家族や親族が亡くなったとき、突然のことで慌てたり、または予期していたこととはいえ、悲しみでいっぱいになり何から手を付けていいのか分からなくなったりもするかもしれません。しかし、まずどこに連絡するべきか、必要な手続きは何かが、状況や亡くなった場所によって違いますので、できるだけ落ち着いて行動しましょう。今回はケース別に臨終後の遺族の対応を解説します。

1.病院で死亡した場合

病気入院中、病院で死亡した場合

病気入院中などで病院でなくなった場合は、前述の通り、その場で医師によって死亡確認がされ、「死亡診断書」が発行されます。

病院での死亡だが、警察・監察医が関わるケース

病院で死亡した場合でも、以下のような場合には死因を明らかにするために監察医が検案を行います。

  • 明らかな病死・自然死ではない場合(死因不明、内因か外因か不明)
  • すべての外因死(災害死)とその後遺症、続発症
  • 自殺、他殺

東京都監察医務院の場合には次のような流れになります。上記のような「異常死」の場合、病院は病院の所轄警察に届け出ることになっています(医師法第21条)。病院から届けを受けた警察は東京都監察医務院に連絡を入れ、警察が連絡を受けた当日あるいは翌日、監察医と所轄警察担当者が病院に向かい検案を行います。検案の結果、死因が判明し、なおかつ事件性がないと判断されれば、監察医は死体検案書を作成します。遺族は死体検案書を受け取り、これと一体になっている、死亡届に必要事項を記入した上で役所に提出します。

もし死因が分からない場合は、東京都では遺体を東京都監察医務院に運ばれ、行政解剖が行われ(事件性が疑われる場合は司法解剖)、行政解剖であれば1時間ほど(東京都の場合)で解剖が終わり「死体検案書」が発行されます。詳しい解剖の結果は約40日かかります。

ちなみに、原因不明の病気や事故などで死亡して検案を必要とするケースは、東京都23区内における全死亡者数の約18%にあたり、5.5人に1人が監察医の検案を受けていることになります。

情報提供元:
東京都福祉保健局 東京都監察医務院
「異状死の届出の判断基準(医療機関向け)」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kansatsu/iryou.html (外部リンク)

2.自宅や職場で死亡した場合

誰かが倒れている → まずは救急車!

もし自宅や職場で誰かの目の前で倒れた、あるいは見ていない時に倒れていて、脈がない、心臓が動いていない状態だった場合は、まずは救急車(119番)を呼びましょう。もしできれば心臓マッサージやAED(心臓救命装置)による救命活動を行います。

その間、もし亡くなっていると思っても医師によって死亡確認されるまでは家族でも動かしてはいけません。暑い季節だからといって遺体を氷で冷やす、寒そうだからといって服を着せる、他の部屋へ移動させるなど、手を加えることもしてはいけません。

この時点では蘇生の可能性もありますし、まずは救急車で病院に搬送してもらい、医師の判断を仰ぎます。自宅や職場以外の場所でも、倒れている人がいたらまずは救急者を呼びましょう。病院に搬送された後の流れは上記2.病院で亡くなった場合と同様になります。

東京消防庁 「倒れている人を見たら 心肺蘇生の手順」

すでに死後数時間、数日経っている状態で発見した場合は警察(110番)または救急(119番)に連絡します。このような場合は同時に連絡が入るような仕組みになっているので、連絡するのはどちらでもかまいません。警察から実況見分のための警察官と、遺体の検案のための監察医が来るので、遺族は死亡時の状況や病歴などについて知らせます。死因が判明し、なおかつ事件性がないと判断されれば、その場で「死体検案書」を作成してもらえます。もし死因が分からない場合は行政解剖が行われ(事件性が疑われる場合は司法解剖)、行政解剖であれば1時間程度で死体検案書が発行されます。事件性が疑われ、司法解剖をする場合でも遺体発見から1日程度で死体検案書は発行されます。

病気療養中、その病気によって死亡し、かかりつけ医がいる場合

かかりつけの病院があり、病気療養中に自宅で亡くなった場合、2つ方法が考えられます。

1つ目は直接病院に連絡してかかりつけ医に自宅に来てもらう方法です。故人が担当医から診察・治療を受けていて、その持病によって 亡くなったと死亡確認されると、その担当医から「死亡診断書」が発行されます。「死亡診断書」は歯科医師による作成も可能です 。

2つ目は、自宅にかかりつけの医師を呼ぶのではなく、119番に連絡して救急車を要請し、かかりつけの病院に搬送してもらう方法です。東京都であれば、かかりつけ医のいる病院が救急搬送を受け入れている東京都指定二次救急医療機関であり、なおかつその時に病院側が受け入れ可能な状態である場合は、「かかりつけの患者」として救急搬送を受け入れてもらえる場合があります。病院受け入れ後の流れは上記2章の病院で死亡した場合と同様になります。

かかりつけ医がいる場合に、自宅に医師に来てもらうのか、救急搬送するのか、ということについては、死亡確認をずっと診てくれた医師にしてほしい、など本人や家族の意向もありますので、生前から話し合っておくといいでしょう。

