仏壇を購入する時には、あらかじめ仏壇をどこに置くのかを考えておかなければなりません。人によってはただ納まりのいい場所に置くのではなく「この向きに置いて大丈夫かな」「この部屋は家相的に問題ないかな」と、向きや場所を考えてしまいますよね。
この記事では、仏壇の設置場所や向きについて解説いたします。世間一般で言われている通説だけでなく、仏壇を置くべき場所の考え方についても、読者のみなさんに寄り添った目線でお伝えしていきます。
仏壇を購入する時には、あらかじめ仏壇をどこに置くのかを考えておかなければなりません。人によってはただ納まりのいい場所に置くのではなく「この向きに置いて大丈夫かな」「この部屋は家相的に問題ないかな」と、向きや場所を考えてしまいますよね。
この記事では、仏壇の設置場所や向きについて解説いたします。世間一般で言われている通説だけでなく、仏壇を置くべき場所の考え方についても、読者のみなさんに寄り添った目線でお伝えしていきます。
これから仏壇の向きや設置場所について述べていくわけですが、はじめにお伝えしたいのは、【仏壇の向きや場所に決まりはない】ということです。家の人が日常生活の中で、納まりがよい場所、向きに置くのがもっともよいでしょう。
仏間が家にある場合は、仏間に仏壇を置きしょう。仏間がある場合、場所や向きに悩む必要がありません。まずは仏間がどういう場所なのかを確認しましょう。
仏間とは、客間の奥にある仏壇を置くための空間です。通常は、掛軸を掛けるための床の間と並んで設置されています。足元は框(かまち)と呼ばれ、床や畳から約10cmの段差が作られており、そこに仏壇を納めます。
そもそも日本家屋には必ず客間として用いる和室があり、その奥まったところに仏間がありました。昔は自宅で冠婚葬祭を行っていましたが、こうした行事は必ず客間で、仏壇の中にいるご先祖さまの前で行われたものです。その名残で、現代の一戸建て住宅でもしばしば仏間を見かけます。いまでこそ冠婚葬祭を自宅で執り行うことは少なくなりましたが、心静かに落ち着ける祈りのための場所として、仏間を捉えることもできます。
仏間が家にない場合は、自分たちの生活の中で感覚的に納まりのいい場所に仏壇を設置しましょう。
はじめにもお伝えした通り、仏壇を置く場所や向きに特に決まりはありません。「納まりのよさ」を考えるのは以下をポイントにしましょう。
昨今の住宅はどんどんコンパクトになっているため、仏壇を置く場所がどうしても限られてしまいます。だからこそ、「納まりの良さ」という感覚的なものが大切になってきます。そもそも手を合わす、祈るという行為こそが、目に見えない感覚的な営みです。手を合わす時に、なんとなく仏壇の納まりが悪く違和感を覚えてしまうと、気が散ってしまい、仏さまや故人さまへの想いに集中できないかもしれません。
まずは【仏壇の向きや場所に決まりはない】ということをお伝えしたわけですが、それでも仏壇の向きや場所が気になってしまう人のために、これから一般的に言われている仏壇を置くべき場所や向きについてご説明していきます。それでも忘れないでほしいのは、ありきたりな言葉になってしまいますが、【大切なのは向きや場所ではなく、拝む想い】ということです。
仏壇の向きに決まりはないというものの、昔から3つの説があったと言われています。その3つとは次に挙げる方角です。
これらの意味や根拠について、ひとつずつお伝えします。
仏壇が東を向くということは手を合わせる人は西を向きます。日本から見て西の先には、仏教発祥の地であるインドがありますし、仏教の世界では阿弥陀如来が作られた極楽浄土があると言われています。このため、浄土教(日本では浄土宗や浄土真宗)では特に西の方角を大切にします。
仏壇が南側を向き、手を合わせる人が北方向を向くことになるような置き方です。これは日本に根強くある「南向き信仰」につながるものです。住宅でも、お墓でも、日当たりや風通しのよい南は吉方とされています。また、お釈迦様が弟子たちに説法するときに南を向いていたという説もあるようです。手をあわせる私たちは北を向き、仏様を仰ぎ見るのです。
その宗派の本山を向くようにして仏壇を設置します。つまり、自宅と本山の位置関係によって仏壇の設置場所や向きが変わることになります。たとえば、真言宗の総本山は和歌山県にある高野山金剛峰寺です。東京に住んでいる人は東向きに、福岡に住んでいる人の場合はこの逆、京都に住んでいる人の場合は北向き仏壇を設置することで、高野山の方角を向いて手を合わすことができます。
前の章で、3つの説を取り上げましたが、これらはそれぞれの宗派の教えに深く関わっています。なぜ西なのか、なぜ南なのか、なぜ本山なのか、基本的な考え方としてどの宗派がどの向きを勧めているのかを知っておくのもよいでしょう。
