通夜の参列のマナー 服装と持ちもの、焼香など

知っているようでなかなか知らない冠婚葬祭のマナー。冠婚葬祭といっても、葬儀や法事や結婚式など、さまざまな場面があります。その中でも、特に葬儀の報せは突然やって来るため、参列する側も余裕のある準備ができないのが現実です。通夜の参列は、故人を悼み、遺族を慰めるためにあるのですが、マナーから逸脱した行為や服装は、逆に遺族を傷つけかねません。

この記事では、通夜に参列する際に気をつけなければならない服装や振る舞い、持って行かなければならないものについて、まとめました。参考にしていただければ幸いです。

index 目次
  1. 1. 通夜に参列するための服装
    1. 1-1. 喪服という言葉が意味するもの
    2. 1-2. 男性は喪服
    3. 1-3. 女性はブラックフォーマル
    4. 1-4. どうしても時間がない時は平服でも構わない
  2. 2. 香典
    1. 2-1. 香典の金額
    2. 2-2. 不祝儀袋と表書き
    3. 2-3. 袱紗
    4. 2-4. 香典の差し出し方
    5. 2-5. 両日参列する場合の香典の出し方
  3. 3. 数珠(仏式)
  4. 4. 焼香(仏式)
    1. 4-1. 焼香の作法と宗派別の違い
  5. 5. 玉串奉奠(神道)
  6. 6. 献花(キリスト教や無宗教葬)

1. 通夜に参列するための服装

通夜の服装は喪服が基本です。どうしても間に合わない時は平服でも構わないとされていますが、それでも華美なものは避け、地味目のものを着用しましょう。

1-1. 喪服という言葉が意味するもの

「服」という言葉は実に興味深く、2つの意味があります。ひとつは衣服の意味。もうひとつは、従う、服するという意味です。着ているもので、自分自身がどのような心境か、どんな立場にあるか、どんな組織に所属しているかなど、現在の自分と他者、社会、状況との関係を表現します。

たとえば「制服」という言葉は、「その組織に置ける制(=ルール)に服します」という意味を表しています。警察官の制服を着ているだけで、その人が警察官であることを誰が見ても分かる状態にしますし、着ている本人も警察官としてのルールに服し、職務に努めます。

「喪に服する」という言葉がありますが、喪服を着用するということは、まさに自分が喪に服している状態を内外的に表していることを意味します。ですから、通夜や葬儀の場では個性を表現することは控えましょう。葬儀はあくまでも故人のためにあり、そして遺族のためにあります。参列者は、喪服に身を包んで、文字通り、喪に服すのです。

1-2. 男性は喪服

男性は喪服、ブラックフォーマルスーツを着用しましょう。ネクタイ、ベルト、靴下や靴なども黒で統一します。靴は、黒の革靴で、ストレートチップのものが望ましいとされています。かばんやベルトなどでワニ皮製のものを持つ人がいますが、動物の殺生を連想させるものの着用や携行は控えましょう。

気をつけなければならないのが喪服とビジネスシーン向けのただの黒いスーツの違いです。黒だからといってただの黒いスーツを着用するのは避けましょう。両者は似て非なるものです。それぞれ生地が異なり、喪服に用いる生地は光沢を抑えた深い漆黒色であるため、喪服と黒のスーツが並ぶと、スーツの方が若干グレーに見えてしまいます。咎められることはないでしょうが、分かる人には違和感を与えてしまうでしょう。いざという時のために一着は喪服を用意しておきましょう。

1-3. 女性はブラックフォーマル

女性はブラックフォーマルを着用しましょう。黒のワンピースやアンサンブル、スーツなどが一般的で、ストッキングや靴も黒で統一します。アクセサリーは結婚指輪、一連の真珠のネックレス程度にとどめておきます。光沢や原色のもの、華美なメイクなど、目を引くものは控えます。毛皮製など動物の殺生を連想するものもふさわしくありません。また、特に故人と近い人の場合、和服を身にまとうこともありますが、親族ではなく参列者として葬儀に臨むのであれば、洋装の喪服を着用するのが無難です。

1-4. どうしても時間がない時は平服でも構わない

どうしても喪服の準備が間に合わない時は平服でも構いません。ただし、紺やグレーなど、なるべく地味目のものを選びましょう。服装などのマナーも大切なのですが、もっと大切なことは「駆けつける」ことです。忙しい時間を縫って、それでも最期の別れとして故人に会いに、遺族を慰めに葬儀式場まで駆けつけること自体に意味があるのではないでしょうか。

