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この記事の結論:相続税の申告が必要になるのは、遺産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるときで、期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。申告は相続人が自分で行うこともできますが、土地や非上場株式がある、特例を使う、相続人が多いといった場合は、税理士への依頼を検討するのが現実的です。税理士報酬には公的な基準がないため、見積もりの内訳と業務の範囲を2〜3か所で比べて選びましょう。
相続税の申告は、多くの人にとって一生に何度も経験しない手続きです。「自分で申告できるのか」「税理士に頼むといくらかかるのか」「どこに頼めばよいのか」と迷う方に向けて、申告が必要かどうかの確かめ方、自分で申告できるケースと税理士に頼んだほうがよいケース、税理士費用の決まり方と見積もりの見方、依頼先の選び方、10か月の期限から逆算したスケジュールを、国税庁などの公的な情報をもとに整理します。
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相続税の申告は必要?まず「基礎控除」と「10か月」の期限を確認
✓ 税理士監修 川上哲央(川上税務会計事務所)/更新日:2026年11月1日
相続税の申告が必要になるのは、亡くなった方から受け継いだ財産の合計(借入金や葬式費用などを差し引き、一定の贈与財産を加えた額)が「基礎控除額」を超える場合です。基礎控除額の範囲内であれば、申告も納税も原則として不要です。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。相続を放棄した人がいても、放棄がなかったものとして数えます。養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までが数に入ります。
法定相続人の数と基礎控除額
| 法定相続人の数 |
基礎控除額 |
| 1人 |
3,600万円 |
| 2人 |
4,200万円 |
| 3人 |
4,800万円 |
| 4人 |
5,400万円 |
国税庁の発表では、2024年(令和6年)に亡くなった方は約160.5万人、そのうち相続税の申告書が提出された方は約16.7万人で、課税割合は10.4%でした。申告した方1人当たりの課税価格は約1億4,025万円です。おおむね10人に1人の相続で申告が必要になっている計算で、都市部に自宅の土地がある場合などは、思ったより早く基礎控除を超えることがあります。
申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内です。提出先は、相続人の住所地ではなく、亡くなった方の住所地を所轄する税務署です。期限までに納めないと、延滞税がかかる場合があります。
なお、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、申告書に適用を受ける旨を書き、遺産分割協議書の写しなどを添えて受ける仕組みです。特例を使うことで納める税額がゼロになる見込みでも、申告書の提出が必要になることがあるため、「税金がかからないはず」と思っても一度確認しておきましょう。何が課税の対象になるかは相続税の課税対象になるもの・ならないもの、税額の計算の流れは相続税の計算方法を5ステップで解説で詳しく紹介しています。
相続税の申告は自分でできる?税理士に頼んだほうがよいケース
相続税の申告は、相続人が自分で行うこともでき、税理士への依頼は義務ではありません。ただし、財産の評価や特例の判断で迷う点が多いほど、申告の誤りや手間が増えるため、税理士に頼むかどうかは「財産の中身」と「相続人の状況」で考えるのが目安です。
自分で進めやすいケースと、税理士への相談を考えたいケース
| 確認したいこと |
自分で進めやすい |
税理士への相談を考えたい |
| 財産の種類 |
預貯金・上場株式が中心で、残高が分かりやすい |
土地(特に複数・貸している土地・形がいびつな土地)、非上場株式、事業用の財産がある |
| 特例の利用 |
特例を使わなくても計算がシンプル |
小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使う |
| 相続人の状況 |
相続人が少なく、分け方がすぐ決まる |
相続人が多い・遠方に住んでいる・分け方の話し合いが長引きそう |
