家族が亡くなったらやらなければならないことは、通夜と葬儀・告別式だけではありません。葬儀後の初七日法要から始まり、香典返し、四十九日法要、一周忌法要と続きます。また必要な場合には、仏壇やお墓探し、様々な公的な手続きや遺産相続、形見分けや遺品整理などなど、こなさなければならないことが多くあります。それらの一つ一つを自分で調べて決めて、滞りなく行うのは大変なことです。葬儀会社では通夜・葬儀だけではなく、そのような葬儀後の供養や手続き、お金に関することまでアフターサポートとして請け負っています。家族のみでは対応しきれない方やアドバイスがほしい方は、どんなアフターサポートがあるのか、葬儀会社選びの際に併せてチェックしておくのがおすすめです。葬儀会社が実際に行っているアフターサポートの内容や、アフターサポートを含めた葬儀会社の選び方をご紹介します。
賢く利用したい!葬儀会社のアフターサポートあれこれ
1. 法要の手配
地域によっても異なりますが、四十九日の法要にあわせて納骨を行うことが多く一般的に重要な法要です。四十九日法要は、故人が亡くなってから四十九日後(忌明け)を目安に行います。これは仏教では、故人は四十九日を迎えると成仏すると考えられているからです。遺族だけではなく、親族や友人、知人など比較的広い範囲の人が参列することが多くなっています。そのため、僧侶へのおつとめの依頼はもちろん、会場選びや会食の準備、引き出物選びなど準備に大変手間がかかります。葬儀会社では自社の葬儀会館で行う法要の準備や、法要を行う場所の紹介などを請け負っています。
株式会社ティア
全国に124店舗を展開し(2020年6月時点)、葬儀後の困りごとにも専門スタッフが手厚くサポートしてくれる「TERAティア」。ティアの自社葬儀会館での法要を提案しており、参列者への案内や会食、引き出物やお供えなど必要なものすべてについて対応してくれます(自宅や寺院での法要の対応も可能です)。忙しい方や法要の手配が不慣れな方にとって便利なサービスといえます。
株式会社家族葬
寺院の檀家にならずに法要をしたいという方におすすめなのが「株式会社家族葬」。すべての法事・法要ごとにその都度寺院を紹介してくれます。四十九日の法要の費用は35,000円~。役所関係の諸手続き、葬儀後の手続きのアドバイス、位牌、仏壇、墓地や墓石の紹介、海洋散骨などトータルサポートを行っています。
2. 仏壇・位牌・仏具の購入
仏壇や位牌、仏具を購入しようとしても、どんなものが必要で、どんな素材のものを選んでいいか迷うこともあります。たとえば本位牌は、四十九日の法要までに準備します。一般的に四十九日法要の際に魂入れを行う(位牌開眼)ことが多いからです。本位牌には亡くなった方の戒名や命日などを彫るので、多くの場合注文してから手元に届くのに10日~14日、2週間程度はかかると思っておいた方がよいでしょう。ぎりぎりになって注文しては四十九日法要に間に合いません。葬儀社の知識のあるスタッフに相談にのってもらえるのは安心でしょう。葬儀社では、以下のようにさまざまな形で仏壇や位牌、仏具選びについてのサポートを行っています。
さがみ典礼
さがみ典礼は仏壇や仏具の販売も自社で行っており、各地にギャラリーもあります。葬儀と合わせてスムーズに仏具についての相談もできるので遺族にかかる負担は軽減されるでしょう。仏壇や位牌、仏具の種類も豊富でさまざまな方のニーズにぴったり合ったものが見つかりそうです。
イオンのお葬式
イオンのお葬式では全国に広がるネットワークを活かして、法要の手配、お墓や仏具の購入、遺品整理や相続相談、海洋散骨や永代供養などの供養の相談までアフターサポートとして行っています。本位牌は漆塗り、黒檀、紫檀と3種類、3サイズの位牌を購入することができます。価格が明確で、送料がかからないため、手軽に確実に準備したい方にはおすすめです。
3. 各種手続きや相続の相談・紹介
年金や生命保険、住宅ローンなどのお金の手続きや相続の手順など、葬儀社が葬儀後でも相談にのってくれる場合があります。葬儀社によっては無料で何度も相談ができたり、法律の専門家に紹介してくれたりすることもあるので、不安のある方はそうした事後手続きの面でサポートが手厚い葬儀社がおすすめです。
家族葬のファミーユ
家族葬のファミーユでは、香典返しや遺品整理、法要準備や仏壇・位牌、墓地の購入などトータルサポートを行っています。通夜・葬儀をこちらで行った場合は、保険や税金など亡くなった後の手続きのなかでも優先度の高いものやその期限を案内した上で、代行で手続きしてもらうことも可能です。
葬儀会社セレモニー
年金や生命保険、医療費控除など各種手続きの方法を案内しています。また、特に相続関係は専門家に相談、依頼することも多い分野です。葬儀会社セレモニーでは、例えば遺産分割協議書や相続放棄の手続き遺産の評価額や相続税の控除など、専門家でなくては難しい相続に必要な手続きの相談に応じています。一般的な手順のアドバイスを行った上で、法律の専門家の紹介も可能です。特に生前準備をしていなかった際は頼りになるでしょう。
4. お墓や散骨の相談・紹介
墓石の購入や墓所納骨堂の紹介、散骨の手配などをおこなっている葬儀社もあります。納骨先が決まっていない、どんな供養の方法があるのか分からないのであれば、故人の希望や家族の意向に合わせてプロに相談してみるのも一つの手です。
博全社
博全社は千葉市の葬儀社でトータルサポートをモットーとしています。法要の準備や遺品整理、仏壇や仏具の相談はもちろん、住み替えなど住まいの相談やハワイでの海洋散骨の紹介まで行っています。提携先の地元の納骨堂や霊園への紹介、墓石建立やリフォーム、耐震工事の相談にものってくれます。
