「相続財産」とは何か?相続財産になるもの・ならないもの

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相続とは亡くなった方(以下、被相続人)が亡くなった時点で所有していたすべての財産(以下、相続財産)を引き継ぐことです(民法896条)。そこで相続財産を特定することが必要になります。今回は被相続人が残した財産のうち、何が相続財産になるのか、また相続財産にならないものは何か、さらにそれらと相続税の関係についてお知らせします。

本記事に関連した前提知識として「法定相続人」や「法定相続分」の知識、「遺言書で指定された相続人」の知識が重要になりますので、こちらの記事も併せてご参照ください。

相続税の課税対象になるかどうか、相続財産の全体をどのように把握するかなどはこちらの記事もご参照ください。

【税理士監修】この記事の税金に関する記述は、税理士 川上哲央(川上税務会計事務所) が監修しています。
index 目次
  1. 相続財産にはプラスもマイナスもある!?
  2. 相続財産はプラスとマイナスが一体
  3. 相続財産になるもの
    1. プラスの相続財産
    2. マイナスの相続財産
  4. 相続財産にならないもの
    1. 「一身専属権」に入るもの
      1. 被相続人が個人として持っていた権利など
      2. 被相続人が個人として持っていた資格や能力による地位など
  5. 特殊な財産―祭祀財産
    1. 墓地、墓石
    2. 仏壇、仏具など
  6. 生命保険金は相続財産?
  7. みなし相続財産とは
    1. 相続財産と相続税の課税対象の基本的な関係/みなし相続財産
    2. 相続財産の規定と課税対象についての法的効力の関係
    3. 「相続財産」と「みなし相続財産」の違い
    4. 「生命保険金」と「退職金」の非課税限度額
    5. 相続税法上の「法定相続人の数」と民法上の「相続人の数」
    6. 退職金や功労金のうち、相続財産とみなされる範囲
  8. 主なみなし相続財産
    1. 生命保険金
    2. 退職金など
    3. 弔慰金
    4. 生命保険契約に関する権利
    5. 生命保険会社の個人年金など定期金に関する権利
  9. お香典は「相続財産」でも「みなし相続財産」でもない
    1. お香典
  10. 相続税の計算で差し引けるもの・加算されるもの
  11. よくある質問
  12. まとめ

相続財産にはプラスもマイナスもある!?

相続財産とは、被相続人が亡くなった時点で所有していた財産のことで、相続人が複数いる場合には相続人の間で分け合うものです。一般的に「財産」と聞くとプラスのイメージがあると思います。例えば土地や建物といった不動産、株や預貯金、車や骨とう品など金銭的に価値のあるものが想像されるでしょう。

けれども相続財産にはプラスの財産だけでなく、被相続人名義のマイナスの財産も含まれます。例えば被相続人名義の借金や未払金、連帯保証人としての債務などです。

相続財産はプラスとマイナスが一体

相続財産はプラスのものとマイナスのものがありますが、相続する場合にはプラスもマイナスも一体に相続しなければなりません。逆に相続を放棄する場合は、プラスとマイナスの財産両方をすべて放棄しなければなりません。プラスの財産だけを相続して、マイナスの財産は放棄するといった選択はできません。つまりプラスもマイナスも含めて相続財産なので、プラスもマイナスも含んだ相続財産全体を相続するか、放棄するかを選ぶのが基本です。なお、相続したプラスの財産の範囲内でだけマイナスの財産を引き継ぐ「限定承認」という方法もあります(相続人全員で、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります)。

相続財産になるもの

相続するか、それとも相続放棄するかを決めるため、そして相続税がどのくらいになりそうかの目安をたてるためにも、まず何が相続財産になるかを調べましょう。相続財産になるものは下記のようなものです。

プラスの相続財産

大分類 分類 例
目に見えやすいもの 不動産 土地、建物、畑、田んぼ、山林など
動産 自動車、家具類、農耕機、工作機械など
現金や有価証券 現金、預貯金、株券、債権、国債、商品券、小切手など
生命保険 受取人が被相続人になっている生命保険
収集品 貴金属、宝石類、書画、骨とう品、衣服、芸術品など
目に見えにくいもの 各種権利 ゴルフ会員権、著作権、特許権、賃借権など
デジタル遺産 デジタル化された画像、動画、文書など
インターネット金融商品 ネット銀行の口座にある預貯金、ネット証券にある株式など

