弔辞の書き方―故人におくる最後の言葉 心がまえや構成、避けるべき言葉、文例、読み方

弔辞(ちょうじ)とは告別式の際に「故人におくる言葉」のことです。最後に故人に伝える言葉やメッセージ、手紙という意味合い・内容のものになります。喪主や遺族が故人ととくに親しかった人に依頼することが多いものです。弔辞を依頼されたらまずどう心がまえをするのか、どんなエピソードを選んで弔辞を組み立てるのか、流れや構成など書き方、封筒や包み方、NGの言葉、読み方もご紹介します。

index 目次
  1. 1. 弔辞の心がまえ
  2. 2. 弔辞を書く前に確認しておくこと
  3. 3. 弔辞の用紙、封筒、筆記具、包み方
  4. 4. 弔辞の読み方
  5. 5. 弔辞の注意点と避けるべき言葉
  6. 6. 弔辞の構成
  7. 7. 文例

1. 弔辞の心がまえ

弔辞は故人の友人、同僚、仲間、親族、上司や部下、先輩や後輩、恩師や教え子などが参列者の代表として故人に対して読み上げるものです。もし喪主や遺族から弔辞を依頼されたら、それだけ信頼されているということであり、謹んで引き受けるようにし、責任をもって弔辞を捧げます。

葬儀や告別式は、故人を中心にして遺族や参列者が集まる機会です。お互いに直接会ったことはないが、故人を通じて話を聞いたり、存在は知っていたものの初めて顔を合わせたりする人もいます。それまで故人がつないできた人間関係、社会があらわれてきます。もちろん人によって死の受け止め方は違いますが、そうした人同士が故人を失った悲しみや寂しさを共感、共有することによって、故人の死を受け入れていく場にもなりうるのです。

そのため、弔辞は自分の故人に対する気持ちをあらわすと同時に、遺族や参列者と故人を失ったショックや、大切な存在であったことを分かち合う時間にもなります。遺族やほかの参列者の存在も意識しながら、亡くなった人に対する自分の気持ちを故人におくる最後の言葉として素直に心を込めて読み上げましょう。弔辞は告別式で読み上げるものですが、読んだあとに故人の祭壇に供え、告別式後は遺族が保管することもありますので、書式に従って丁寧に、きちんと書いておくようにしましょう。

2. 弔辞を書く前に確認しておくこと

喪主や遺族から弔辞の依頼を受けたら、次のことを確認してから弔辞の内容を考えるとスムーズです。

弔辞を書く際に確認しておくこと
  • 名前(漢字フルネーム)
    一般的に親しい人が弔辞を遺族から依頼されるので、確認する必要はないかもしれませんが、長く付き合っている間柄こそ名前の漢字を勘違いしていた、ということがありえます。
  • 亡くなった日、場所
  • 亡くなった経緯
  • 故人の年齢
  • 宗教・宗派 宗教や宗派によって使わない言葉があるので確認しておきます。
  • 弔辞を読み上げる時間
    一般的に2、3分程度になります。600字~1000字程度が目安です。
  • 告別式のどのタイミングで弔辞を読むのか、おおよその順番

3. 弔辞の用紙、封筒、筆記具、包み方

上記の基本事項を確認したら内容を考えて原稿を準備します。赤塚不二夫さんの告別式ではタモリさんが白紙の弔辞を読み上げ、今でも「伝説の弔辞」といわれています。これは非常にかっこいいのですが、タモリさんだからこそできる特別なケースであり、なかなか一般の人が真似できることではないでしょう。弔辞は読み上げた後に祭壇に供え、その後は遺族が保管しますので、メモ程度ではなく、きちんと文章で書き上げ丁寧にしたためた弔辞を読み上げるようにしましょう

用紙と封筒、筆記具

用紙はよほど格式や形式に則った告別式でなければ、市販の弔辞用紙や便せん、プリントアウトする場合はA4用紙(印刷対応)などを利用すればいいでしょう。市販の弔辞用紙(「弔辞用紙」「式辞用紙(弔辞用)」)には罫線なしのものや罫線入りのもの、A4印刷対応のものなどがあり、300円台~700円程度で文房具店や大きい書店、ネット通販などで購入できます。筆記具は筆ペン(薄墨)や万年筆(黒インク)などで書きますが、パソコンで作成したものをプリントアウトしてもかまいません。