2. 香典

香典とは、現金を不祝儀袋に入れて遺族に差し出すもののことです。香典には、「このお金で故人様の大好物だったものを供えてあげて下さい」というような、故人へのお供えの意味であったり、「葬儀費用の足しにしてください」というような、遺族への金銭的援助の想いが込められています。

2-1. 香典の金額

香典は、あくまでも差し出す側の想いを形にしたものです。ですから本来は相場はあってないようなものです。ただし、喪主は参列者や香典に対してお返しを用意しているため、あまりにも安い香典金額だと、遺族を援助するためのものが逆に負担にもなりかねません。3,000円未満の香典は避けるようにしましょう。相場は、親族であれば10,000円以上、親族以外であれば5,000円以上からです。

2-2. 不祝儀袋と表書き

香典の紙幣は不祝儀袋に包みますが、宗教によって選ぶ袋や表書きの内容が変わるので注意しましょう。

2-2-1. 筆は薄墨を用いる

表書きには、黒ではなく薄墨の筆や筆ペンを用います。これは、悲しみの涙で筆がにじんでしまった、急いで駆けつけるために墨を充分にする時間がなかった、などの意味に由来があると言われています。 表書きの上段には、宗教宗派別で書き方の決まりがあります。これはのちほど詳しくご説明いたします。そして下段には差し出す人のフルネームを書きます。

2-2-2. 内袋の書き方

内袋に紙幣を入れます。表面の中央に包んだ金額を記載します。たとえば「金壱萬円成」という具合に、漢数字の旧漢字を用います。裏面には差出人の郵便番号、住所、氏名を書きます。

2-2-3. 水引の選び方

通夜で用いる不祝儀袋の水引は、結びきりのものを使います。同じことが繰り返し起きてほしくないということから続く慣習です。水引は、白黒、白青、双銀があります。印刷のものよりは実際に水引が掛けられているものの方がよいでしょう。また、双銀は比較的高額の金額を包むときに用います。黄白の袋もありますが、これは関西地方でよく使われるもので、法事の時に使用します。

2-2-4. 表書き(仏式の場合)

仏式の葬儀の場合は、無地の袋、あるいは蓮の柄の入った袋に「御霊前」「御香典」と書きます。ただし、浄土真宗では教義の中に「霊」の概念がないため、「御仏前」「御香典」と書きます。

2-2-5. 表書き(神式の場合)

神道の葬儀に差し出す香典は、「御玉串料」と書きます。玉串とは、榊に紙垂(しで)と呼ばれる紙を垂らしたものです。神道の葬儀では、焼香の代わりに玉串を霊前に差し出すことで弔意を表すことになります。その他にも「御霊前」「御神前」などとも書き、神道であればどの文言を用いても構いません。

2-2-6. 表書き(キリスト教式の場合)

キリスト教の葬儀では、無地の袋か十字架の印字されたものを用います。表書きには、「御花料」と書くのが最も一般的です。これは、キリスト教の葬儀では、焼香ではなく献花が行われるからです。

2-3. 袱紗

香典袋は袱紗に入れて持参しましょう。赤やピンクのものは慶事用なので使えません。葬儀で使用できる袱紗は、弔事用の紫、緑、灰色などの地味目な色のものなので、購入の際には気をつけましょう。慶事用にも弔事用にも両方に使えるのは紫です。袱紗は、次のように包みます。

  1. 袱紗をひし形にして広げる
  2. 香典袋を右寄りに置く
  3. 右から左、下から上、上から下の順で包む
  4. 最後に左から右に包み、端を折り込む、あるいは爪でとめる

最近では使い勝手のいい略式の袱紗も販売されています。

2-4. 香典の差し出し方

葬儀式場に到着すると、まずは受付で「このたびは誠にご愁傷さまでございます」と一言お悔やみの言葉を述べてから、記帳をします。記帳を終えると、袱紗から香典袋を取り出して、袋の正面が相手の方を向くようにして、係の人に差し出します。

2-5. 両日参列する場合の香典の出し方

通夜と葬儀の両日に参列するときは、どちらかでお香典を差し出せばよいでしょう。両日出す必要はあまりありませんが地域の慣例もあるようです。慣例があればそれに従いましょう。

3. 数珠(仏式)

