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2026年10月9日、読売新聞オンラインが「火葬場の受け入れ、政令市4割超で逼迫の恐れ」と報じました。公営の火葬場を持つ政令市20市への調査で、遅くとも2040年頃までに火葬の受け入れ体制が逼迫する可能性があると答えた市が4割を超えたという内容です。
「火葬待ち」は、亡くなってから火葬までの日数が延びることで、遺族の心身や費用の負担に直結します。この記事では、報道された調査の中身を整理したうえで、なぜ火葬場が足りなくなるのか、火葬待ちの間の安置にかかる費用、遺族が今から備えられることをまとめました。数字は出典を明記しており、記事末尾の「出典・参考資料」から確認できます。
政令市の4割超で火葬場が逼迫の恐れ―読売新聞の調査
読売新聞は、公営の火葬場を持つ政令市20市すべてに、「年間の火葬件数が受け入れ可能件数(2026年6月時点)を超える恐れはあるか、あるならその時期はいつか」を尋ねました。その結果、9市が2040年頃までに逼迫の恐れがあると回答しています(出典:読売新聞オンライン、2026年10月9日配信)。
火葬の受け入れが逼迫する時期についての政令市の回答
| 回答 |
該当する市 |
| すでに受け入れ可能件数を上回っている |
横浜市、広島市 |
| 2030年代までに上回る見込み |
さいたま市(2030年頃)、千葉市(2033年頃)、川崎市(2036年頃)、相模原市(2035〜2036年頃)、堺市(2035年頃) |
| 2040年までに上回る見込み |
岡山市(2040年頃)、福岡市(2035〜2040年頃) |
※読売新聞オンライン(2026年10月9日)の記事をもとにSOBANI編集部で表に整理しました。
すでに「火葬待ち」が起きている例も報じられています。千葉市では、亡くなる方が増える冬に7〜10日ほどの火葬待ちが生じているとのことです。
一方で、各市は対策も進めています。横浜市は2026年度末に5か所目となる市営火葬場を稼働させる予定で、火葬炉は現在の44基から60基に増えます。ただし整備費は約260億円にのぼり、市債の発行で賄うことになりました。岡山市を除く19市が、火葬場の新設、再整備、増炉を予定しているといいます。
なぜ火葬場は足りなくなるのか
亡くなる方の数が、想定より早いペースで増えている
国立社会保障・人口問題研究所は2023年、年間の死亡者数が2040年にピークを迎え、現在の約159万人より6万人ほど多い約165万人になると試算しました。ところが読売新聞によると、2025年の死亡者数はすでにこの試算を約7万人上回っています。団塊の世代が高齢期に入り、いわゆる「多死社会」が本格的に始まっていることが背景にあります。
火葬場は「作れば解決」とはいかない
火葬場の運営には、墓地埋葬法などに基づいて都道府県や市区の許可が必要です。旧厚生省の通知は「永続性」と「非営利性」を求めており、2025年度末時点で全国1,350施設のうち97%(1,316施設)を公営が占めています。つまり、火葬場の整備は多くの場合、自治体の財政に直接のしかかります。
さらに、火葬場の新設には用地の確保や近隣住民の理解といったハードルがあります。葬儀社の担当者も、新設は法規制や用地、住民の反対など課題が多く、難しいとの見方を示しています(出典:ORICON NEWS)。老朽化した施設の更新費も重く、政令市長会は2025年12月、国への要望事項に火葬場整備への財政支援を初めて盛り込みました。
火葬には「1日にできる件数」の上限がある
公営の火葬場では、火葬炉に納めてから収骨まで2時間弱かかるとされます(出典:ORICON NEWS)。炉の数と運用時間が決まっている以上、1日に火葬できる件数には限りがあります。友引の日を休場にしたり、午後早い時間で受け付けを終えたりする火葬場も少なくなく、稼働時間や慣習の見直しが必要だという専門家の指摘もあります(出典:プレジデントオンライン)。
東京23区の火葬待ちの実態
東京23区には火葬場が9か所ありますが、公営は都営の瑞江葬儀所と、5区の広域組合が運営する臨海斎場の2か所だけで、残る7か所は民営です(出典:プレジデントオンライン)。
読売テレビの報道(2026年7月13日配信)によると、23区の火葬待ちは、民営の火葬場で2〜3日、公営では7〜10日ほどとされ、ピーク時には2週間待ちになることもあるといいます。読売新聞の調査では、東京都でも2040年頃に火葬能力が不足する恐れがあるとされ、民間の火葬場による寡占状態の23区では火葬料が高騰しているため、都と区が対応策を協議しています。
東京の火葬料金や、民営火葬場が中心という東京ならではの事情については、東京の火葬料はなぜこんなに高い?多死社会と都の検討会、「外資」の噂の真相や、火葬料約30%値上げ!葬儀社側は反発も~東京の火葬場が抱える特殊事情で詳しく解説しています。
その後の2026年10月には、23区で公営の小規模火葬場を新設する案が検討されていると報じられました(出典:読売新聞オンライン、2026年10月13日配信)。→ 東京23区に公営の小規模火葬場を新設へ|案の中身と、決まっていないこと
首都圏以外でも他人事ではない
火葬待ちは東京だけの話ではありません。横浜市の環境施設課によると、2023年4月から2024年2月までの火葬待ちは平均4.93日でした。2022年度の5.81日からはやや改善したものの、2014年度の3.71日よりは長くなっています(出典:東洋経済オンライン、2024年)。
火葬待ちの間、故人はどこで待つ?安置の方法と費用