市販の用紙には付属の封筒や上包みがついています。

上包みの場合

1. 中央にジャバラ折りにした弔辞を置きます。右側から折って左前になるように折り三つ折りにします。

2. 上下を後ろに折り下げます。「弔辞」と表書きをします。

封筒の場合

1. 便せんまたは印刷した用紙の下3分の1を上に折り上げてから、もう3分の1を折り下げて三つ折りにします。

2. 便せんの右上角(☆)が上になるように、「弔辞」と表書きした一重の白い封筒に入れます。

袱紗で包む

弔辞は内ポケットに入れるか、弔辞を鞄に入れる際には上包みや封筒が傷まないように袱紗(ふくさ)で包んで持参します。会場に着いて弔辞を読む時までに、袱紗から出してすぐに取り出せる状態にしておきます。弔辞を読む際に立ち上がるときは、弔辞だけをもって前に進み出るようにします。

袱紗の包み方

袱紗はダイヤの形になるように広げ、中央より右側に封筒を置きます。

右→下→上→左の順に包みます。

封筒型の金封袱紗の場合は左からふたをかぶせる向きで使います。

参考
袱紗の包み方

4. 弔辞の読み方

弔辞を読む際の大まかな流れは次のようになります。弔辞を読み上げるときは早口や大きな声、芝居がかった口調にならないように注意します。

弔辞の読み方
  • 司会者に名前を呼ばれたら祭壇の前に進み出る。
  • 告別式をとりおこなう人(仏式なら僧侶)と喪主・遺族に向かって一礼。
  • 弔辞を開く。
    利き手ではない方の手で弔辞を持ち、利き手で開けて弔辞を取り出す。包みや封筒は利き手ではない方の手に「弔辞」と書いた面が上になるように持ち、利き手で弔辞を開く。
  • 弔辞を開いて目の高さに上げ、姿勢を正して正面を向いて読む。
  • 落ち着いたトーンでゆっくり読む。
  • 読み終わったらたたんで「弔辞」の表書きが、故人が読める向き(参列者席と反対に向かって)に供える。
  • 告別式をとりおこなう人(仏式なら僧侶)と喪主・遺族に向かって一礼。
  • 自分の席に下がる。

5. 弔辞の注意点と避けるべき言葉

NGの言葉や相応しくない話題を選んでしまわないよう慎重に言葉や内容を考え、書き終えた後はよくチェックをするようにしましょう。自分の家族・親族や友人や同僚など身近な人に一度聞いてもらうと安心です。

弔辞の注意点
  • くだけすぎない
  • 故人が秘密にしておきたいと思っていたであろうことを暴露しない
  • 故人の評価を下げかねない話はしない
  • 内輪しかわからない話題は避ける

また、次のような不幸が重なるようなニュアンスの言葉や直接的すぎる表現は避けましょう。

避けるべき言葉

不吉なことを連想させる言葉:浮かばれない、迷う、九や四、消える、落ちる
重ね言葉:重ね重ね、ますます、しばしば、たびたび、返す返すも、くれぐれも、再三
不幸が続くことを連想させる言葉:重々、追って、続いて、なお

言い換える言葉

死に関する直接的な表現:死亡、死ぬ、急死 →亡くなる、死去、逝去(せいきょ)、永眠
生に関する直接的な表現:生存、生きている →生前

宗教上の違いで気をつけるべき言葉

仏教では「天国」は使わないようにします。
仏教・浄土真宗では、亡くなると同時に阿弥陀様に救われて浄土に生まれ仏となる「往生即成仏」という考えから、「冥福」「霊前」といった言葉は使いません。
キリスト教や神道では「成仏」「供養」「冥福」「往生」「お悔やみ」といった仏教の言葉を使わず、キリスト教なら「昇天」「天に召される」、神道なら「帰幽」(きゆう)と表現します。