マイナスの相続財産

大分類 分類 例
目に見えやすいもの 債務 滞納している税金や各種利用料金、借金、カードローン、クレジットカードの未払い残高など
目に見えにくいもの 債務 連帯保証人としての債務

特にマイナスの相続財産は見つかりにくい可能性が高いので注意が必要です。また連帯保証人としての債務は高額の場合もあります。相続財産の全体像に大きく影響しますので、よく注意して探してください。

相続財産にならないもの

被相続人が生前持っていたプラスとマイナスの財産が一体になったものが相続財産ですが、被相続人のものであったのに相続財産にならないものがあります。

例えば被相続人個人だけが持つことができる資格や権利、義務は相続財産になりません(民法896条)。これらの権利や義務は他の人に渡すことができないため「一身専属権」と言います。

「一身専属権」に入るもの

「一身専属権」に入るものについて具体的にご説明します。

1. 被相続人が個人として持っていた権利など

  • 年金受給権
  • 生活保護受給権
  • 身元保証人としての地位
  • 親権
  • 扶養請求権

…など

上記に挙げたような権利は相続できません。これは被相続人個人が要件を満たしたり、信頼関係を築いたりしたことから発生した権利や義務なので、他の人に相続はできません。

2.被相続人が個人として持っていた資格や能力による地位など

  • 運転免許証
  • 医師免許
  • 電気技師免許など各種技能免許
  • 被雇用者としての地位

…など

これらも個人の能力によって取得した資格なので相続できません。

特殊な財産―祭祀財産

墓地や仏壇などは特殊な財産として扱われます。通常の相続財産は、相続人が複数いる場合は後で遺産分けの対象となります。例えば100平米の土地があり相続人が子ども2人の場合、50平米ずつに分けて相続するということができます。しかし祭祀財産は受け継ぐ人が1人だけ、という特殊な財産です。相続人が2人いても、祭祀財産の承継者は1人に決めなければなりません。

祭祀財産は慣習に従って、祖先の祭祀を主宰すべき人が承継します。ただし、被相続人が慣習とは異なる人を承継者として指定した場合には、その人が祖先の祭祀を主宰すべき人、とされて祭祀財産を受け継ぎます(民法897条)。

例えばその家族の慣習で、代々「法要など先祖の祭祀をするのは長男」となっていれば、祭祀財産全部を長男が受け継ぎます。また被相続人が慣習とは違った人、例えば長女を指定した場合は、長女が祭祀財産全部を受け継ぎます。どちらの場合でも祭祀財産は一人だけが受け継ぐので、祭祀財産は他の相続人と分け合うことが原則である「相続財産」とは言わないのです。

また原則として祭祀財産は相続税の課税対象にもなりません。

1. 墓地・墓石

先祖代々のものから、現代では「終活」として生前に墓地や墓石を購入する場合があります。これらは例え近年に購入したものでも、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき人が一人で承継します。そのため相続財産とは別扱いになります。相続税の課税対象にもなりません。

2. 仏壇・仏具・位牌

日常的に利用、礼拝している仏壇や、そこに使われている仏具類も、今後祖先の祭祀を主宰すべき人が一人で全部を承継します。そのため相続財産とはみなされません。ただし節税のためにと過度に装飾が施された仏壇や、純金で作られた仏具の場合には美術品や収集品としてみなされ、相続税の課税対象となる場合がありますので注意が必要です。

生命保険金は相続財産?

ここまでのように被相続人が「生前持っていた財産」には相続できるもの、そうでないものなど色々あることがわかりました。

では被相続人が「死亡したことによって生じる金銭」、たとえば生命保険金や在職中の死亡で支払われる死亡退職金、また葬儀でのお香典などは、相続財産になるのでしょうか?相続税の課税対象となるのでしょうか?