火葬までの間、故人は葬儀社や斎場の安置施設、または自宅などで安置します。法律上、亡くなってから24時間が経過するまでは火葬ができないため(墓地、埋葬等に関する法律第3条)、少なくともその間は安置が必要です。
葬儀社の安置施設を使う場合
葬儀社の安置施設を利用する場合の費用は、1日あたり5,000円から1万5,000円程度が相場とされ、ドライアイスの交換費用や施設管理料を含めると1日1万円前後になることもあります(出典:ファイナンシャルフィールド)。たとえば7日間なら、7万円前後の差が出る計算です。
読売テレビが取材した都内の葬儀場では、最大60体を預かれる冷蔵安置室を24時間あたり1万1,000円で利用できるとのことでした。ただし、遺体を良い状態で保てるのは2週間が限界で、ピーク時の東京の火葬待ちは、その限界に近い日数だと伝えられています。
自宅で安置する場合
自宅での安置は、ドライアイスなどによる保冷が必要になるため、葬儀社の指導を受けながら進めます。住宅事情や夏場・冬場の室温によっては難しいことも多いため、事前に葬儀社へ相談しておくと安心です。
火葬待ちで困らないために、遺族が今できる備え
火葬場の状況は、個人の努力では変えられません。そのぶん、知っておくだけで選択肢が増えることがいくつかあります。
1. 待ち日数と費用を、複数のパターンで比べる
地元の公営火葬場を1週間〜10日待つ場合と、数日後に空いている別の自治体の火葬場を使う場合とで、安置料と火葬料の合計があまり変わらないことがあると、一都三県で葬儀を担う葬儀社は話しています(出典:ORICON NEWS)。見積もりを取るときは、「火葬までの日数」と「安置料」を合わせて比べるのがポイントです。
2. 市外の火葬場は料金や予約条件が異なる場合がある
公営火葬場には、住民とそれ以外の人とで、予約できる日数や時間帯、料金に差を設けている「市民優先制度」があります(出典:広報みよし2025年4月号)。たとえば札幌市の火葬料は、2026年4月から市民が1万6,000円、市民以外は5万4,000円です(出典:札幌市)。利用できるかどうか、料金がいくらかは、自治体ごとに異なります。
3. 火葬場が混みやすい時期を知っておく
亡くなる方が増える夏や冬、火葬場が休みになる年末年始は、1週間ほど待つケースも多いと言われています(出典:ORICON NEWS)。また、友引の日を休場とする火葬場もあります。希望の日程が取れないときは、葬儀社に火葬場の空き状況を早めに確認してもらいましょう。
4. 手続きの流れを把握しておく
火葬には、市区町村への死亡届の提出と「火葬許可証」の取得が必要です。流れは火葬のための手続きと「火葬許可証」で、当日の段取りは火葬の段取りと法要・儀式で解説しています。費用を抑える方法については、死んだらかかる「本当の最小限費用」とお金をかけずに葬儀をする方法も参考になります。
5. 家族で、希望や連絡先を共有しておく
いざというときに慌てないよう、お願いしたい葬儀社や、どんな見送りをしたいかを、元気なうちに家族と話しておくことも備えのひとつです。
火葬のあと、ご遺骨の行き先も急がなくていい
火葬までの日数に気持ちを削られると、「火葬が終わったらすぐ納骨先を決めなければ」と焦ってしまう方もいます。しかし、墓地、埋葬等に関する法律には、納骨の期限を定める規定はありません。四十九日や一周忌などの節目に合わせて、ご家族で話し合いながら、ゆっくり決めて大丈夫です。
お墓や納骨堂のほかにも、ご遺骨を自宅で供養するという選択肢があります。たとえば、ZAYU(自宅納骨のミニ骨壺)は、ご遺骨を自宅に納めて、日々のくらしの中で故人を身近に感じながら供養するための骨壺です。詳しくはzayu.jpをご覧ください。手元供養の種類や費用については、手元供養とは?種類・費用・始め方から自宅納骨との違いまで解説も参考にしてください。
火葬待ちに関するよくある質問
Q. 火葬待ちの間に、死亡届はいつまでに出せばよいですか?
A. 死亡届は、亡くなったことを知った日から7日以内に提出するのが原則です(戸籍法)。火葬の日程が決まるのを待たず、通常は葬儀社が代行して早めに提出し、火葬許可証を受け取ります。火葬待ちが長引いても、死亡届の期限は変わりません。
Q. 火葬までの日数に、法律上の上限はありますか?
A. 墓地、埋葬等に関する法律では、亡くなってから24時間を経過しないと火葬できないと定められています。一方で、火葬までの上限日数を定めた規定は見当たりません。ただし、ご遺体を良い状態で保てる期間には限りがあるため、東京のように待ち日数が長い地域では、早めに火葬場の空き状況を確認することが大切です。
Q. 住んでいる市以外の火葬場も使えますか?
A. 使える場合が多いものの、料金や予約条件は自治体と施設ごとに異なります。住民以外は料金が高くなったり、予約できる日や時間帯が限られたりすることがあります。まずは葬儀社に、候補になる火葬場の空き状況と料金を確認してもらいましょう。
出典・参考資料
本記事の数字・事実は、以下の資料をもとにSOBANI編集部が確認・整理しました(各リンクの最終確認日:2026年10月12日)。
※料金・待ち日数・火葬場の運用は、地域や時期によって大きく異なります。実際の手配にあたっては、お住まいの自治体や葬儀社にご確認ください。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、法律・税務・宗教上の判断を要する内容については、個別の事情により対応が異なる場合があります。具体的な手続きやご判断にあたっては、専門家(弁護士・行政書士・税理士・菩提寺など)にご確認・ご相談いただくことをおすすめします。
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