6. 弔辞の構成

弔辞の組み立ては、導入、故人への呼びかけ、自分の気持ち、故人との関係・出会い・思い出、故人や遺族へのメッセージやお悔やみの言葉、結びの言葉、日にち・自分の名前、となります。浄土真宗、神道、キリスト教の告別式では「霊前」「冥福」は使いませんので注意しましょう

1. 導入

はじめに「弔辞」(ちょうじ)と言ったあと、次のようなはじめの言葉を述べます。会社やグループなどを代表して述べる場合は、「○○を代表して」や「○○会社の○○と申します」など自己紹介を添えます。

はじめの言葉例

○○さんのご霊前に、謹んで申し上げます。

○○さんのご霊前に、謹んでお別れのご挨拶を申し上げます。

○○さんのご逝去を悼み、謹んで哀悼の意を表します。

友人代表としてお別れの言葉を述べます。

○○さんのご霊前に○○を代表してお別れのご挨拶をさせていただきます。

○○先生、謹んでご逝去を悼み、生前の温かいご指導に対し、あらためてお礼申し上げます。

2. 故人への呼びかけ

弔辞は故人へおくる言葉なので、はじめに話しかけるように呼びかけます。基本はふだん呼んでいた呼び方で「○○さん」(名字か下の名前)ですが、下記のような場合は敬称をつけます。幼なじみなど、自分も遺族も知っている呼び方やずっと呼んでいるあだ名があれば、「○○さん、いつも通り△△と呼ばせてください。」という呼びかけで始めて、あだ名などで呼んでもいいでしょう。

基本は、○○さん。

故人が上司なら名前と肩書、○○部長など。

恩師や先生(現役、元、問わず)なら○○先生

○○先輩、○○おばさん、○○おじいちゃんなど。

3. 自分の気持ち

訃報を聞いた時の驚きや悲しみ、さびしさや信じられない気持ちなどを素直に述べます。

こんなに早く逝ってしまうとは思いもしませんでした。

○○さんの訃報に接し、大変驚き、残念な気持ちでいっぱいです。

あなたがもういないなんて今もまったく信じられません。

この度は突然の訃報に接し、驚きとともに深い悲しみの気持ちでいっぱいです。

あなたの訃報に接し、私たちの悲しみはこの上なくまことに残念でなりません。

突然の訃報に驚いています。○○歳で往ってしまうなんて早すぎます。もっとやりたいこともあったでしょうし、○○のメンバーで一緒に行きたいところもたくさんありました。病とはいえ本当に残念でなりません。

あなたがもういないなんていまだに信じられない気持ちでいっぱいです。先月○○で会って○○の話を笑いながらしたばかりだったのに。

まさかこんなに突然○○の霊前に哀悼の言葉を捧げることになるとは想像もしませんでした。まだまったく気持ちの整理がつきません。

4. 故人との関係や出会い、思い出

故人と自分の関係を簡単に述べ、次のような自分が知っているエピソードや思い出を話します。遺族や参列者が「そうそう、そんなことがあった」と思い出す糸口になったり、「そんなことがあったとは知らなかった」と故人の意外な一面を知ったり(暴露にならないように)、故人の人となりが伝わるような内容にします。

故人の経歴

思い出

最後に会った時の様子

最近の様子

職場や友人間ではどんな人だったか

印象的な言葉や教え

5. 故人、遺族へのメッセージや別れの言葉、感謝、冥福を祈る言葉

結びとして遺族の気持ちに寄り添う言葉や、故人への最後のメッセージや感謝などを述べます。

ご家族のお気持ちを察しますと、お慰めの言葉もありません。

ずっと忘れません。どうか安らかに眠ってください。ご冥福をお祈りいたします。

終わりに五十年間の友情に心からお礼申し上げます。どうもありがとう。

ご遺族の皆さま、○○さんとのお別れは、本当におつらいことと思います。

ご遺族の悲しみを考えるとほんとうに胸が痛みます。ご遺族様には、この度のご不幸、心よりお悔やみ申し上げます。

今後、我々は〇〇さんにお示しいただいた沢山の教えのもとに、メンバー一同力を合わせて本会を守っていくことを誓います。そして生前のご指導に深い感謝を捧げ、お別れのご挨拶とさせていただきます。〇〇さん、ありがとうございました。