| 生前の贈与 |
目立った生前贈与がない |
亡くなる前の数年間に贈与があった、名義預金の心当たりがある |
| 時間 |
平日に役所・金融機関へ行く時間がとれる |
仕事や介護で書類集めに時間を割けない |
注意したいのは、相続税の申告書の作成や、税額の計算についての相談を「仕事として」引き受けられるのは、原則として税理士(税理士法人)だけだという点です。税理士法第52条で、税理士でない者が税理士業務を行うことは禁じられており、国税庁の解説では、報酬を受け取らない場合でも反復継続して行えば対象になるとされています(弁護士など法律で認められた例外を除く)。戸籍の収集や遺産分割協議書の作成は行政書士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士が担うことが多く、申告書は税理士、と役割が分かれていると考えると分かりやすいでしょう。
相続税申告の税理士費用はいくら?報酬の決まり方と見積もりの見方
相続税申告の税理士報酬には、全国一律の公的な基準はなく、事務所ごとに決められています。2002年(平成14年)4月の税理士法の改正で、税理士会の会則から報酬の最高限度額の規定が削除され、報酬は自由に定められるようになりました。
多くの事務所では、遺産の総額に応じた「基本報酬」に、土地の数や相続人の数などに応じた「加算報酬」を足す形をとっています。相場として「遺産総額の0.5〜1%程度」と紹介されることがありますが、公的な統計があるわけではなく、財産の内容や依頼する範囲で大きく変わります。金額だけで比べず、何がどこまで含まれているかを見積もりで確かめることが大切です。
見積もりで確認したい項目
| 項目 |
確認すること |
| 基本報酬の決まり方 |
遺産総額のどの金額を基準にするか(借入金などを差し引く前か後か)、定額か |
| 加算報酬の条件 |
土地の数、相続人の数、非上場株式の評価、申告期限までの残り期間などで、いくら加算されるか |
| 含まれる業務 |
財産の評価、遺産分割協議書の作成、戸籍や残高証明書の取得代行、相続登記の手配が含まれるか |
| 実費 |
戸籍謄本・登記事項証明書・評価証明書などの取得費や交通費が別にかかるか |
| 申告後の対応 |
税務調査になったときの立ち会いや、修正が必要になったときの費用 |
| 支払いの時期 |
着手金の有無と金額、残りを支払う時期 |
見積もりは、財産の一覧(預貯金・不動産・保険・株式など)と相続人の人数を伝えると、より正確になります。同じ条件で2〜3か所から取り、上の表の項目をそろえて比べると、報酬の差がどこから来ているかが分かりやすくなります。
相続税申告の依頼先は3タイプ|税理士事務所と一括代行サービスの違い
相続税の申告を頼む先は、大きく「地域の税理士事務所」「相続を専門に扱う税理士法人」「書類集めから申告・名義変更までまとめて引き受けるサービス」の3つに分けられます。どれが正解というより、財産の中身と、自分で動ける時間の多さで選ぶのが現実的です。
依頼先のタイプと向いている人
| 依頼先 |
向いている人 |
確認したいこと |
| 地域の税理士事務所 |
亡くなった方の確定申告などで付き合いがある、近くで対面の相談をしたい |
相続税申告の取扱い件数(所得税や法人税が中心の事務所もある) |
| 相続を専門に扱う税理士法人 |
土地が多い、評価が難しい財産がある、税務調査が心配 |
担当者が誰か、報酬の加算の条件、拠点から遠い場合の面談方法 |
| 書類集めから申告までまとめて引き受けるサービス |
平日に役所や金融機関へ行けない、相続人が高齢・遠方で手続きの負担を減らしたい |
対応エリア、基本料金に含まれる業務、司法書士・弁護士との連携の範囲 |
まとめて引き受けるサービスは、戸籍や残高証明書の取得といった書類集めの手間まで任せられる分、料金は申告だけを頼む場合より高めになることがあります。逆に、書類を自分で集められる方は、申告書の作成を中心に税理士へ頼むことで費用を抑えられる場合があります。
例:書類集めから申告までまとめて任せられる「相続アシスト」
「相続アシスト」は、税理士法人SWATSとSWATS法律事務所が運営する相続サポートです(運営:SWATS Consulting Group)。公式サイトによると、戸籍や残高証明書の収集などを代行し、基本プラン(68万円〜・税込)で財産目録の作成、遺産分割協議書の作成、相続税申告に対応します。司法書士と連携して相続登記まで進めることもできます。
