臓器提供の意思は、意思表示カードやシール、日本臓器移植ネットワークの意思登録サイトに登録、健康保険証・運転免許証の意思表示欄への記入で示します。脳死判定または心臓停止後に病院で臓器摘出手術をし、医学的な基準をもとにコンピューターで選ばれた、提供される臓器が最も適した患者(レピシエント)に移植されます。遺体は傷口を縫合し遺族のもとに戻され、その後葬儀、火葬となります。
また、献体とは、医学、歯学の大学における解剖学の教育、研究に役立たせるために遺体を無条件・無報酬で提供することで、故人が生前に家族の同意のもと献体登録をしていて、遺族が誰も反対の意志を示していない場合に献体が行われます。
それぞれ対応の流れを解説いたします。
臓器提供の意思を示していた場合
1.臓器提供の意志の有無を示す
臓器提供の意思を示すには、生前に本人が意思表示カードやシール、JOT(日本臓器移植ネットワーク)の意思登録サイトに登録、健康保険証・運転免許証の意思表示欄への記入する、という3つの方法があります。臓器を提供したくない場合は、口頭、またはJOTの意思登録サイトへの登録によって示すことができます。
生前に書面で臓器を提供する意思を表示している場合に加えて、本人の臓器提供の意思が不明な場合でも、家族(配偶者、父母、祖父母、同居の親族)の承諾があれば臓器提供できます。しかし、JOTの意思登録サイト登録した場合は、家族から臓器提供の申し出があっても、本人の意思が優先されます。
2.臨終
臓器提供は脳死後あるいは心臓が停止した死後にするもので、以下のように脳死後と心停止後で提供できる臓器が異なります。
脳死後に提供できる臓器:心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球
心停止後に提供できる臓器:腎臓、膵臓、眼球
病院で亡くなった場合は、そのまま臓器摘出手術をしますが、自宅で亡くなった場合は病院に救急搬送するか、医師による臨終確認後に病院へ搬送します。もし家族が望めば移植コーディネーターから説明を受けます。脳死判定後、JOTに登録されている患者(レピシエント)の中から、提供される臓器が最も適した人に移植されるよう医学的な基準が作られており、コンピューターによって公平に選ばれます。
3.臓器摘出
臓器提供に要する時間は、提供する臓器によって異なりますが、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓などで3〜5時間程度です。
4.傷口を縫合し遺族に遺体を戻す
臓器を摘出した後の遺体は、喉元からへその下まで摘出手術の傷が残りますが、傷口は縫合して清潔なガーゼでおおわれます。眼球提供の際は、義眼を入れますので顔はほとんど変わりません。臓器摘出後に清められた遺体はすぐに遺族の元に戻り、その後葬儀、火葬となります。
情報提供元:公益社団法人日本臓器移植ネットワーク
参考:グリーンリボンキャンペーン
献体登録していた場合
献体とは、医学、歯学の大学における解剖学の教育、研究に役立たせるために遺体を無条件・無報酬で提供することです。故人が生前に家族の同意のもと献体登録をしていて、遺族が誰も反対の意志を示していない場合に献体が行われます。
献体の登録先は、在住の都道府県にある医学・歯学系大学となり、各大学によって申し込み方法や、実際の献体の引き取りについても状況が異なります。献体の場合の流れは概ね以下のようになりますが、大学によって対応が異なる場合がありますので、詳細は登録先の大学にお問い合わせ下さい。
1.通夜・葬儀
献体登録をしていた人が亡くなった場合、遺族が登録先に連絡をして、遺体を搬送する手順などを相談します。その後は一般的な流れと同じように通夜と告別式を行いますが、告別式の後火葬場に向かいません。
葬儀まで日数がある場合は、葬儀前に献体として提供し、遺体なしで葬儀を行うこともあります。
2.献体の提供先から遺体を引き取りに来る
葬儀後、出棺してそのまま献体先に運ばれます。その後、祭壇に祀る遺骨の代わりに遺髪を取っておきます。
3.実習、火葬
解剖実習と火葬を経て遺族のもとに遺骨が戻るまでに1~3年くらいかかるため、納骨はそれ以降になります。遺体の移送や火葬の費用は提供先の大学などが負担してくれます。
情報提供元
参考