できることならば、もう一度君と一緒に飲みに行きたかったなと思うよ。〇〇君、心からご冥福をお祈りしています。さようなら。

まだまだ一緒に話したいことややりたいことがたくさんありました。でも今となってはただいてくれるだけでよかった、ということがよくわかります。あなたが遺された家族のことは心配しないで、私たちがしっかり支えていきます。ゆっくり休んでください。

6. 日にち、自分の名前

○○年○月○日 (自分の名前)

7. 文例

同級生に宛てた弔辞と同僚に宛てた弔辞の文例をご紹介します。

文例(同級生への弔辞)

○○○○さんのご霊前に臥しまして、友人代表として謹んでお別れのご挨拶を申し上げます。いつもの通り「○ちゃん」と呼ぶことをお許しください。
○ちゃん、仲間内で誰よりも元気だったあなたが、こんなに早く先に逝ってしまうとは思いもせず、今こうしてあなたのご霊前に向かい合っていても、信じられない思いでいっぱいです。
○○ちゃんとは高校時代からの親友で、卒業後も一緒にスキーや旅行を楽しみました。私が結婚して関西に行ったころは、私は地元を離れたさみしさからあなたによく電話をして愚痴を聞いてもらい、いつも明るいあなたにどれだけ支えられたか分かりません。お互いの子どもを連れてみんなで○○に行ったり、子どもが大きくなって手が離れてからは一年に一回は会いたいね、と旅行に行ったり、夜は寝る間を惜しんでおしゃべりをしました。だんだん年を取ってみんなで歩き回ることもできなくなってしまったけど、タクシーの窓から見える景色を一緒に見るだけでも、ご飯を食べるだけでも会えば○○ちゃんはいつも笑顔で本当に楽しかったですね。
次は○○に行こうという計画はもう果たせない夢となってしまい、とても悔しくて残念な気持ちです。これから私たちは、あなたと過ごした長い月日を大切に思いながら、あなたに電話することも、出かけることもなく、もういないのだと実感してさびしくなることでしょう。
○○さんや○○ちゃん、ご遺族の悲しみを考えるとほんとうに胸が痛みます。ご遺族様には、この度のご不幸、心よりお悔やみ申し上げます。
終わりに○年間の友情に心からお礼申し上げます。どうもありがとう。ご冥福をお祈りして、弔辞に代えさせていただきます。

○○年○月○日 (自分の名前)

文例(同僚への弔辞)

○○○○さんのご霊前に、謹んでお別れの言葉を申し上げます。
○○さんがこのように急に逝ってしまわれ、私たちは皆驚きのあまり誰も言葉を発することができませんでした。来週にはいつも通り会社で会えるような気がして、今もまだ信じられない気持ちで、本当に残念でなりません。
○○さんと私は○○のプロジェクトで知り合って以来○年近いつきあいでした。○○さんの穏やかで粘り強く、長期的な視野で物事を考える仕事ぶりに何度も助けられてきました。よき同僚としてお酒を飲んだり、一緒にソフトボール大会に出たりすることもありました。○年前にあなたの転勤先の○○を訪れた際には、一緒に○○に登り○○を見たことは今でも忘れられない大切な思い出になっています。
一方で、人に教えるのが得意なあなたは、相手の長所を見つけて伸ばすよう丁寧に指導し、何人もの部下を一人前に育ててきました。まだまだやりたかった仕事がたくさんあったことと思います。しかし、心配しないでください。皆今後会社を背負って立つような大きな人なり、あなたが実現したかったであろう企画や事業を引き継いでいってくれるにちがいありません。 よき夫に先立たれた奥さまと君の素晴らしい息子さんと娘さんのご心痛は察するにあまりあります。○○さん、ご家族や私たちの上にこれまでのような温かいまなざしで見守ってください。あなたが遺されたご家族のことは私たちがしっかり支えていきます。
あなたと長年同僚、友人でいられたことに感謝します。安らかに眠ってください。

○○年○月○日 (自分の名前)

参考

暮らしの情報研究会『とっさのときに、すぐ使える!弔辞の実例辞典』実務教育出版 2014年

Text by:AISA
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