対象は東京・神奈川・大阪・京都・兵庫の案件で、面談は東京・大阪・神戸のオフィスか、オンラインで受けられます。まず電話かWebフォームで無料相談(電話またはオンライン、15分程度)を予約し、手続き面談でサービス内容と料金の説明を受けてから、契約するかどうかを決める流れです(2026年10月31日時点の公式サイトの記載)。
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東京・神奈川・大阪・京都・兵庫の相続が対象です。電話またはオンラインの無料相談(15分程度)で、相続の概要と今後の流れを聞くことができます。料金やサービス内容は、その後の手続き面談で説明を受けてから決められます。
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相続税に強い税理士の選び方|相談で確認したい7つのポイント
税理士を選ぶときは、報酬の安さよりも「相続税申告に慣れているか」と「見積もりと進め方の説明が分かりやすいか」を重視しましょう。税理士は所得税・法人税など幅広い税目を扱うため、相続税の申告を日常的に扱っているかどうかは事務所によって差があります。初回の相談で、次の点を確認しておくと安心です。
税理士に相談するときのチェックリスト
| ポイント |
確認の仕方 |
| 1. 相続税申告の経験 |
年間の取扱い件数や、土地・非上場株式など似た財産の事例があるかを聞く |
| 2. 税理士として登録されているか |
日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で、氏名・事務所名を確認できる |
| 3. 見積もりの内訳 |
基本報酬・加算報酬・実費が分かれているか、追加料金がかかる条件が書かれているか |
| 4. 担当者と連絡方法 |
実際に担当するのは誰か、連絡は電話・メール・オンラインのどれでできるか |
| 5. 期限までのスケジュール |
いつまでに何の書類を渡せばよいか、申告書の確認はいつになるかを示してくれるか |
| 6. 分け方と二次相続の説明 |
特例の使い方や、配偶者が次に亡くなったときの税金も含めて説明してくれるか |
| 7. 申告後の対応 |
税務署から問い合わせや調査があったときに対応してくれるか、その費用はどうなるか |
相続人どうしで分け方の話がまとまらない場合、税理士は税金の面から分け方ごとの違いを説明することはできますが、相続人の間の争いを代理して交渉するのは弁護士の仕事です。争いになりそうなときは、弁護士への相談もあわせて考えましょう。
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相続税申告までの流れとスケジュール|10か月を逆算する
相続税の申告期限の10か月は、四十九日や相続放棄の判断、亡くなった方の確定申告(準確定申告)などと重なるため、思ったより短く感じられます。税理士に頼む場合も、財産の調査と遺産分割の話し合いに時間がかかるため、相談は早めに始めるのが安心です。
亡くなってから相続税の申告までの主な期限
| 時期の目安 |
主な手続き |
| 7日以内 |
死亡届の提出(火葬許可の申請とあわせて行うのが一般的) |
| 3か月以内 |
相続放棄・限定承認をするかの判断(家庭裁判所への申述は、相続の開始を知ったときから3か月以内) |
| 4か月以内 |
亡くなった方の所得税の準確定申告(相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内) |
| 〜10か月 |
財産と債務の調査・評価、遺産分割協議、申告書の作成 |
| 10か月以内 |
相続税の申告と納税(亡くなった方の住所地を所轄する税務署へ) |
遺産の分け方が申告期限までにまとまらない場合でも、申告と納税は期限までに行う必要があります。その場合は、法定相続分(民法の相続分)で財産を取得したものとして申告・納税し、この時点では小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は使えません。申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えておけば、原則として期限から3年以内に分割が決まったときに、更正の請求などで特例を受けられる仕組みがあります。手続きの全体像は相続手続きの流れと期限一覧、4か月以内の申告は亡くなった人の確定申告(準確定申告)、自宅の土地の評価を下げる特例は小規模宅地等の特例とは?で詳しく紹介しています。
