小規模宅地等の特例とは?自宅の土地の相続税評価額が80%減る要件と計算例

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【税理士監修】この記事の税金に関する記述は、税理士 川上哲央(川上税務会計事務所) が監修しています。
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  1. 土地に関わる相続税の特例
  2. 小規模宅地等の特例
  3. 自宅の土地(特定居住用宅地等)は「誰が取得するか」で要件が変わる
  4. 事業用・貸付用の土地の主な要件
  5. 減額される金額の計算例
  6. 特例を使うための手続きと、使えない主なケース
  7. よくある質問

土地に関わる相続税の特例

土地に対しては、相続人などの生活基盤となることなどの理由で、相続税の課税価格を計算する際に以下のような特例があります。

  1. 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法69-4)
  2. 特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法69-5)

1.の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下、小規模宅地等の特例)とは、財産を残した人の住宅や事業用の宅地が対象です。これらの宅地は相続、または受贈した人にとって生活の基盤などになることが多いと考えられます。そのため一定の要件を満たす宅地はそのままの価格ではなく、減額してから相続税の課税対象価格とします。

2.の特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例(以下、特定山林の特例)とは、林業の継続を支援するためのものです。一定の森林経営計画の対象である山林については、財産の価格の一定割合を減額し課税を軽減します。

原則として、この2つの特例は併用できません。どちらか1つを納税者が選択します。ただし、小規模宅地等の特例を選んだ宅地等の面積が200平方メートルに満たない場合などは、残りの面積に応じた範囲で、特定計画山林の特例もあわせて受けられる場合があります。計算方法は複雑なため、該当する場合は税務署または税理士にご確認ください。

小規模宅地等の特例

✓ 税理士監修 川上哲央(川上税務会計事務所)/更新日:2026年10月26日

ここでは多くの方が利用する可能性がある前掲1の、「小規模宅地等についての特例」について詳しくお伝えします。この制度は被相続人が自宅、または事業用(店舗・事務所など)として使っていた宅地を取得する場合、宅地の価格を一定の面積までは最大80%減額して評価するというものです。

減額される割合など

小規模宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、次の表に掲げる区分ごとに一定の割合を減額します。

<被相続人等の事業の用に供されていた宅地等>
要件 限度面積
(平米)
減額される割合
貸付事業以外の事業用の宅地等 (1) 特定事業用宅地等に該当する宅地等 400 80%
貸付事業用の宅地等 一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業(貸付事業を除く)用の宅地等 (2) 特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等 400 80%
(3) 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200 50%
一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等 (4) 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200 50%
被相続人等の貸付事業用の宅地等 (5) 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200 50%
<被相続人等の居住の用に供されていた宅地等>
要件 限度面積
(平米)
減額される割合
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等 (6) 特定居住用宅地等に該当する宅地等 330 80%

限度面積について

特例の適用を選択する宅地等が以下のいずれに該当するかに応じて、限度面積を判定します。

特例の適用を選択する宅地等 限度面積
特定事業用等宅地等(1)又は(2)及び特定居住用 等宅地等(6)
(貸付事業用宅地等がない場合)
(1)+(2)≦400
(6)≦330
両方を選択する場合は、合計 730 ㎡
貸付事業用宅地等(3)、(4)又は(5)及びそれ以外の宅地等(1)、(2)又は(6)
(貸付事業用宅地等がある場合)
((1)+(2))×200/400 +(6)×200/330 +((3)+(4)+(5))≦200㎡

なお、小規模宅地の特例の適用を受けるためには、相続税の申告書を提出することが必要です。

自宅の土地(特定居住用宅地等)は「誰が取得するか」で要件が変わる

最も利用の多い自宅の土地(330平方メートルまで80%減額)は、取得する人によって次のような要件があります(国税庁タックスアンサーNo.4124より要約)。

取得する人 主な要件
配偶者 要件なし(取得すれば対象)
同居していた親族 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、引き続きその家に住み、かつ申告期限まで土地を持ち続けること
同居していなかった親族(いわゆる「家なき子」) 被相続人に配偶者がおらず、同居していた相続人もいないこと/相続開始前3年以内に、自分・配偶者・三親等内の親族などが所有する国内の家に住んだことがないこと/相続開始時に住んでいる家を過去に所有したことがないこと/申告期限まで土地を持ち続けること など

被相続人と生計を一にしていた親族が住んでいた土地も、一定の要件を満たせば対象になります。

老人ホームに入っていた場合

被相続人が要介護・要支援の認定などを受けて、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などに入居していた場合は、入居する直前まで住んでいた自宅の土地も対象になります。ただし、入居後にその家を事業に使ったり、被相続人や同居していた親族など以外の人が新たに住んだりした場合は対象外です。

二世帯住宅の場合

親世帯と子世帯が一つの建物に住む二世帯住宅は、建物の登記のしかたで扱いが変わります。建物を区分所有の登記にしている場合は、被相続人が住んでいた部分に対応する土地だけが対象となるため、注意が必要です。