このような「被相続人の死亡によって生まれる金銭」について考える際に、大きなポイントが2つあります。1つ目は相続財産ではないのに相続税の課税対象となるものがあるという点です。2つ目はこのような金銭は相続人で分け合う「相続財産」とは別で、基本的に指定受取人が受け取るものである、という点です。2つ目については後述の「相続財産」と「みなし相続財産」の違いの囲みコラムにて詳述します。

さて基本的には、相続財産でないものは相続税の課税対象になりません。けれども被相続人の死亡によって生まれる金銭の一部には「相続財産ではないにもかかわらず相続税の課税対象になる」ものがあります。これはなぜでしょうか。

相続財産ではないのに相続税の課税対象になるという奇妙な現象は、同じ財産に対して二つの異なる法律が適用されるために起こります。まず民法。これにより相続財産とは何かが規定されています。けれども民法は相続税の課税対象については決めていません。これを規定しているのは相続税法なのです。

みなし相続財産とは

✓ 税理士監修 川上哲央(川上税務会計事務所)/更新日:2026年10月26日

民法上の相続財産ではないけれども、相続税法上では相続財産とみなして相続税の計算対象になる財産のことを「みなし相続財産」といいます。みなし相続財産の代表的なものは生命保険金等と死亡退職金等です(相続税法3条)。

被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金」や「退職金」などは、指定受取人が被相続人以外の場合には、本来の相続財産ではありません。しかし相続税法では、このような場合も金銭を相続したものとみなして相続税の課税対象とします。ただし「生命保険金」や「退職金」のうち一定金額までは非課税となります。

相続財産と相続税の課税対象の基本的な関係

相続財産である → 相続税の課税対象
相続財産でない → 相続税の課税対象でない

例外「みなし相続財産」

相続財産でないが「みなし相続財産」である → 相続税の課税対象

相続財産の規定と課税対象についての法的効力の関係

相続財産とは何か(民法) < 相続税の課税対象とは何か(相続税法)

分類 例 民法で規定した相続財産か 相続税法での課税対象となるか
相続財産 不動産、預貯金、債務 〇 〇
生命保険、死亡退職金、弔慰金の一部 〇 〇
相続財産にならないもの 「一身専属権」に入るもの、祭祀財産 × ×
生命保険、死亡退職金、弔慰金の一部 × △みなし相続財産として課税対象
お香典の全部 × ×

「相続財産」と「みなし相続財産」の違い

「相続財産」も「みなし相続財産」も結果的には同じように相続税の課税対象です。しかし「相続財産」は相続人によって分け合う財産です。一方で「みなし相続財産」は相続人が分け合う「相続財産」とは別に、被相続人から指定された受取人がうけとる財産、という違いがあります。被相続人が指定した受取人によっては、受取人は法定相続人(複数人の可能性が大)になることもあります。ただ法定相続人が受け取る場合でも財産の分け方が法定相続分に準じるとは限りません。被相続人が誰を受取人に指定したかにより、分け方が変わります。受取人の指定のしかたや保険約款によって、受け取る割合が変わることがあります。
相続人個人の単位で考えると、相続財産は相続人全体で分け合うものです。そしてみなし相続財産は被相続人からの指定により、自分が指定受取人の場合や、他の人が指定受取人の場合、指定のしかたや約款によって受け取る割合が異なる場合など、分け方もいろいろです。この分け方によって自分の相続額が変わり、相続税額も変わります。

「生命保険金」と「退職金」の非課税限度額

みなし相続財産のうち「生命保険金」と「退職金」については相続税法12条により、それぞれ一定額までが相続税非課税となります。その限度額の計算式は下の通りです。

非課税限度額=500万円×「法定相続人の数」
生命保険の場合、全ての相続人が受け取った保険金の合計額(A)が非課税限度額(B)を超えるとき、その超える部分(A-B=CのC部分)が相続税の課税対象になります。退職金についても同様です。なお、相続を放棄した人や相続人以外の人が受け取った保険金・退職金には、この非課税枠は使えません(「法定相続人の数」には放棄した人も含めて数えます。国税庁タックスアンサーNo.4114)。

相続税法上の「法定相続人の数」と民法上の「相続人の数」

相続税法上の「法定相続人の数」は民法で定められた「相続人の数」と下記の点で異なっています(相続税法15条2項)。

  1. 相続の放棄があった場合でも、その放棄が無かったとします。
  2. 被相続人に養子がいる場合には、「法定相続人の数」に入れる養子の人数が以下の通り制限されます。
    • 被相続人に実子がいる場合    1人
    • 被相続人に実子がいない場合   2人