病気療養中だったが、その病気によって死亡したかどうかわからない場合

故人が担当医から診察や治療を受けていた病気に関連して亡くなったと判断できない場合は、検案が必要になりますので、警察に届け出ます。これは、届け出る必要がある異常死のうちの「明らかな病死・自然死ではない場合(死因不明、内因か外因か不明)」にあたるからです。監察医の検案の結果、死因が判明し、なおかつ事件性がないと判断されれば、監察医から死体検案書を受け取ります。もし死因が分からない場合は、行政解剖が行われ(事件性が疑われる場合は司法解剖)、解剖が終わると「死体検案書」が発行されます。

参考
法務省「死亡届」
http://www.moj.go.jp/ONLINE/FAMILYREGISTER/5-4.html (外部リンク)
厚生労働省「平成31年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/ (外部リンク)
取材協力:東京消防庁 救急相談センター
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/kyuu-adv/soudan-center.htm (外部リンク)

3.旅先、出張先など遠方で亡くなった場合

旅先、出張先、単身赴任先など自宅から離れた場所で亡くなった場合も上記2章、3章の流れに沿います。まずはどちらの場合も、現地の医師や警察に死亡確認をしてもらい、「死亡診断書」または「死体検案書」を発行してもらいます。ただし、その後、遺体のままか、あるいは火葬後遺骨の状態で自宅に連れて帰るのか、二通りの選択肢を検討する必要があります。

遺体を現地で火葬する場合は、現地の役所に「死亡届」を提出して「火葬許可証」を受け取ります。火葬だけを行う葬儀社を決め、現地の火葬場で火葬してから遺骨を持ち帰ります。

遺体を自宅に連れ帰りたい場合は、長距離の遺体搬送を手がけている専門の業者に依頼します。納棺し、ドライアイスを詰めた上で飛行機や霊柩車などで搬送してもらいます。搬送料金のみの目安は、陸路(東京~静岡) 6~10万円、(東京~名古屋) 13~15万円。国内空路基本料金14万円程度です。

4.国外で日本人が亡くなった場合

日本人が外国で亡くなったときは、現地の警察と在外公館を経て、国内の近親者に連絡が来ます。遺族は誰が現地に出向くか相談し、早急に航空券や宿泊先などを手配します。もし現地に出向く家族が有効なパスポートを持っていない場合には、パスポートの緊急発給を領事館または外務省海外邦人安全課を通じて発行してもらうことができます。

遺体を日本に搬送する場合

国外から遺体を日本に搬送する場合、その国の規定によっても異なりますが、様々な書類が必要になります。また遺体の防腐処理や航空機での搬送費用などで、50~100万円と高額の費用がかかります。旅行中の場合、保険の契約内容によりますが、海外旅行保険に加入していれば、現地からの移送費用や遺体処理費用が補填されます。

必要書類の例

  • 現地の医師による死亡証明書(日本大使館や領事館の署名があるもの)
    ※日本国内で死亡届をする場合には翻訳文(日本語)の添付が必要
  • 故人のパスポート(失効手続き済)
  • 「遺体防腐処理証明書」
  • 「遺体証明書」

その他「非感染症証明書」「納棺証明書」などが必要なケースもあります。在外公館では各種書類を用意してもらえますが、関係機関との調整や遺体の搬送、遺体の受け取りなど遺族だけでは難しいため、各葬儀社が行っている「海外搬送サービス」を利用した方がいいでしょう。

亡くなった現地で火葬して遺骨を日本に持ち帰る場合

遺体の搬送費用(一般的に現地で火葬したほうが低く抑えられる)や遺体の損傷の面から現地で火葬した後日本に持ち帰るとする場合、その国の規定によっても異なりますが、以下のような書類が必要になります。遺骨は基本的に手荷物で機内持ち込みになります。

必要書類の例

  • 現地の医師による死亡証明書(日本大使館や領事館の署名があるもの)
    ※日本国内で死亡届をする場合には翻訳文(日本語)の添付が必要
  • 故人のパスポート(失効手続き済)
  • 現地の在外公館に対して死亡の届出を行い、埋火葬許可証の発行してもらう。
  • 火葬後に「遺骨証明書」を交付してもらう。
参考:
公益社 海外搬送サービス
https://www.koekisha.co.jp/service/sougi/overseas/ (外部リンク)

5.死亡届を役所に出す

以上いずれのケースでも、家族や親族を亡くした時、遺族が必ず行う手続きは「死亡届を役所に出すこと」です。

もっともありえるケースとして、たとえば病気入院中に病院で亡くなった場合、その場で医師によって死亡確認がされ、「死亡診断書」が発行されます。「死亡診断書」は「死亡届」と一対になっており、「死亡届」のほうに遺族が必要事項を記入して、7日以内に役所に提出します。届出は365日、24時間、受け付けています。

死亡届を提出する場所

死亡届は、「死亡者本人の本籍地・死亡地」または「届出人の所在地」の役所に提出します。「届出人の所在地」とは、届出人の住所地だけではなく、届出人が「今いるところ、一時的に滞在しているところ」として広く解釈されています。よって、理論上は届出人が出向くことのできる役所であればどこであっても提出は可能です。ただし、戸籍の届出に関しては、届出事項をできるだけ早く戸籍に記載することが第一の目的なので、「届出事件本人(死亡者)の本籍地」に届出ることが理想ではあります。しかし本人の本籍地と届出人の所在地が異なっている場合などに届出人の負担が大きくなってしまうことを避けるため、「届出人の所在地」での届出が認められています。