事業用・貸付用の土地の主な要件

  • 特定事業用宅地等(400平方メートルまで80%減額):被相続人の事業を取得者が申告期限までに引き継ぎ、申告期限まで続けて、土地を持ち続けること。相続開始前3年以内に新たに事業に使い始めた土地は、原則として対象外です。
  • 特定同族会社事業用宅地等(400平方メートルまで80%減額):被相続人と親族などが株式の50%超を持つ会社の事業に使われていて、取得者が申告期限にその会社の役員であり、土地を持ち続けること。
  • 貸付事業用宅地等(200平方メートルまで50%減額):アパートや駐車場(構築物があるもの)などの貸付事業を取得者が申告期限まで続け、土地を持ち続けること。相続開始前3年以内に新たに貸し付けを始めた土地は、原則として対象外です。

減額される金額の計算例

例1:自宅の土地240平方メートル(評価額6,000万円)を配偶者が相続した場合
面積が330平方メートル以下なので、全体が80%減額されます。
6,000万円×80%=4,800万円の減額 → 課税価格に入れる金額は1,200万円

例2:自宅の土地400平方メートル(評価額8,000万円)を同居の長男が相続した場合
330平方メートルを超える部分は減額されません。
8,000万円×330/400×80%=5,280万円の減額 → 課税価格に入れる金額は2,720万円

※SOBANI編集部が作成した簡略化した例です。実際の評価額や減額の額は、土地の評価や要件の判定によって変わります。

特例を使うための手続きと、使えない主なケース

  • 相続税の申告書に、「小規模宅地等についての課税価格の計算明細書」と、遺産分割協議書(または遺言書)の写しなどを添付して提出します。特例を受ける土地を取得した人全員の同意も必要です。特例を使うと税額がゼロになる場合でも、申告は必要です。
  • 相続時精算課税の贈与で受け取った土地には、この特例は使えません。
  • 同居していた親族などが申告期限までに土地を売ったり、引っ越したりすると、要件を満たさなくなる場合があります。
  • 申告期限までに遺産分割がまとまっていない土地は、原則として使えません(下の【ご注意】をご覧ください)。

【ご注意】小規模宅地等の特例は、宅地の種類ごとに「誰が取得するか」「相続後も居住や事業を続けるか」などの細かな要件があります。また、相続税の申告期限までに遺産分割が終わっていない宅地には、原則として適用できません。この場合は、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておき、分割後に更正の請求をすることで適用を受けられる場合があります。要件や手続きの詳細は、国税庁タックスアンサー「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm)でご確認のうえ、個別のケースは税務署や税理士にご相談ください。
※2026年10月に、国税庁の公表情報にもとづいて、未分割の場合の注意点などを追記しました。

参照
国税庁タックスアンサーNo.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm (外部リンク)

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よくある質問

Q. 小規模宅地等の特例で、自宅の土地はどのくらい減額されますか?

特定居住用宅地等にあたる場合、330㎡までの部分について、相続税評価額が80%減額されます。

Q. 特例を使って相続税が0円になる場合も、申告は必要ですか?

必要です。小規模宅地等の特例は、相続税の申告書を提出することが適用の条件です。

Q. 貸しているアパートや駐車場の土地にも使えますか?

貸付事業用宅地等として、200㎡までの部分について評価額が50%減額されます。ただし、相続開始前3年以内に新たに貸付事業に使われた土地は、原則として対象外です。

出典・参考資料

本記事の数字・制度の説明は、以下の資料をもとにSOBANI編集部が確認・整理しました(各リンクの最終確認日:2026年10月26日)。

※特例の適用要件は細かく、個別の事情で結果が異なります。実際の申告は、税務署または税理士にご確認ください。

監修
アイリス綜合行政書士事務所
行政書士・FP 田中真作
早稲田大学法学部卒業。行政書士・FP・宅地建物取引士。2003年行政書士登録。
相続や離婚などの一般市民法務相談や各種許認可業務など幅広く対応。
田中真作のFacebookページ https://www.facebook.com/shinsaku.tanaka.9

税理士監修

税理士 川上哲央

川上 哲央税理士(かわかみ てつお)

川上税務会計事務所(東京都渋谷区恵比寿)

東京税理士会 渋谷支部 登録番号 123253

監修範囲:この記事の税金に関する記述

※監修者は、この記事内の広告(Google AdSense・アフィリエイト広告など)の掲載には関与していません。

最終確認日(更新日):2026年10月26日

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、法律・税務・宗教上の判断を要する内容については、個別の事情により対応が異なる場合があります。具体的な手続きやご判断にあたっては、専門家(弁護士・行政書士・税理士・菩提寺など)にご確認・ご相談いただくことをおすすめします。

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Text by:SOBANI編集部
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