1. 「法要」と「法事」の違い

「法要」や「法事」といいますが、厳密にいうと法要と法事は違います。一般的に僧侶にお経をあげてもらう追善供養を「法要」、「法要」に加えて会食(食事)することを「法事」といいます。法要には大きく分けて忌日法要(きじつほうよう)と年忌法要(ねんきほうよう)の2種類があります。「一周忌」や「七回忌」といった法要は後者の年忌法要にあたり、故人の命日に合わせて行われる供養の儀式のことです。

「一周忌」は死後満1年で行いますが、それ以降の年忌法要は「三回忌」なら死後3年目、つまり満2年の年に、「七回忌」は死後7年目(死後満6年)の年に行うことになります。その後「十三回忌」「十七回忌」と続いていきます。しかし最近は「十三回忌」または「十七回忌」を最後の法要とするケースが多く、「二十三回忌」や「二十七回忌」「三十三回忌」は行われないことが多くなっています。

法事や法要にはどれくらいのお金がかかるのか。実際に施主を務めた人ならおおよその見当がつくかもしれませんが、多くの人にとってそれほど日常的に経験するものではないでしょう。お布施はどれくらい払うのかお寺によって異なりますし、家族間以外でははっきりといくらかかったのか聞きづらい内容の話でもあります。

今回は2020年2月に実際に行われた7回忌法要の費用明細を、ポイントとともに公開します。

2. 7回忌法要にかかる費用項目

法要にかかるお金は、故人や遺族の意向、法要を行う場所、参列者数などによって異なります。かかるお金としては御布施、会場費、お斎(会食)、引き出物、供花や供物代が主な費用項目になります。以下、今回の法要を例に具体的に見ていきましょう。

3. 筆者親族の実例―7回忌法要の費用明細

今回は、午前中に都内寺院にて7回忌の追善供養を行い、法要終了後に移動しホテルレストランにてお斎(会食)を行いました。故人は6年前に60代で亡くなった男性です。施主は故人の配偶者、参加者は家族・親族13名の合計14名です。

<今回の7回忌法要のケース概要>
  • 追善供養の会場:東京都内寺院
  • お斎の会場:ホテルレストランへ移動
  • 合計14名の参加

1 御布施:100,000円 

御布施は施主の判断で10万円にしました。お寺側からは御布施の金額の指定はとくにありませんでした。

2 卒塔婆:32,000円(8本)

卒塔婆(そとば)とは経文や戒名などが書かれたお墓の後ろにたてる細長い板のことです。この寺院の場合、卒塔婆は1本4,000円になります。施主が1本と参列者7名が1本ずつ合計8本をお寺に依頼しました。1本4,000円×8本で卒塔婆代の合計は32,000円です。参列者分の卒塔婆代は、参列者が香典とともに施主に渡したので、実際に施主が負担した卒塔婆代は、自分が依頼した卒塔婆の1本分の費用4,000円ということになります。

以上の御布施と塔婆代が、施主がお寺側に支払った金額であり合計132,000円になります。

3 供花・供物:合計20,000円

法要中に本堂に供える供物と供花と、お墓に供えるお花を用意しました。供花は施主が花屋に自分で注文して準備し、供物はデパートで購入してお寺に持ち込みました。
内訳は、供花(本堂)15,000円、供花(お墓)5,000円、供物(菓子)5,000円になります。

4 交通費:5,000円

今回は法要終了後にお寺からお斎の会場であるホテルまで、自家用車とタクシー2台で移動しました。この時タクシー代が1台につき2,500円ずつ合計5,000円かかりました。

5 会食(お斎):合計168,000円(14名)

1人あたり12,000円で、施主と参列者13名、合計14名分の食事代(飲み物込)の合計金額になります。
今回は施主の意向で、故人が美味しいお料理を食べることが好きだったので味に定評のあるハイクラスのホテルで会食を行いたいということから、お斎としては一人あたりにかける金額が比較的高い会食となりました。

6 引き出物:合計17,600円(8世帯)

1世帯あたり2,200円です。引き出物の内訳は洋菓子(1,200円)と日本茶(1,000円)です。洋菓子はお斎会場であるホテルで注文し、日本茶は別途デパートで購入し準備したものになります。

7 かからなかった費用

法要の案内は印刷してハガキで送ることもあり、案内状の印刷代や切手代が必要になる場合があります。今回法要のお知らせは電話やLINEで済ませたので案内状の印刷代や切手代はかかっていません。

「御車代」は僧侶に斎場や自宅などに足を運んでもらった場合に必要になります。今回は僧侶のいるお寺が追善供養の会場でしたので「御車代」は不要でした。僧侶が会食を辞退した場合に必要な「御膳料」ですが、今回の僧侶の場合は、お寺の外で行うお斎に関しては常に出席しないスタンスで、よって御膳料も受け取ってないという理由から「御膳料」は必要ありませんでした。

以上のように、施主が支払ったお金は御布施、塔婆、供花、供物、交通費、会食、引き出物の代金で合計326,600円でした。このうち香典13万円(参列者13名)と塔婆代28,000円(7本)を参加者から受け取ったので、施主がこの法要について実際に負担した金額は168,600円となりました。

(支出)
  • お布施 100,000円
  • 卒塔婆 32,000円
  • 供花 15,000円
  • 供物 5,000円
  • 交通費 5,000円
  • 会食 168,000円
  • 引き出物 17,600円
支出計(A):342,600円
(収入)
  • 香典 130,000円
  • 塔婆 28,000円
収入計(B):158,000円
収支(A-B): 184,600円

この法要にかかったお金を見てみると、香典(1人あたり10,000円)や引き出物(1世帯あたり2,200円)は一般的な相場と同等程度といえます。しかし、会食費の一般的な相場である「3,000円~12,000円」と照らし合わせて考えると、1人あたり12,000円の会食費は高い方なので施主の持ち出しが多くなっている結果になっています。

法要にかかる費用は、御布施がどの程度か、故人が誰なのか、施主が誰とどのくらいの規模でどのように行いたいのか、などさまざまな要因によって変わってきます。今回は会食を重視して少人数で行った7回忌法要についてご紹介しました。

法要に必要なものとかかるお金の目安についてはこちらをご参照ください。