よくある質問
Q. 相続税がかからない場合も、申告は必要ですか?
遺産の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、申告も納税も原則として不要です。ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合は、申告書の提出が必要になることがあります。迷ったら、税務署か税理士に確認しましょう。
Q. 税理士にはいつまでに相談すればよいですか?
期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内ですが、財産の調査と遺産分割の話し合いに数か月かかることが多いため、四十九日を過ぎて落ち着いたころまでに相談を始めると余裕があります。期限が迫ってからの依頼は、引き受けてもらえる事務所が限られたり、加算報酬がかかったりすることがあります。
Q. 税理士以外の業者に、申告書の作成だけを頼めますか?
相続税の申告書の作成や税額の相談を仕事として引き受けられるのは、原則として税理士(税理士法人)と、法律で認められた弁護士などに限られます。税理士でない業者が申告書の作成まで引き受けると言う場合は、税理士が実際に担当するのかを確認しましょう。依頼する税理士の登録は、日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で調べられます。
Q. 遠方に住んでいても、税理士に依頼できますか?
依頼できます。オンライン面談や郵送でのやり取りに対応している事務所も増えています。ただし、申告書の提出先は亡くなった方の住所地の税務署で、土地の評価では現地の確認が必要になることもあるため、遠方の不動産がある場合は、その地域の土地の評価に対応できるかを確認しておくと安心です。
Q. 相続税の申告費用を抑える方法はありますか?
戸籍謄本や預貯金の残高証明書など、自分で集められる書類を先にそろえておくと、代行の費用や作業の時間を減らせることがあります。財産の一覧を作ってから2〜3か所で見積もりを取り、基本報酬・加算報酬・実費を同じ条件で比べましょう。安さだけで選ぶと、特例の使い方などで結果的に税額が変わることもあるため、説明の分かりやすさもあわせて判断することが大切です。
まとめ
- 相続税の申告が必要なのは、遺産の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるとき。期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
- 申告は自分でもできますが、土地や非上場株式がある、特例を使う、相続人が多いといった場合は、税理士への依頼を検討しましょう。
- 税理士報酬に公的な基準はありません。基本報酬・加算報酬・実費・含まれる業務を、2〜3か所の見積もりで比べるのが基本です。
- 依頼先は、地域の税理士事務所・相続専門の税理士法人・書類集めからまとめて引き受けるサービスの3タイプ。財産の中身と、自分で動ける時間で選びます。
- 税理士の登録は「税理士情報検索サイト」で確認でき、相談は財産の調査や遺産分割の時間も考えて、早めに始めるのが安心です。
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出典・参考資料
本記事で使用した数字・事実の出典です(最終確認日:2026年10月31日)。
※表は上記の資料をもとにSOBANI編集部で整理しました。税理士報酬は事務所ごとに異なり、記事中の相場の幅は一般的な紹介例で、公的な統計ではありません。税制や各サービスの料金・対象エリアは変わることがあるため、最新の情報は国税庁・各公式サイトでご確認ください。
税理士監修
川上 哲央税理士(かわかみ てつお)
川上税務会計事務所(東京都渋谷区恵比寿)
東京税理士会 渋谷支部 登録番号 123253
監修範囲:この記事の税金に関する記述
※監修者は、この記事内の広告(Google AdSense・アフィリエイト広告など)の掲載には関与していません。
最終確認日(更新日):2026年11月1日
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、法律・税務・宗教上の判断を要する内容については、個別の事情により対応が異なる場合があります。具体的な手続きやご判断にあたっては、専門家(弁護士・行政書士・税理士・菩提寺など)にご確認・ご相談いただくことをおすすめします。
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