターネットのサービスにログインする設定をしている方もいます。故人のGoogleアカウントも対処しましょう。故人のGoogleアカウントは「閉鎖」や「アカウントからのデータ取得」などができ、生前に設定しておくことで自動削除もすることができます。
アカウントの閉鎖・データ取得
家族や代理人の申請により、「死去したユーザーのアカウントに関するリクエストを送信する」から「閉鎖」や「アカウントからのデータ取得」などが可能です。申請の際には、申請者の身分証明書、死亡診断書などが必要です。
→ 死去したユーザーのアカウントに関するリクエストを送信する(外部リンク)
生前にアカウントの設定をする
生前に死後の自分のアカウントについての設定もすることができます。これは「アカウント無効化管理ツール」の機能で、正確に言うと「死んだこと」に基づくのではなく、「一定期間アカウントの利用がないこと」に基づいて実行される機能です。一定期間ログインしないときにアカウントやデータを自動的に削除したり、残っている情報を自動的に特定の人に送ったりするように設定できます。
「自動削除するまでのログインしない一定期間」は、3か月、6か月、12か月、18か月の4種類の期間の中から選択できます。アカウントの利用者が死亡したかどうかではなく、設定期間にGoogle アカウントが利用されない場合に、アカウントの自動削除が行われます。
Googleが前回のログインやGmailの利用状況、Androidのチェックインなどを確認し、Googleアカウントが利用されているか確認するのです。
→ アカウント無効化管理ツール(外部リンク)
2-6. Yahoo! JAPAN ID
Yahoo!のアカウントは「Yahoo! JAPAN ID」といい、フリーメールを使ったりSNSにログインしたりすることができるアカウントです。アカウントを削除したい場合は、「お問い合わせフォーム」から申請します。
→ Yahoo!お問い合わせフォーム(外部リンク)
ただし、Yahoo!プレミアムなどの月額有料サービスを利用している場合はアカウントを削除できません。まずは「ご本人以外による有料サービスの利用停止」から有料サービスの利用停止手続きを行いましょう。
→ ご本人以外による有料サービスの利用停止(外部リンク)