葬儀・告別式の進行においてポイントとなるのは、火葬場を使用する時間が決まっているため、時間通りに進行しなければならないということです。基本的には葬儀社の担当者の指示に従っていれば問題ありませんが、喪主は大まかな流れを把握しておきましょう。
喪主マニュアル 葬儀・告別式の当日の流れ
葬儀・告別式当日の流れ
一般的には以下を一日で行い、移動時間を含めて5~6時間かかります。
葬儀・告別式の当日の流れ(トータル5~6時間)
- 葬儀・告別式
- 出棺
- 火葬
- 繰り上げ初七日法要
- 精進落とし
さらに、葬儀・告別式の所要時間は1~2時間で、宗派によって式次第は異なりますが、おおよそ次のような流れになります。
葬儀・告別式(1~2時間)
- 遺族集合
- 僧侶到着
- 遺族・会葬者入場
- 僧侶入場
- 開式の辞
- 僧侶の読経・引導
- 弔事の朗読
- 弔電の紹介
- 遺族・近親者の焼香
- 会葬者の焼香
- 僧侶の退場
- 閉式の辞
- 最後のお別れ
- 喪主のあいさつ・出棺
- 火葬場への移動
火葬と還骨法要と初七日法要・精進落しなどについてはこちらの記事もご確認ください。
以下に、葬儀・告別式の各項目について順に解説していきましょう。
1. 遺族集合
遺族は約1時間までに会場に集まります。以下のことを確認しておきましょう。
- 受付係をお願いしている方にあいさつ
- 香典と香典帳、芳名帳の最終的な受取人を確認
- 追加で届いた弔電がないか再確認。もし追加があれば全文披露か名前のみ紹介するのか、読み上げる順番を再確認します。
火葬場までの移動の確認
火葬場に自家用車が出る場合は、すぐに出発できるよう葬儀・告別式の前に玄関前などに車を移動しておいてもらいます。運転手に出発順を伝えておきます。出発順は、霊柩車、ハイヤー(タクシー)、自家用車、マイクロバスの順になります。マイクロバスで火葬場へ行く人は通夜の後の打ち合わせで決まっていますが、変更がある場合やその他に遺族から声をかける人がいれば追加します。
2. 僧侶到着
喪主は僧侶が到着したら「本日もよろしくお願いいたします」とあいさつします。
3. 遺族、会葬者入場
喪主、遺族、親族、会葬者が入場して葬儀開始時刻の5~10分前には着席し、数珠を準備しておきます。会葬者からお悔やみの言葉をかけられた際には、「お忙しい中お運びいただきまして、恐れ入ります」と応えましょう。
葬儀・告別式の一般的な席次
葬儀において喪主の席は最前列の一番内側(通路側)になります。次に内側から外側に向かって遺族(配偶者や両親、故人の子ども、兄弟姉妹)が家族ごとにまとまって座ります。
遺族の人数によっては、夫婦ごとに席に着いたあと孫やひ孫が続いて座ることもあります。遺族の次に親族が座りますが、親族の席順には明確な決まりがないので、基本的に遺族の後ろに詰めて座っていってもらいます。
一般席は、最前列の内側(通路側)が最上座になります。会場の全体の座席配置を見たときに、通路を挟んで左側に並ぶ席の最前列の一番右の席のことです。一般席の席順は、最上座に葬儀の世話役代表や、葬儀委員長が座るのが基本です。その横や後ろには、友人・知人、会社関係者と、故人と関係が深かった順番に座ります。
席次
4. 僧侶入場
式場係の案内によって僧侶が入場するので一同で黙礼と合掌で迎えます。
5. 開式の辞
司会者(世話役代表か葬儀社の担当者)が「ただいまより故○○殿の葬儀を執り行います。本日のご導師様は○○家の菩提寺である□□寺の△△師でございます。」と開式のあいさつをします。故人の人柄や経歴に触れることもあります。
6. 僧侶の読経・引導
僧侶が読経し、引導が読み上げられます。宗派によって異なりますが、葬儀での読経の構成は一般的に、開経(かいきょう)、勧請(かんじょう)、授戒(じゅかい)、引導(いんどう)、回向(えこう)、請願(せいがん)、送仏(そうぶつ)という流れになっています。
7. 弔辞の朗読
弔辞は故人と親しかった友人や会社の上司などにお願いしておきます。司会者が「ただいまより弔辞を頂戴します。友人代表○○殿」と紹介したら、弔辞者は壇上に立って弔辞を読みます。弔辞を読み終えたら弔辞を読んだ人は祭壇に供えます。弔辞は、最近では省略されることも多くなっています。
8. 弔電の紹介
次に司会者が弔電を読み上げます。故人と親しかった方やとくにお世話になった方の弔電2~3通は全文紹介し、残りは名前だけ紹介します。弔電を紹介した後は弔電をひとまとめにして祭壇に供えます。
9. 遺族・近親者の焼香
僧侶が読経する中、焼香を始めます。喪主から順に血縁順(席順)で焼香します。会場によって一人ずつ前に出て線香または抹香で焼香する方法と、香炉を回す「回し焼香」があります。
焼香の詳細についてはこちらの記事もご参考ください。
10. 会葬者の焼香
友人、知人が席順や到着順に焼香する中、遺族は座ったまま黙礼します。
11. 僧侶の退場
一同で黙礼と合掌をして僧侶を見送ります。
12. 閉式の辞
司会者が「これをもちまして、故○○殿の葬儀並びに告別式を終了します。このあと出棺となりますのでお見送りされる方は今しばらくお待ちください。」と閉式のあいさつと案内をします。
(ここまでが葬儀・告別式)
13. 最後のお別れ
近親者や親しい友人一人一人が別れを告げる「最後のお別れ」になります。一般会葬者は外で出棺を待ち、火葬場へ同行する会葬者は式場内に残ります。祭壇から下ろした棺は頭が北を向くように置き、祭壇に飾られている花を遺族、親族らが、故人に近い方から、喪主、喪主の配偶者、親兄弟、子どもの順番で棺の中に入れて最後のお別れをします。この儀式を「別れ花」といいます。手紙やメッセージを書いたカードを入れることもあります。
棺のふたを閉めた後に「釘打ち」という、喪主を始めとする遺族が故人と関係の深い順に一人2回ずつ棺のふたを釘で打つの儀式をすることもあります。
14. 喪主のあいさつ・出棺
棺はあらかじめ声をかけておいた方々で運びます(本来は喪主や遺族は棺を運びません)。運び出すときも車に乗せるときも、どちらも足側が先に来るようにして霊柩車にのせます。
遺族の代表者が位牌と遺影を持ち、遺族全員が横に並びます。喪主が会葬のお礼を述べます。挨拶が終了したら遺族は全員で深く一礼します。
霊柩車の扉が閉じられ、僧侶の打つ弔鐘、または長いクラクションとともに火葬場へ向けて出発します。一般会葬者は合掌して見送ります。
喪主の挨拶について詳細はこちらもご参考ください。
15. 火葬場への移動
火葬場への持ち物で最も大切なのは「火葬許可証」です。火葬許可証がないと火葬することができません。
霊柩車の座り方
火葬場へは霊柩車に葬儀社のスタッフ、1号車に僧侶と喪主、遺影を持った遺族が乗ります。座席は僧侶が同乗するかどうかによって変わってきます。
1号車座席