数珠は祈りのための法具です。仏式の葬儀に参列する際は必ず持参しましょう。また、数珠は鞄やポケットに入れますが、珠や房が汚れないように、数珠袋に入れておくのがよいでしょう。宗派によっても形状に違いがあり、自身の信仰する宗派の数珠を持って参列するのが望ましいですが、多くの人がしているように、各宗派対応の略式念珠を使用しても構いません。

4. 焼香(仏式)

焼香とは、故人に哀悼の意を表して香を焚くことです。通夜式や葬儀式の中で、参列者一人一人が弔意を表すために行われます。

4-1. 焼香の作法と宗派別の違い

焼香のタイミングは葬儀スタッフが教えてくれます。指示に従って焼香台まで進み出ましょう。焼香は、次の順序で行います。

  1. 焼香台まで進み出て、僧侶、遺族に一礼。
  2. 故人(祭壇や遺影)に向かって一礼。
  3. 宗派の作法に則って抹香をつまみ、香炉の中に落とす。
  4. 合掌し、心を込めて故人の冥福を祈る。
  5. 故人(祭壇や遺影)に向かって一礼。
  6. 僧侶や遺族に一礼し、席に戻る。

焼香の回数や作法は、宗派によって異なります。

天台宗 回数などの決まりがない
真言宗 抹香をおしいただいて、3回行う
浄土宗 回数などの決まりがない
浄土真宗
(本願寺派、お西)
おしいただかずに、1回行う
浄土真宗
(真宗大谷派、お東)
おしいただかずに、2回行う
臨済宗 おしいただかずに、1回~3回
曹洞宗 1回目はおしいただき、2回目はおしいただかない
日蓮宗 おしいただいて、1回または3回

※「おしいただく」とは、抹香をつまんだ指を額の高さまで持ち上げること

焼香の回数や作法は宗派によって異なりますが、原則は葬家の宗派に合わすべきです。ただし、参列先の葬儀がどの宗派で行われているか、あるいは宗派が分かったとしてもどういう作法で行えばいいかなど、とっさには行動に移せないのが現実です。最も間違いがないのは喪主の回数を参考にすることです。それでも何回するべきか迷った時は、心を込めた1回の焼香でも構いません。また、参列者が多いなどの理由で、葬儀社側が1回焼香を促すこともあります。

5. 玉串奉奠(神道)

神道ではお香を焚きません。では何をして弔意を表すのかというと、玉串を祭壇の前に捧げます。玉串とは、榊の枝に紙垂などを垂らしたもののことですが、これを神前に捧げることを玉串奉奠(たまぐしほうてん)と呼びます。玉串奉奠は、葬儀だけではなく、神社での祭礼や、結婚式など、さまざまな神事において行われます。

玉串を置いた後は、2回礼をして、2回手を叩き(柏手・かしわで)、1回礼をする、というのが作法ですが、葬儀の時は柏手の音を立てないようにしましょう。玉串奉奠は、次の順序で行われます。

  1. 祭壇前に進み出て、神職や遺族に一礼
  2. 神職から玉串を受け取る。この時に根元を右、枝先を左に向ける。右手は根を上から持ち、左手は枝先を下から添えるように持つ。
  3. 玉串案(祭壇前に置かれた机のこと)まで進み出る。
  4. 枝先を自分の方に、根元を祭壇の方に向くようにする。
  5. 時計回りに玉串を180度回して、枝先が祭壇の方に向くようにして、玉串案に置く。
  6. 2礼、2拍手(音を立てずに)、1礼する。
  7. 神職、遺族に会釈をして、自席に戻る。

6. 献花(キリスト教や無宗教葬)

キリスト教や無宗教葬では、献花で弔意を表します。献花に用いられる花は、菊やカーネーションなどの白い花です。献花は次のような順序で行われます。

  1. 神父やスタッフに指示に従って、献花台まで進み出る
  2. 遺族や神父に一礼する
  3. スタッフから花を受け取る
  4. 根元が祭壇の方を向くようにして献花台に花を置く
  5. 胸元で手を組んで黙祷をする(自身の信仰にあわせて合掌でも構いません)
  6. 神父や遺族に一礼して、自席に戻る

焼香も、玉串奉奠も、献花も、故人への哀悼を表するものです。形式やしきたりも大切ですが、葬儀という不慣れな場では、ぎこちなくなってしまうのも仕方ありません。極端に常識を逸脱した行為でない限りは、あまり形式にとらわれすぎずに。むしろ心を込めて手を合わせることのほうが大切です。

Text by:玉川将人
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