    なおここでいう「実子」とは次の人も実子とみなします。

    • 特別養子縁組により養子となった人
    • 被相続人の配偶者の実子で、被相続人の養子となった人
    • 被相続人の配偶者の特別養子縁組による養子で、被相続人の養子になった人
    • 実子等の代襲相続人

    この相続税法上の「法定相続人の数」を基礎にしている規定は次のものがあります。

    • 生命保険金などの非課税限度額の計算(相続税法12―1-五イ)
    • 退職手当金などの非課税限度額の計算(相続税法12―1―六イ)
    • 遺産に係る基礎控除額の計算(相続税法15-1)
    • 相続税の総額の計算(相続税法16)

主なみなし相続財産

生命保険金

生命保険金の相続を考える時、以下の3つの関係者をまず抑えておきましょう。

  • 契約者=保険会社と契約して保険金を支払っている人
  • 被保険者=保険事故の対象となって保険をかけられている人
  • 受取人=保険金を受け取ることができる人

契約者と被保険者が被相続人の場合、受取人が誰であるかによって「みなし相続財産」となるかならないか判定します。またみなし相続財産の場合でも、受取人の指定によってどのような分け方をするかが決まります。

受取人 相続財産か、分け方は 相続税の課税対象になるか
被相続人自身(=被保険者) 〇 〇
指定なし × 保険約款の定めによります(多くの約款では、被保険者の法定相続人などが受取人になります) △受取人の固有の財産だが、みなし相続財産として相続税の対象
「相続人」のみ × 相続人が法定相続分に応じて分ける △受取人の固有の財産だが、みなし相続財産として相続税の対象
「法定相続人」 × 法定相続人が法定相続分に応じて分ける △受取人の固有の財産だか、みなし相続財産として相続税の対象
特定の指定相続人 × 特定の相続人のもの(相続税法3条一) △受取人の固有の財産だが、みなし相続財産として相続税の対象

生命保険の契約者と被保険者が被相続人で、指定受取人も被相続者自身の場合、この生命保険金は「相続財産」です。相続財産は相続の際に相続人が分け合う対象となります。

一方で受取人の指定がある場合には、生命保険金は受取人固有の財産となります。遺産相続の際に他の相続人と一緒に分け合う財産とはなりません。(相続税法3条一)。

なお被相続人が生命保険料の全額を負担していた場合には、受け取った保険金の全額が「みなし相続財産」となります。しかし被相続人が掛け金の一部を支払った場合には、以下の計算式で相続財産とみなされる額を計算します。

受け取った 保険金額  ×  被相続人が負担した保険料 被相続人の死亡時までに
払い込まれた保険金の全額

= 相続財産とみなされる金額

例:被相続人Aの死亡保険金として相続人であるCは保険金3,000万円をうけとった。
Aの死亡時までに払い込まれていた保険金の総額は240万円で、そのうち被相続人Aの支払額は180万円、相続人Bの支払額は60万円だった。 Cが相続により被相続人A受け取ったとみなされる財産は

3,000万円 × 180万円 240万円 = 3,000万円×3/4 = 2,250万円

残額の750万円はBからCへの贈与とみなされるので、別途贈与税の対象になります。
なお生命保険には非課税額が設定されています。

生命保険の非課税額計算式

500万円 × 相続税法上の「法定相続人の数」 =保険金の非課税限度額

<計算例>
全ての相続人が受け取った生命保険金額の全額<非課税額 → 保険金全体が非課税。
全ての相続人が受け取った生命保険金額の全額>非課税額 → 以下の計算式で各人の非課税額になる。

保険金の 非課税限度額  ×  その相続人が取得した
保険金の合計額
全ての相続人が取得した
保険金の合計額

= その相続人の非課税金額

なお生命保険契約では契約者(=保険金を支払っている人)が被相続人でない場合は、相続の対象にはなりません。

退職金など

退職金などには死亡したことによって生じる退職金や功労金が含まれ、死亡してから3年以内に支給が確定したものです。これも受取人の指定があるかどうかで相続財産になるかを判定します。

