法事に着用すべき服装は、法要の種類でも違いますし、遺族か、参列者かでも違います。遺族は葬儀、四十九日法要、一周忌法要、と一周忌までは喪服を着用し、三回忌以降は黒やグレーのスーツなど平服へと簡略化していきます。男性、女性、子ども、それぞれに、ポイントをまとめました。
葬儀、法事における遺族の喪服・服装
1. 法要における遺族の服装とポイント
法要における服装は、遺族と一般参列者で異なります。遺族は四十九日法要や一周忌法要など一周忌までは原則喪服を着用し、三回忌以降は黒やグレーのスーツなど簡略化していくのが一般的なマナーとなっています。
基本的な考え方として、毛皮やクロコなど「殺生」を連想させるものや光沢や装飾が派手なものは避け、必要以上に肌を露出させないように気をつけましょう。また、遺族は参列者よりカジュアルにならないようにします。遺族が平服(つまり三回忌などにおける略礼服)で法要を行う場合は案内状に「平服でお越しください」と書き添えるようにします。
※遺族とは
「遺族」とは婚姻状況や家族によって変わってきますが、親、きょうだい、配偶者、子ども、祖父母をさします。
2. 葬儀から一周忌までの服装(喪服)
葬儀~一周忌までは遺族は基本的に喪服を着ます。喪服はデパートやスーツ専門店、フォーマルウェア店、ネットショップ等で購入することができますがレンタルもあります。
2-1. 女性洋装
一般的な喪服にあたるブラックフォーマルスーツ(準喪服)を着用します。ただし、故人の配偶者や娘など近親者はブラックフォーマルドレス(正喪服、ブラックフォーマルスーツよりロング丈のもの)になります。女性の場合、和装が正式というイメージがありますが本来和洋で格の違いはありません。
かたち・色:黒無地のワンピースやアンサンブル、スーツ。ブラウスを着る場合も黒。スカートの丈は正座した時に膝が隠れるくらい~くるぶし丈。袖丈は夏でも長袖か肘が隠れるくらいのもの。
素材:光沢のないもの。
足元:黒のストッキング(柄やラメのない無地のもの)、黒パンプス(光沢や装飾のないもの)。
バッグ:装飾や光沢のないもの。できれば布製。なければ革製でも。
アクセサリー:基本的に結婚指輪のみ。アクセサリーとつけるとしたら一連のパールネックレス。
一般的なブラックフォーマルスーツ(準喪服)
ブラックフォーマルドレス(正喪服)
2-2. 女性和装
故人の配偶者や娘など近親者が葬儀や四十九日法要、一周忌法要などで着用します。家紋は実家あるいは婚家のものになります。
着物:黒無地染め抜き五つ紋付きに黒帯。羽織は着ません。
素材:羽二重か一越ちりめん、夏は絽。
小物:草履、帯締め、帯揚げ、バッグはすべて黒。
下着類:半襟、足袋、襦袢はすべて白。
2-3. 男性
現在では遺族から一般参列者まで多くの男性が喪服を着ます。喪服(ブラックフォーマルスーツ)と普通の黒のビジネススーツはまったくの別物で、普通のスーツより濃い黒で光沢やツヤがない素材でできています。喪服として一着準備をしておきましょう。
かたち:ブラックフォーマルスーツ、シングル・ダブルいずれも可。
ネクタイ:黒。ネクタイピン、ポケットチーフはしない。
ワイシャツ:白
足元:黒の靴下、黒の靴。
3. 三回忌以降の服装(略礼服)
三回忌以降は喪服ではなく、喪服ではない黒や紺、グレーなどの服装とし、簡略化していきます。「平服でおこしください」というときの「平服」はふだんのようなカジュアルな服装という意味ではなく、「略礼服」をさしており、以下のような服装になります。
3-1. 女性洋装
三回忌以降、遺族の女性はグレーや紺、ブラックなどのダークスーツ(略礼服)を着用します。ストッキングは黒ではなく肌色でもかまいません。また喪服と異なり中に着るシャツは白でもOKです。パンツスーツも○。
かたち・色:ダークカラー(グレーや紺、ブラックなど)スーツやアンサンブル、ワンピース、パンツスーツ。上下同素材だとよい。
靴やバッグ:黒やグレー、ネイビーなど色味が濃い目で装飾が派手でないもの。
3-2. 女性和装
渋い色味のものを選び、亀や鶴、吉祥などおめでたい地紋は避けます。
着物:色無地一つ紋か三つ紋、黒帯。小紋の着物に一つ紋付きの黒の羽織も着られます。
小物:帯締め、帯揚げは黒、草履やハンドバックは布製の黒。
下着類:半襟・長襦袢、足袋は白。
3-3. 男性
ダークスーツを着用します。一般的なビジネススーツでかまいません。
かたち・色:ダークグレー、濃紺など濃い色。無地で光沢のないもの。ジャケットはシングルでもダブルでもかまいません。
ネクタイ:黒無地か黒の織り柄。グレーやネイビーなどのダークカラー。
ワイシャツ:レギュラーカラーの白無地。
足元:黒の靴下、黒の靴。
4. 学生・子どもの服装
子どもや学生については通夜、葬儀、法要(回忌に関わらず)、いずれの機会にも服装のルールは同じです。制服がある場合には制服を着用します。制服がない場合は、黒や紺、グレーなどの洋服でまとめます。地味できちんとした印象を与え、清潔感があれば、通夜や葬儀においても黒でなくてもかまいません。
かたち・色:
(女の子)ブレザーやジャケットとスカート。ワンピースも○
(男の子)ブレザーやジャケット、ベスト、ズボン、白いシャツなど。
靴;黒の靴。なければ白、紺、黒、グレーなどのスニーカー。エナメルの光沢のある靴は避けましょう。
靴下:白、黒、紺、グレーなど。
5. その他の持ち物
数珠、白ハンカチ、場合によって傘(黒、紺など地味な色味のものか透明のビニール傘)、を用意しましょう。冬場であればコートも黒(三周忌以降はグレーなどでも可)を着用します。