現在お葬式の形態は多様化しています。家族葬、直葬など、シンプルで費用を抑えたお葬式が好まれる一方で故人のこだわりや特別感を追究したお葬式も登場しています。今回は現代ならではの今までになかった個性的なお葬式の演出や、形態を紹介します。
自分らしい特別なお葬式に!こだわりの葬儀演出を紹介
1 生演奏の演出
お葬式の演出として人気が高いの生演奏。故人を大好きな音楽で見送ってあげたい。そうした気持ちは理解できますし、参列する方も音楽に癒されるのではないでしょうか。
お葬式に生演奏を取り入れるには選択肢は2つ。生演奏を取り入れたプランを用意している葬儀社に依頼するか、音楽事務所など演奏家の派遣を行っている業者に依頼するかです。葬儀社のプランの場合、生演奏以外の葬儀に必要なことも全て含んだ料金で見積もりが出ますし、打ち合わせの手間も軽減されます。一方音楽事務所などのほうは、楽器や演奏家の選択肢の幅が広いというメリットがあります。
因みに、「音楽葬」「生演奏による演出」が区別されている場合もあります。無宗教のお葬式として僧侶の読経の代わりに音楽を流すというのが音楽葬で、仏式やキリスト教式のお葬式に生演奏を取り入れるのが「生演奏による演出」といった分け方です。
いずれにしても、亡くなった直後からリサーチをはじめるのでは難しそうです。自分の、あるいは身内のお葬式で生演奏を取り入れたい場合は、あらかじめどんな選択肢があるかを知っておくことをおすすめします。実際の葬儀社や演奏家派遣のサービスをご紹介しておきます。
1-1 「イオンのお葬式」生演奏による演出
イオンでは仏式のお葬式だけではなく、お通夜、無宗教のお葬式も行っており、いずれも生演奏による演出を取り入れることは可能です。楽器はフルート、バイオリン、チェロなど好みで組み合わせられ、1日1名、約2時間で30,000円。1名追加ごとに20,000円プラスです。費用が明確でリーズナブルなので、取り入れても良いかなと思えます。
お葬式の最中に故人を偲んだ一曲をリクエストすることも、お別れの儀式の際に演奏することも可能。手軽に取り入れやすい内容となっています。
1-2 「日比谷花壇のお葬式」生演奏でおくる音楽葬プラン
日比谷花壇の場合、音楽葬は読経無しの無宗教のお葬式で推奨されています。楽器はバイオリン、チェロ、フルート、ピアノなどで、希望に合わせた曲を演奏してもらえます。演奏だけではなく、通夜の代金、料理の料金、火葬場利用料金など全てを含んで家族葬20名で1,246,936円。
1-3 「クライス音楽事務所」ご葬儀での生演奏
お葬式の生演奏として一般的なバイオリンやピアノだけではなく、様々な楽器の生演奏が依頼できます。ジャズトランペット、ジャズギター、ハワイアンソングや雅楽の演奏の実績も。特に思い入れのあるジャンルがある場合は事前に問合せておくのがおすすめです。
2 映像の演出
より現代的なのは映像を使った演出。事前に用意していた終活ムービーを流す演出もありますし、幻想的で華やかなシールスクリーンやプロジェクションマッピングの演出も。具体例を紹介します。
2-1 「イオンのお葬式」メモリアルDVD
結婚式での二人の馴れ初めを紹介する動画は定番化していますが、お葬式でも故人の言葉や思い出を動画として残し、お葬式で流す演出も行われています。周囲に改まって感謝の言葉を伝えることはなかなかないものですが、きちんとした形で自分の言葉を残せますし、遺族にとっても大きな慰めになりそうです。
費用は制作費とオリジナルパッケージ込みで34,000円。2作目からは2,900円です。
2-2 「WBCスタジオ」終活DVD
DVD制作を専門に扱っている会社であるWBC。サービスの大きな特徴はリーズナブルで、以下の3種類の製作方法より選べること。
1.写真のみ
写真25枚+エンドロール5枚+ラストメッセージがセット。写真を用意するだけでOK。1週間以内で製作可能で9,980円から。動画を撮るのは億劫という方、短期間で用意したい方におすすめ。
2.写真+動画
写真25枚+エンドロール5枚+動画メッセージがセット。動画は自分で撮影する必要があります。14日以内で製作可能で22,980円から。
3.写真+動画+撮影
質問形式の動画+写真25枚+エンドロール5枚+動画メッセージがセット。プロが撮影を行いますので打ち合わせ、出張料金が必要。制作日数も他のプランよりかかります。費用は62,980円から。
因みに、WBCスタジオのホームページには終活用動画の撮影のポイントが掲載されていますので自分で撮影される方はぜひ参考にしてください。
2-3 「演出家集団ミュー」シースルースクリーン演出
シースルースクリーンとは、透過型スクリーンともいい、映像を投影しながら後ろにある背景を見せることができる映像演出です。映像と背景をマッチさせることで幻想的に見せる効果があり、お葬式では祭壇を背景に百合や蓮の花などを映し出します。パッと目を惹き、とても印象に残る演出です。会場全体の雰囲気がこれだけで特別なものに感じられそうですね。
2-4 「大田葬祭」3Dプロジェクションマッピング祭壇
きれい華やかというだけではなく、大幅なコスト削減にもつながるという演出。なんと祭壇そのものをプロジェクションマッピングにしてしまうというもの。お葬式の費用の中で大きな割合をしめるお花を飾った祭壇の費用を削減できるとのこと。動画なので次々に代わる美しい風景や、故人の思い出写真をあでやかに演出することも可能です。
3 新しいお葬式のスタイル
祭壇があって、その前にずらりと参列者の席が粛々と並んでいてという、伝統的な日本のお葬式のスタイルを一新した以下のようなお葬式も出現しています。
3-1「メモリアルアートの大野屋」のリビング葬
お葬式の大切な人とのお別れの儀式という面を重視し、自宅で過ごすようにリラックスした状態でお葬式が行えるのが「メモリアルアートの大野屋」のリビング葬です。
家族葬のための専用式場であるフューネラルリビングを自宅と同じように使えるのが特徴で、近親者のみで一日過ごすことも、知り合いを大勢招くことも自由です。フューネラルリビングにはキンチンやダイニング、和室、レストルーム、テラスなどがあり、参列する方もゆったりくつろげる空間となっています。
3-2 弘善社 ビューイング葬
故人の入っているお棺を中心に据え、家族や参列者、会葬者がぐるりと囲む形で行うお葬式です。大きなポイントは、文字通りみんなが故人の顔を見ながらお葬式ができること。故人の最後の姿を目に焼きつけながら、囲むことで思い出に花が咲きそうです。それだけに、大勢が参列する場合は不向きだとは思いますが、少人数の場合は良いかもしれません。
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お葬式の“演出”自体賛否両論あり、そんなものは必要ない、無駄と考える方もいます。しかし、最早お葬式は“こうでなければ”という形はないのかもしれません。そのお葬式に家族が満足できればそれだけでも遺族にとっては大きな慰めになるでしょう。そう考えると、たくさんの選択肢があること良いことと言えます。