受取人 相続財産に該当するか 相続税の課税対象になるか
指定が無い場合 〇 〇
指定がある場合 × 特定の受取人のもの △みなし相続税財産として相続税の対象
退職金や功労金のうち、相続財産とみなされる範囲
  • 死亡後3年以内に支給額が確定したもの → みなし相続財産
  • 死亡後3年以内に支給額が確定しないもの  → 支給額が確定した時の一時所得

なお死亡退職金などは生命保険と同様に非課税額が設定されています。

退職金等の非課税額計算式

500万円 × 相続税法上の「法定相続人の数」 =退職手当金等の非課税限度額

弔慰金

弔慰金とは、国や企業などが事故や災害、業務などによって亡くなった方を弔い、遺族を慰める目的で贈る金銭のことです。弔慰金は被相続人が生前持っていた財産ではありませんので、相続財産ではありません。しかし弔慰金が高額になる場合は、死亡退職金と同様に相続財産ではないけれども相続税の対象となる、みなし相続財産と判断される可能性があります(相法3、相基通3-18から20)。

死亡の経緯 弔慰金の額 相続財産 相続税課税対象
業務上死亡した場合 死亡当時の普通給与の3年分に相当する金額以下 × ×
死亡当時の普通給与の3年分に相当する金額を超える部分 × △みなし相続財産として課税の対象
業務上死亡ではない場合 死亡当時の普通給与の半年分に相当する金額以下 × ×
死亡当時の普通給与の半年分に相当する金額を超える部分 × △みなし相続財産として課税の対象

生命保険契約に関する権利

相続開始の時までに保険事故が発生していない(=保険会社が保険金を支払うような事態が起きていない)生命保険契約で、被相続人が保険料を支払い契約者は被相続人以外の場合には、契約者は生命保険契約に関する権利のうち、被相続人が負担した保険料の額に対応する部分を、相続した、または遺贈されたとみなされます(相続税法3-1三)。

生命保険契約に関する権利
↓
まだ保険事故が発生していない契約で、被相続人が保険料を負担していたもの
↓
被相続人が保険契約者でない 被相続人が保険契約者である
↓ ↓
保険契約者の固有の財産だがみなし相続財産 本来の相続財産なので法定相続人が法定相続分に従ってまたは受遺者が相続する
↓ ↓
相続税の課税対象 相続税の課税対象

生命保険会社の個人年金など定期金に関する権利

生命保険会社の個人年金など、被相続人が掛け金を全部または一部を支払い、被相続人以外の人が受取人となって定期的に金銭を受け取る権利は、相続開始により受取人はその契約に関する権利のうち、被相続人が負担した掛け金の額に対応する部分を相続した、または遺贈されたとみなされます(相続税法3-1四)。これは相続開始したときにその定期金の給付が開始されていなくても、相続税が課税されます。

お香典は「相続財産」でも「みなし相続財産」でもない

お香典

葬儀の際に参列者からいただくお香典は、被相続人が生前所有していた財産ではありませんので相続財産ではありません。一般にお香典は参列者が葬儀費用の一部を負担していると考えられ、参列者から遺族への贈与と捉えられています。個人が社交上必要と考えられるお香典、また会社からのお香典ともに非課税です(相続税法基本通達21の3-10、所得税基本通達9-23)。そのためお香典は「みなし相続財産」でもなく相続税の対象にもなりません。

お香典は葬儀主催者が葬儀用費用として使い、仮に余った金額が生じた場合でもその後の利用方法は主催者に任されています。ただし相続財産でなく、相続税の対象にならないとはいえ贈与という扱いですので、社会通念をはるかに超えた高額なお香典の場合には贈与税の対象となる可能性があります。

相続税の計算で差し引けるもの・加算されるもの

借金などの債務と葬式費用は差し引ける

マイナスの相続財産である借入金や未払いの税金・医療費などは、相続税の計算で遺産の額から差し引けます(債務控除)。お通夜・告別式・火葬・納骨の費用やお寺へのお布施など、葬式にかかった費用も差し引けます。一方で、香典返しの費用、墓石や墓地の購入費、初七日や四十九日などの法会の費用は差し引けません(国税庁タックスアンサーNo.4126・No.4129)。なお、連帯保証人としての債務(保証債務)は、主たる債務者が返済できない状態にあるなどの場合を除き、原則として差し引けません。