平安祭典
平安祭典では、法要の手配や霊園の紹介や供養についての相談など、さまざまなアフターフォローを行っています。最近では、散骨を希望される方も多いですが、実際にどこでどのように散骨すればいいのか分からないというご遺族も多いでしょう。平安祭典では、明石海峡大橋を望む海域周辺での散骨を案内しており、希望があれば家族に代わってスタッフが散骨を行うことも可能です。
5. 形見分け、遺品整理
故人が大切にしていたものや思い出の品を親族や友人に分ける形見分けや、不用品を処分する遺品整理を行う専門業者は多数あります。しかし、自分で一から専門業者を探すよりもこちらの事情を十分把握した上で作業をしてもらえるという点で、葬儀社から紹介してもらうのは安心でしょう。
のいり
愛知県一宮市の葬儀会社。香典返しや法要、仏壇、お墓の準備などのサポートや遺品整理、故人が愛用していた思い出の品などを供養(遺品供養)してくれます。合同供養した上で、希望すると供養証を発行してくれる丁寧なサポートです。
家族葬のアウラ
群馬県高崎市で展開する葬儀会社「家族葬のアウラ」。遺品整理や片付け、リフォームや相続問題など「遺族の再スタートに向けたコンサルティング&サポートサービス エンゼルセンター」の専門のスタッフがサポートしてくれます。日用品から家具、居室や家の解体まで、処分、整理しなくてはならないものが多い場合におすすめです。
6. グリーフケア
大切な家族を亡くした後、忙しい日々が続きつつも、大きな喪失感や悲しみにさいなまれる方も少なくありません。葬儀社によっては、そのような遺族の心のケアもアフターサポートとして行っている場合もあります。
メモリードのお葬式
メモリードのお葬式では、アフターサポートとして仏壇の手配やお墓の紹介、樹木葬や手元供養なども行っています。また、遺族に癒しや健康、交流の場を設けて、グリーフケアの資格を取得した専門スタッフによるケアもあります。相談用のフリーダイヤルもあります。
平安祭典
「4. お墓や散骨の相談・紹介」でも取り上げた平安祭典では、「遺族の癒しの場所」として同じ境遇の方が集まるなごみの会を定期的に開催しています。話をする会だけではなく、ブリザードフラワーを作る会やバス旅行も行っており、悲しみを癒すための「楽しみ」を提供しています。
7. その他のアフターサポート
葬儀会社はこのような仏壇や位牌、お墓選びや購入、各種手続きのアドバイスや代行、遺品整理などの他にも以下のようなアフターサポートを用意して、他社よりも手厚いサービスで新しいビジネスチャンスにつなげています。
身元保証
入院や福祉施設に入居したくても身内がいない、または近くにいない方のために、身元保証人を引き受けるサービスを行っています。配偶者が亡くなったタイミングで必要になる方も多いので、万が一に備えて葬儀会社にこのようなサービスがあることを覚えておくといいかもしれません。
有料老人ホーム紹介
多くの葬儀社が有料老人ホームの紹介を行っています。こちらも配偶者が亡くなって入居を希望する方が多くなっています。
葬儀保険紹介
自分自身が亡くなった際に葬儀の費用が支払われる「葬儀保険」を葬儀社で案内します。家族の葬儀を経て、自分に葬儀保険加入の必要があると感じる方が多いのかもしれません。
8. 葬儀会社のアフターサポートを選ぶ際のポイント
以上のように、多くの葬儀会社が現在アフターサポートに力を入れていることがお分かりいただけたと思います。葬儀会社の本業はもちろん通夜と告別式・葬儀ですが、その後にもさまざまなサポートが必要になることがあります。葬儀社を選ぶ際には、通夜・葬儀とともにアフターサポートの充実度や、自分が必要とするサポートについても併せてチェックしておきましょう。アフターサポートで葬儀社を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
1. アフターサポートの利用期限を確認
通夜・葬儀後、どのくらいまでの期間であれば相談や紹介を受けられるかのかが大切です。無期限でサポートを受けられるのか、通夜・葬儀の後の数か月間、数年間のみ利用できるのか、利用条件を確認しておきましょう。
2. アフターサポートの専門スタッフがいる
アフターサポートの内容は、葬儀以外の専門知識が必要であることが多いです。特に法律関係のことは専門家に相談できると安心です。
3. お墓や仏具の購入は選択肢があること
「こういったものが必要です」とアドバイスしてもらえるのはいいことですが、選択肢があまりなかったり、高いものばかりを勧められたりした場合は、無理にその中から選ぶ必要はないでしょう。できれば事前に購入するものの価格の相場は踏まえておくようにしてください。
葬儀会社のアフターサポートは上手に活用
以前は葬儀会社とは、通夜と告別式・葬儀だけの付き合いで、その後は関わりがないという印象がありましたが、現在ではさまざまなアフターサポートが展開されています。それだけ多くの人が「葬儀後」に手助けが必要になっているということもあるでしょう。しかしアフターサポートだからこそ、どこまで葬儀会社が親身に対応してくれるのか。それを葬儀会社に通夜・葬儀の見積もりしてもらう段階で見極めるのは難しいことですが、大切な判断材料の一つでもあります。通夜・葬儀のことだけではなく、アフターサポートについても詳しく質問して確認しておくといいかもしれません。最後まで本当の意味で寄り添ってもらえるのかどうか、葬儀会社の姿勢が見えるのではないでしょうか。