お墓の種類は承継者がいるか、埋葬のスタイル、誰の遺骨を一緒に納めるのか、宗教は何か、などによって変わってきます。仏式のお墓は、納骨棺と墓石、外柵、塔婆立(とうばたて)、墓誌、灯籠などから成り立っています。神式のお墓は神社の境内ではなく霊園などに建てます。キリスト教のお墓は霊園や教会の墓地に洋型や十字架型などの墓石を建てます。従来のお墓に埋葬する形式ではなく、納骨堂や樹木葬、散骨、手元供養を選ぶ人もいます。宗教別に、仏式、神式、キリスト教、無宗教のお墓の構造や特徴をご紹介します。
お墓選び入門:お墓の分類(3) 宗教による分類
1. 仏式のお墓の構造
仏式のお墓は、遺骨を納めるカロート(納骨棺)と墓石と、区画を周囲から仕切る外柵の他に塔婆立(とうばたて)、墓誌、灯籠などといった付属品から成り立っています。
カロート(唐櫃)
お墓で遺骨(骨壷)を納める納骨室、納骨棺のこと。
墓石(ぼせき)
正面には「○○家之墓」のような家名や宗派に応じた経文、好きな言葉などを刻みます。側面や裏面に埋葬された人の名前や建之者名(けんのうしゃめい)、建之年月日(けんのうねんがっぴ)などを入れる。
外柵(がいさく)
隣の区画との境界を示す。
花立(はなたて)
お参りの際に生花を供える。
香炉(こうろ)
お参りの際に線香を供える。香立(こうたて)ともいう。
水鉢(みずはち)
お墓の正面に設置し、上部のくぼみに水を入れる。
塔婆立(とうばたて)
卒塔婆(そとうば)を立てます。浄土真宗以外の仏教の宗派で必要。無宗教、キリスト教、神道、浄土真宗では必要ありません。鳥居を模した立派なものからステンレス製のものまで現在ではいろいろな種類がある。
また、スに余裕があれば以下のものを設置することもあります。
墓誌(ぼし)
埋葬されている人の戒名や法名、クリスチャンネームなどの名前や享年、没年月日などを刻む。
灯籠(とうろう)
左右一対または右側に一基設置する。
手水鉢(ちょうずばち)
お参りの際に手や口を清めるための鉢だが、実際に使うのではなく形式的に置くもの。
2. 神式のお墓の特徴
神道では「死」は不浄なものとされるため、神社の境内に墓地はありません。このため、神式のお墓は宗教を問わない霊園などに建てるのが一般的です。
- 棹石が縦に長く、石の上部が四角錐状になっている「角兜巾(かくときん)」と呼ぶスタイルがある。
- 正面には「○○家之奥津城」(まるまるけのおくつき)や「○○家の墓」などと刻まれる。
- 神道は線香をあげないので、玉串を供える「八足台」(はっそくだい)を設置する。
- 神道では戒名はつけず、霊名(零号)というものがつく。墓石の側面には霊名や享年、帰幽日(没年月日)が刻まれる。
3. キリスト教のお墓の特徴
- 特に形式は決められておらず、洋型や十字架型、デザイン型など宗教・宗派を問わない霊園や教会所有の墓地に立てられる。
- 好きな文字や言葉、聖書の一節、クリスチャンネームを刻む人も。
- 個人墓が一般的ですが、累代墓(家族が一つのお墓に入る)、共同墓(家族以外の複数の人が一つのお墓に入る)などもある。
4. 無宗教のお墓
墓石を建てる場合は宗教・宗派を問わない民営か公営の墓地や霊園に建て、洋型やデザイン型のお墓に好きな言葉を刻むことが多いようです。お墓に埋葬する形式ではなく、宗教・宗派を問わない納骨堂や樹木葬、散骨、手元供養を選ぶ人もいます。