東向き(西に向かって手を合わす)を推奨しているのは、浄土真宗や浄土宗、天台宗があります。これは、浄土教で見られる西方極楽浄土信仰に基づきます。阿弥陀如来の仏国土である極楽浄土は西の彼方にあると言われており、これらの宗派では、亡くなったあとに極楽浄土に往生することを目指します。実際に、浄土系では「西」のつくお寺が多いですし、春や秋のお彼岸に、真西に沈む夕日を見ながら瞑想する「日想観」も有名です。
南向き(北に向かって手を合わす)と親和性が高いのは、禅宗系の宗派、曹洞宗や臨済宗があります。禅宗では原則的に霊魂や来世に目を向けることなく、この世界で自己に向き合うことを大切にしており、お釈迦様の教えを学び実践することを目指しています。お釈迦様は南を向いて説法していたと言われているために、同じ向きに仏壇を設置します。
真言宗では、拝む方向の延長線上に宗派の総本山が来るように仏壇を置くことが多いそうです。真言宗は、特に開祖である弘法大師空海の人気が絶大な宗派です。空海がいまも生きているとされる和歌山県の高野山には、古今東西から数多くの参拝者が集まり、歴史に名を刻む戦国武将や社会的影響の大きい人たちのお墓が並ぶほどです。弘法大師や高野山の信仰が強い真言宗だからこその考え方なのかもしれません。
日蓮宗では、特に仏壇の場所や向きを問いません。間取りや環境に合わせてもっとも納まりのいい場所に設置しましょう。
仏壇に手を合わす時には、気持ちよく故人さまと向き合いたいものです。そのためには仏壇のあるお部屋の環境が大切になります。仏壇を置くに当たり、方角以外にどのような点に注意すべきでしょうか?
仏壇を明るい場所に置くことで、晴れやかな気分で手を合わすことができるでしょう。ただし反面、直射日光が当たるような場所であれば、仏壇そのものが焼けて傷みやすくなります。日当たりのいい部屋の中で、窓から少し離れた場所が理想です。
同じ部屋の中に神棚がある場合、どのように仏壇を設置すれば良いのでしょうか。次の点に気をつけましょう。
仏壇とか神棚が向かい合うことで、どちらかに手を合わせる際にもう一方に対しお尻を向けることになってしまいます。
神棚の真下に仏壇を置くことは、家相上よろしくないとされています。神道と仏教は違う宗教であり、神さまが仏さまを踏みつけるのがよくないからだと言われています。
ちなみに神棚はそもそも目線よりも高いところに設置されるものなので、神棚のさらに真上に仏壇を配置するというのは状況としてはほとんどありえないでしょう。
伝統的な日本家屋では、客間の一番奥に床の間と仏間が並んで設計されていることが多いです。来客を通し、冠婚葬祭を行う部屋として使われていたわけです。仏間の隣の床の間には掛け軸を掛け、花を活け、香を焚きます。法事や命日などの仏事の時には、それぞれの宗派にあった掛け軸をかけてあげましょう。掛け軸には次のようなものがあります。
天台宗や浄土宗や浄土真宗で掛けられます
臨済宗や曹洞宗で掛けられます
真言宗で用いられます
日蓮宗や法華系の宗派で用いられます。
釈迦如来をはじめ、13の仏さまが描かれています。真言宗、天台宗、臨済宗、曹洞宗などで用いられます。
四国や西国の巡礼の際に、札所(それぞれのお寺)からいただく納経(御朱印)を掛け軸にして掛けます。巡礼を満願(まんがん:達成すること)したら、宗派問わず床の間に掛けてあげましょう。
ここまで、さまざまな仏壇の置き場所に、方角についてお伝えしてまいりました。
一番初めにお伝えした通り、【仏壇の向きや場所に決まりはない】ということです。さらに仏教では本来方角などによる吉凶を問いません。大切なのは、自己。手を合わす側の心の働きです。
それでも場所や向きを気にしてしまうのは、「間違ったことをしてはならない」という意識が働いてしまうからで、それは裏返すと、それだけ「故人さまが成仏できるようきちんとお祀りしなければならない」という想いが込められているのだと思います。死者や先祖想いで、まじめな日本人の性格がよく出ており悩んでしまうのもわかります。
昔のように仏間があれば、迷うことなどありませんでしたが、現代はよくも悪くも自分たちの自由が求められる時代です。だからこそ、都合がいいところは慣習に頼りつつ、自分の中にある「直感」を大切にしましょう。
「なんとなくここで手を合わすと落ち着く気がする」という「なんとなく」で充分なのです。大切なのは拝む気持ち。場所や向きは、その次に来るものです。
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