亡くなる前の一定期間の贈与は加算される

相続や遺贈で財産を受け取った人が、亡くなった人から相続開始前の一定期間内に贈与を受けていた場合、その贈与財産は相続財産に加算して相続税を計算します。期間は、2026年12月31日までの相続開始では3年以内ですが、2024年1月1日以後の贈与から段階的に延び、2031年1月1日以後の相続開始では7年以内になります(延長された期間の贈与は合計100万円まで加算されません。国税庁タックスアンサーNo.4161)。

家族名義の預金(名義預金)に注意

子や孫の名義で積み立てていても、実際には亡くなった人のお金で、亡くなった人が通帳や印鑑を管理していたような預金は、亡くなった人の財産(相続財産)と判断されることがあります。贈与したつもりの預金がある場合は、贈与の記録が残っているか確認しておきましょう。

よくある質問

Q. 借金も相続財産になりますか?

なります。相続財産には、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。引き継ぎたくない場合は、原則として相続の開始を知った日から3か月以内に、相続放棄などの手続きをします。

Q. 生命保険金は相続財産ですか?

受取人が指定されている死亡保険金は受取人固有の財産で、遺産分割の対象にはなりません。ただし相続税では「みなし相続財産」として課税対象になり、相続人が受け取る場合は「500万円×法定相続人の数」までが非課税です。

Q. 香典は相続財産になりますか?

なりません。香典は喪主や遺族への贈り物と考えられ、社会通念上相当な金額であれば、相続税も贈与税もかかりません。

まとめ

相続財産を把握することと相続人を特定することが相続手続きの始まりとも言えます。目に見えやすい相続財産がある一方で、目に見えにくい相続財産もありますので、こちらに列挙した例を参考に「ある可能性も大きい」と思いながら調査をすることをおすすめします。

また相続財産にはプラスとマイナスがあり、二つが一体となって「相続財産」です。特にマイナスの財産は目に見えにくい場合が多く、また見つけたら相続財産の全体像が大きく変わります。相続税の申告にも影響しますので、注意して探しましょう。できれば被相続人の生前にどこにどんな財産があるのか、プラスもマイナスも含めて聞いておくとよいでしょう。

被相続人に聞くことができなかった場合には、相続人が探すしかありません。探す方法については以下の記事を参考にしてください。

こちらの記事もCHECK!

みなし相続財産はうっかりすると相続財産ではない、と思い込んでしまう可能性があります。確かに本来は相続財産ではないのですが、相続税の課税対象であることを忘れないようにしましょう。相続税の申告で記載漏れをすると「過少申告」とみなされペナルティが課される可能性がありますので注意しましょう。

出典:国税庁タックスアンサー「No.4108 相続税のかからない財産」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4108.htm)。墓所・仏壇・仏具などの扱いは個別の状況で変わることがあるため、迷う場合は税務署や税理士にご確認ください。
※2026年10月に、国税庁の公表情報にもとづいて、出典を追記しました。

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出典・参考資料

本記事の制度の説明は、以下の資料をもとにSOBANI編集部が確認・整理しました(各リンクの最終確認日:2026年10月26日)。

※相続財産の範囲や評価は、個別の事情によって異なります。実際の判断は、税務署または税理士にご確認ください。

監修
アイリス綜合行政書士事務所
行政書士・FP 田中真作
早稲田大学法学部卒業。行政書士・FP・宅地建物取引士。2003年行政書士登録。
相続や離婚などの一般市民法務相談や各種許認可業務など幅広く対応。
田中真作のFacebookページ https://www.facebook.com/shinsaku.tanaka.9

税理士監修

税理士 川上哲央

川上 哲央税理士(かわかみ てつお)

川上税務会計事務所(東京都渋谷区恵比寿)

東京税理士会 渋谷支部 登録番号 123253

監修範囲:この記事の税金に関する記述

※監修者は、この記事内の広告(Google AdSense・アフィリエイト広告など)の掲載には関与していません。

最終確認日(更新日):2026年10月26日

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、法律・税務・宗教上の判断を要する内容については、個別の事情により対応が異なる場合があります。具体的な手続きやご判断にあたっては、専門家(弁護士・行政書士・税理士・菩提寺など)にご確認・ご相談いただくことをおすすめします。

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Text by:SOBANI編集部
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