香典は故人との関係と自分の年齢によって変わってきます。親・こども、きょうだい、祖父母、甥姪・いとこ、友人、友人の親、仕事関係などの関係と自分の年齢別に香典の金額の相場について解説します。家族葬の場合の香典金額の目安が一般葬とちがうのか、など喪主側が辞退することも多い家族葬の香典についてもご紹介します。
香典の金額の目安-家族葬はどうする?香典を辞退されたら?
1. “香典”とは?
花やお菓子や果物などの品物を供える「供物」という言葉に対して「香典」は現金を指すイメージがあります。しかしそもそも「香典」は、亡くなった方に“薫じた香りをお供えする”もの。金銭を差し上げるものではありませんでした。
仏教では人が亡くなってから四十九日までの間、香りが食べ物の代わりであり、お香こそが一番の供養になるという考え方があります(※)。また昔は獣から遺体を守るため、臭いを隠すために香りを用いました。そのため、喪家に香りを差し入れすることは自然なことだと考えられていました。しかし現在のように、長時間香りを保てる線香が使われるようになったため、「香典」は金品に代わっていきました。いずれにしても不幸のあった家への気遣いの気持ち、供養する心を伝えるものが香典ということです。香典の表書きには四十九日までは「御霊前」、それ以降は「御仏前」と記します。
(一口法話)「お香の話」 佛松山 大仙(外部リンク)
2. 関係別にみる金額の相場
香典の金額の基準になるのは、亡くなった方との関係と自分の年齢です。親・こども、きょうだい、祖父母、親戚、友人、仕事関係など、自分とどのような関係の方が亡くなったのかということと、自分の年齢によって金額の目安が変わります。
最近では香典返しを「なし」にすることも増えてきましたが、香典はお互いに出し合うものであり、相手は香典返しという形でお返しをする必要が出てきます。そのため、あまりにも相場とかけ離れた金額の香典を包むと、かえって相手の負担になってしまうこともあります。一般的な相場に沿った金額の香典にしておくといいでしょう。親族や地域で決められた金額があることもあります。
2-1. 親・子ども
自分の親が亡くなった場合は、自分が施主(葬儀費用を支払う人)になることもあります。そのため、香典を包まないことが多いです。しかし、配偶者の親(義理の親)が亡くなった場合や自分が葬儀費用を負担しない場合は香典を包みます。相場は5万円~10万円ほどで、自分が20代であれば3万円、40代以上の方は10万円以上包むケースが多くなっています。
自分の子どもが亡くなった場合は、自分が喪主を務めるなら香典は必要ありません。しかし、子どもが結婚していて、別世帯なら香典を包みます。金額は子どもが親に対して包むケースとおおむね同様で5万円~10万円ほどが相場になります。子ども世帯の経済的な負担を考慮して、親が10万円以上包むケースも少なくありません。
2-2. 祖父母
祖父母が亡くなった場合、孫が包む香典の相場は3万円~5万円です。しかし、祖父母が亡くなった場合は、孫である自分の年齢が若いケースも多いでしょう。自分がまだ学生であり、自分の親が香典を出していれば基本的には香典を包みません。社会人だとしても20代なら1万円ほどでいいでしょう。
2-3. きょうだい・配偶者のきょうだい
自分のきょうだいが亡くなったの場合
相場は3万円~10万円です。5万円が一般的な目安になります。きょうだいの間で金額を決めていることもあるでしょう。自分が20代の場合は3万円~、30代以上の場合は5万円~が相場です。
配偶者のきょうだいが亡くなった場合
配偶者が存命なら、上記の自分のきょうだいが亡くなった場合と同様です。夫婦で出すとしても、1世帯と考えるので2倍の金額を包むということはありません。もし、配偶者が亡くなっている場合は、親戚の一人として香典を包むことになるので1万円が目安になります。
2-4. 親戚(おじおば、姪甥、いとこなど)
1万円が一般的な目安になります。それほど親しく付き合っているわけではなかった親戚の場合は3,000円~3万円ほどが相場です。
2-5. 友人
ごく親しい友人の場合は5,000円~1万円ほど、20代であれば5,000円、30代以上であれば1万円を香典として包むケースが多いようです。同級生など一般的な友人の場合は、3,000円~5,000円になります。
2-6. 友人の親
通夜、葬儀に参列する場合、香典の金額の相場は3,000円か5,000円です。自分が20代であれば3,000円、30代以上であれば5,000円が目安になります。
2-7. 知人、仕事関係
会社関係の方の場合は、会社ごとの取り決めがあることも多く、部署や同期など連名で包むこともあります。
自分が上司の場合は5,000円~1万円。自分の立場が部下や同僚で20代なら3,000円~5,000円、30代なら5,000~1万円です。どのような関係でも自分の年齢が40代以上なら1万円~のケースが多いです。
3. 家族葬の香典
「家族葬」とは、家族や親しい友人など10数名~多くても30名ほどで行う少人数・小規模の葬儀です。家族葬に参列する際の香典には大きく以下の3パターンあります。
- 喪主側が香典を辞退する
- 参列者は一般葬と同額の香典を包む
- 一般葬より多めに包む
香典を包む場合の金額としては、上記の2.関係別にみる金額の相場と同様に考えていいでしょう。一般葬と比較して家族葬の参列者は少ないので、親族同士の助け合いという意味で親族は一般葬の相場より多めに包むこともあるようです。
3-1. 家族葬での香典の渡し方
喪主から香典を辞退する連絡がなければ香典を用意しておきます。受付が設けられている場合は、一般葬と同じように受付で渡します。家族葬であっても、ある程度の人数が参列する場合は、受付が設けられていることが多いです。親族やごく親しい人のみなど限られた人数の場合は、受付が設けられていません。その場合は、喪主に直接渡すようにしましょう。
3-2. 家族葬で香典辞退の場合
家族葬では喪主が香典を辞退することが少なくありません。事前に香典辞退の連絡があった場合は、代わりに供花や供物を用意する場合もあります。喪主側の意思を尊重するのがベストです。香典を辞退するのは、香典返しの手間を無くすためでもあります。供花や供物をいただけば、お返しも必要になります。お返しが不要の場合は、供花や供物を送る際に香典返し辞退の旨を伝えておくとよいでしょう。